会場 plan B
観覧日 2002年6月27日
公演時間 60分
ワールドカップの試合がない日に日程を組んだところはさすが。またこの日も雨だったが、70人ぐらいのお客さんが詰めかける。
今回の公演では、「がんばれ ニッポン!」、「テーマパークに行こう。」、「病院にて」、「ニュース/天気予報」、「二千円」の5本のネタが演じられた。
「がんばれ ニッポン!」は、時節にあわせたW杯のネタ。ブルーのジャパンのユニフォームを着た小出が客席から登場、テレビ中継でおなじみになったシフトのボードを使い、話題を政局にふりながら、濃い内容の時事ネタをもってきた。W杯だけのネタでやったほうが面白かったかもしれないが、ここのところは敢えて政局と結びつけてマニアックにもってきたかったのだろう。ただちょっと重たかったな。
北朝鮮全体をテーマパークに見立てた「テーマパークに行こう。」は、かなりつくりこんであった。最後にあらかじめ客に配ってあった紅白の紙をつかって、マスゲームをさせるという発想はよかったが、展開がなかったのが惜しい。客を使うのだったら、もっと過激に突っ込んでもよかったかもしれない。
ライオンの縫いぐるみ(もちろん小泉)を患者にし、小泉の国会での答弁の録音をつかいながら、それに対して医者が診断していくという「病院にて」は面白かった。
ウルトラマンコスモスの主演俳優の逮捕にひっかけながら、ウルトラセブンが、コスモスに電話するというネタをあいだにはさみながら、おなじみのニュースの時間と天気予報にもっていった。この転換は良かったのではないだろうか。
ニュースと天気予報のポイントのひとつはスピード感なのだが、ニュースