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カフェ・クマ−談話室 過去ログ

2003年11月

2003年11月29日 土曜日 0:49a.m. クマの観劇雑記帳 「がーまるちょば サイレントコメディー5」

観覧日 11月28日(金)
会場 亀戸・カメリアホール
出演 がーまるちょば
公演時間 1時間半

なぜかいつもタイミングがあわなくて見れなかったがーまるのサイレントコメディ。やっと見ることができた。パフォーマー界には珍しい色気が漂ってくる芸人さんたちだ。チャーミングでスマートで、笑いのツボを知っているのが大きいのかなあ。前半ショートコントを5本(うち2本はケッチとヒロポンがそれぞれソロを演じる)、後半がオオネタのコントを一本。最初のコントは大道芸ネタの延長。ケッチがやっていた「のみと手品師」のコントは以前プラコメでみた記憶がある。「白い男」という信号機のコントが面白かった。ただそのあとの「ロッケンロール教室」もそうなのだが、オチがちと甘いかなあという気がする。休憩後の「瞼の母」が一番良かったと思う。展開が早いのと、見せ所(そこが笑いのツボだと思うのだが)をうまく知っている。マイムでは常道のエスカレータネタや、衝立をつかうネタの使い方は、手慣れた感じがした。影絵の使い方も面白い。ミミクリーチの演出家クリューコフが、「五人囃子」でやった演出がずいぶん取り入れられているように思った。それはふたりが意識しているのかどうかはわからないが・・・
サイレントコメディーということが、ふたりがやろうとしていることだと思うのだが、サイレントというクラシカルなイメージがあまりしなかったのは、背景音がうるさすぎたからだと思う。特に「瞼の母」は、それを感じた。効果音だけに留めておいたほうが良かったのではないか。映画とかテレビの笑いの世界に近いものを感じた。それとモヒカンというふたりのトレードマークを、どうして消してしまったのかなあ、もったいないような気がした。例えば『瞼の母』では絶対にモヒカンのままでやった方がいいと思う。がーまるにとって、モヒカンはマルクスブラザーズのガウチョの口ひげのようなもののはずだと思うのだが・・・
ふたりともからだの動きはきれていたねえ。
次のを見たいと思ったのは確か。

2003年11月29日 土曜日 0:48a.m. クマの観劇雑記帳 「ガーマルチョバ サイレントコメディー5」

観覧日 11月28日(金)
会場 亀戸・カメリアホール
出演 がーまるちょば
公演時間 1時間半

なぜかいつもタイミングがあわなくて見れなかったがーまるのサイレントコメディ。やっと見ることができた。パフォーマー界には珍しい色気が漂ってくる芸人さんたちだ。チャーミングでスマートで、笑いのツボを知っているのが大きいのかなあ。前半ショートコントを5本(うち2本はケッチとヒロポンがそれぞれソロを演じる)、後半がオオネタのコントを一本。最初のコントは大道芸ネタの延長。ケッチがやっていた「のみと手品師」のコントは以前プラコメでみた記憶がある。「白い男」という信号機のコントが面白かった。ただそのあとの「ロッケンロール教室」もそうなのだが、オチがちと甘いかなあという気がする。休憩後の「瞼の母」が一番良かったと思う。展開が早いのと、見せ所(そこが笑いのツボだと思うのだが)をうまく知っている。マイムでは常道のエスカレータネタや、衝立をつかうネタの使い方は、手慣れた感じがした。影絵の使い方も面白い。ミミクリーチの演出家クリューコフが、「五人囃子」でやった演出がずいぶん取り入れられているように思った。それはふたりが意識しているのかどうかはわからないが・・・
サイレントコメディーということが、ふたりがやろうとしていることだと思うのだが、サイレントというクラシカルなイメージがあまりしなかったのは、背景音がうるさすぎたからだと思う。特に「瞼の母」は、それを感じた。効果音だけに留めておいたほうが良かったのではないか。映画とかテレビの笑いの世界に近いものを感じた。それとモヒカンというふたりのトレードマークを、どうして消してしまったのかなあ、もったいないような気がした。例えば『瞼の母』では絶対にモヒカンのままでやった方がいいと思う。がーまるにとって、モヒカンはマルクスブラザーズのガウチョの口ひげのようなもののはずだと思うのだが・・・
ふたりともからだの動きはきれていたねえ。
次のを見たいと思ったのは確か。

2003年11月27日 木曜日 2:56p.m. クマの読書乱読『見世物探偵が行く』

書名 『見世物探偵が行く』
著者  川添裕  出版社 晶文社 2003年刊 

現在開催中の『大見世物展』にも数多くそのコレクションを出品している川添さんの近刊書。「グラフィケーション」に3年間連載していたエッセイをまとめている。なによりもフットワークのよさに感心させられる。サーカス、大道芸、菊人形展といった国内のイベントだけでなく、中国やベトナムまで足を伸ばしてなんでもみてやろうという気合が感じられる。実際にカザフのサーカスを北九州でやっていたとき、川添さんがひっこり訪ねてきたのにはびっくりしたものだ。前作の「江戸の見世物」は、江戸末期に盛んだった見世物を概説したわけだが、今回は、そうした過去の見世物が現在にも脈々と通じるものがあるという視点が全面に出されている。そのために実際にあちこち出向いて見ているわけだ。見世物の口上を語りながら、古館伊知郎のマシンガントークを語るという具合に、過去と現在の間を自在に往還しているのは見事である。
個人的には、いつか書きたいと思っているテーマのひとつ象のことに触れた「象たちの旅路」、日本に最初に渡来した西洋曲馬団のことを書いた「曲馬は異国の風にのって」がとても面白く読めた。最初に日本にきたのは、リズリーサーカスということになっているのだが、すでにその3年前に紅毛曲馬団と題された錦絵が流布していたという。いままでの定説を覆すことになるかもしれないこの事実は、気になる。いつかじっくりと取り組んでみたいテーマである。
11月30日には、「大見世物展」の関連イベントのひとつとして、「見世物はなにか」と題されたシンポジウムが開かれる。このなかでもこうした過去といまをつなぐ見世物の精神みたいなものについて、川添さんからいろいろ話が聞けるのではないだろうか。

2003年11月19日 水曜日 3:19p.m. 今週読んだ本、買った本

やっと通常の活字生活をおくれるようになった。ということで先週読んだのは、川添裕「見世物探偵が行く」と米朝と筒井康隆の対談「笑いの世界」の2冊。いずれもとても刺激に富んだ本。詳しく読書乱読で紹介したい。川添さんの本の口絵がきれいだったなあ、しかもなんとカザフのベリーダンサーのエンマの写真も口絵を飾っている。実はこの写真川添さんからいただき、いつも手帳に入れてある。「笑いの世界」はあっという間に読んでしまった。まずふたりがノリノリで話しているので、語り口が面白い。ただあまりにも面白いので、さらっと言っていることのなかに、結構深い意味があったりして、何度か読み直した箇所があった。
買った本は一冊。開高健ノンフィクション大賞をとった『虎山』という本。虎を探しに行く話という広告を見ただけで、うきうきしてきた。読むのがとても楽しみ。

2003年11月18日 火曜日 2:43a.m. クマの観劇雑記帳 「ダメじゃん小出−負け犬の遠吠えなにわ編」

観覧日 11月14日午後7時開演
会場 HEP HALL
出演 ダメじゃん小出・VJコミックカット(映像)

今回の味噌は大阪でやるということ。つまり知らない客の前でやるということが大きなテーマであった。
結論から言うと、こうした公演をどんどんやるべきであろう。東京の客はぬるい、というか小出の話しを楽しみにしてきている。それにひたっていてはダメだと思う。
最初のネタは大相撲の番組。ここは切れ味が要求されるというか、ネタの選択。ネタの選択はよかったと思うが、山一親方はもう古いよなあ。あれをオチにするのは限界。
ならずもの刑事の発想はいいと思う。ただ拉致被害者に対してあなたはどういうスタンスなの、という疑問は残る。遠慮気味なのでは、もうちょっとはっきりとした態度が必要かもしれない。
天皇ネタでのマニフェストは面白かった。もっといじくるとふくらみがでたと思う。
鉄ちゃんもおかしかったなあ。さすが小出だよ、京阪をもってくるとはねえ。ただ北朝鮮ネタについては、ここではかぶせなかった方がいいように思う。ここは鉄道オタク一本でいったほうがいいと思った。
最後のネタが、今回の小出の挑戦だと思う。ただこれも不完全燃焼。寓話というかSFの世界を消化しきれてないと、思う。でも発想というか視点はほんとうに面白い。もっともっとふくらませるはず。
こう書きつらねていると、文句ばかりなのだが、今回はこじんまりまとまりすぎなのではないだろうか。
小出もむずかしいところにさしかかっているのかもしれない。誰を相手にすべきかということは今後の大きな課題かもしれない。いまはそれを限定するのではなく、ためすことだと思う。
だからこそいろんな客に出会った方がいいと思う。


2003年11月11日 火曜日 3:52p.m. 観覧雑記帳『ジクムント・フォーリーズ』

作品名『ジクムント・フォーリーズ』
出演 フィリップ・ジャンティーカンパニー
演出 フィリップ・ジャンティー
会場 青山円形劇場
観覧日 2003年10月31日 上演時間 80分
フィリップ・ジャンティーは最も好きな演出家。日本で上演された作品はほとんど見ている。どの作品も随所にさまざまな仕掛けがあり、見ていて飽きさせない。人形劇、機械仕掛けのトリック、映像などの視覚効果と役者の肉体の絡み合いが、いつも見どころになっている。今回の作品は、そうした作品の原点となっている。1983年初演ということで、フィリップの初期の作品であり、しかもいつもほとんどないセリフがたくさんある。フィリップ自身日本での公演など考えてもいなかったという。この作品には「フィリップのすべてが凝縮している」という日本のプロデューサーの判断で、実現したようだ。けだし炯眼である。
間口わずか5メートル以下の小さな舞台で、演じられるのは人形劇、しかも指人形劇である。まずこの指の動きの見事さにびっくり。さまざまな人形が出てくるのだが、実際はふたりの役者が演じている。この指人形がいろいろな道具や衣装なども手にするのだが、見事な手さばきだ。人形劇はフィリップの原点であるが、それがこうした指遣いの人形からはじまったのだとあらためて認識させられる。指を自在に動かすことから、さまざまなセットや仕掛けが、初めて劇的な効果を生み出すわけだ。この小舞台がふたりの役者の指の動きだけで、深みと奥行きをもった舞台へ変化する。見事なものである。繊細で単純な指の動きがこれだけ表現力を持つことだができるとは・・・まさに驚きだった。
演出についても、フィリップのこれ以降の作品のエキスがつめこまれている。背景にあるセットが、あれだけ小さい空間なのにもかかわらず、影絵をつかったり、遠近法的な立体的な背景のなかでの追いかけっこ、あるいはちいさなおもちゃのような小道具を動かしたり、箱の中に、さまざまな仕掛けがあったりと、マジカル・イリュージョンが随所に見れる。ここからスタートしてのちの「漂流」のような大仕掛けなイリュージョンステージが生まれたのかと思った。公演後さりげなく役者さんが、舞台裏を案内し、希望者をバックヤードに案内して解説してくれたのもありがたかった。残念ながらこの作品は今回の日本公演で最後とのこと。

2003年11月8日 土曜日 2:14a.m. 今週読んだ本、買った本、もらった本

9月からの激務(?)で、情けないことに活字に触れる機会がとてもすくなくなってしまった。本屋さんに行くこともままならない生活が2ヶ月以上も続いた。やっと最近になって本を読める環境ができてきた。ということでこのコーナーが復活する。
今週と言うより先月読めたのは、アレクサンドラ・マリーニナの『アウェイ・ゲーム』(光文社文庫)、『異郷に生きるU』(成文社)、前田憲二『渡来の祭り渡来の芸能』(岩波書店)。
『アウェイ・ゲーム』は分析官アナスターシャシリーズの第二作目。文庫本の翻訳としては、これが最初。うちの奥さんの話しだと文庫本の二冊目もでているようだ。この本はロシアのみならず、世界的にもかなり売れている本のようなのだが、その魅力は、主人公のナースチャにある。モスクワ警察のプロファイリングの第一人者、コーヒーとたばこが好きで、ちょっとクールに見えるが、実はウェットな女性。そんな彼女の人間性が全面的にでてくるのが、この作品だ。その意味でとても面白かったし、次の作品も読みたくなる。個人的にとても共感を抱いたのが、彼女がこの保養地で副業の翻訳業をするところがでてくるのだが、その本がマクベインの87分署シリーズだということ。これが結構この本の伏線となっているような気がする。
前田さんの本はゆっくりとまたあとで論じたい。とても刺激的な本だったし、前からやろうと思っていたことを、呼び覚ましてくれた。
本屋に行く時間がほとんどなかったのだが、これは買わなくてはと思い本屋に行って買ったのが、沢木耕太郎の『無名』と藤沢周平の『蝉しぐれ』。『無名』はまだ読んでいないが、『蝉しぐれ』は今日読了。いまさらかもしれないが、藤沢周平はいい! 最後ふくと又四郎が再会するところでは思わず涙がこぼれてしまった。人間っていいなあとつくづく感じ入ってしまったし、これをさりげなく書く藤沢周平にも負けてしまった。

先月はいろいろな本をいただいてしまった。
大学の恩師水野忠夫氏からブルガーコフの翻訳『悪魔物語・運命の卵』(岩波文庫)、川添裕氏の『見世物探偵が行く』(晶文社)、米朝と筒井康隆の対談『笑いの世界』。
どれもが面白そう。通勤時間や移動時間を寝て過ごすわけにはいかなくなった。



2003年11月6日 木曜日 3:17p.m. 観覧雑記帳 『スフィア』

出演 ストレンジ・フルーツ
会場 大道芸ワールドカップin静岡メイン会場
観覧日 11月1日午後7時45分−8時15分

六本木ヒルズで『フィールド』というスペクタクルを見せてくれたストレンジ・フルーツが、静岡で『ソフィア』という別な作品を披露した。これはナイトパフォーマンスということで、照明をふんだんにつかった作品だと同時に、スフィア=球体をもつかうことで、グラスファンバーのスウングだけでなく、また新たな表現を目指した実験作である。
いつものように7人のアーティストが球体とともにスルスルとバーに登り、最初はこの球体にそっくり身を隠しながら、さまざまなスウングの演技が続く。このへんの照明の使い方は見事だった。それから半身を球体から出した演技、そして球体の上に全身を出しての演技、さらには球体を下におろしての人間だけの演技と、いろいろなレベルでの演技が続くので、ずいぶんとメリハリが効いていたように思える。
ナイトショーということもあるが、さらに幻想味が増した。
見入っているうちに、自分がどこかちがう世界にいるのではないかという錯覚に陥ってしまった。
それにしても不思議なパフォーマンスを見せてくれるカンパニーだ。


2003年11月5日 水曜日 8:30p.m. 観覧雑記帳 『大見世物展』

会場 たばこと塩の博物館 03-3476-2041
観覧日 10月31日内覧会にて
会期  11月1日から12月14日

楽しみにしていた『大見世物展』を一足先に見ることができた。期待以上に充実した展示内容になっている。開館25周年と銘打っているだけあって、気合が入っている。関係者の熱意がひしひしと伝わる内容になっている。江戸時代の見世物を、いくつかのコーナーにわけて展示しているのだが、やはり自分の目を奪ったのは、軽業コーナー。いままで本とか雑誌で見たことのある軽業の錦絵の現物がみれたのがなによりなのだが、そういった本とかで見たことのない貴重な資料も何点かあったのにびっくり。特に幕末海外に渡った最初の一座濱碇定吉一座の資料はすごいの一言。出演者の名前と芸がわかるうえに、そのイラストまでついている。こうした図版だけでなく、立体的に展示しようという工夫がなされている。その意味では江戸の見世物を少しでも体感できるのではないだろうか。
今回の内覧会では見ることができなかったが、週末には上島敏昭さんと浅草雑芸団の皆さんが、この展示を口上付で案内してくれるというのも、楽しみだ。こうした口上は、軽業にせよ、生き人形にせよ、つきものだったはずだ。さらに見世物の世界が広がるのではないだろうか。
入場料も300円と格安だし、場所も渋谷パルコのすぐ近く、これを見ない手はないでしょう。
絶対におすすめの展覧会です。

http://jt-tabashio.com



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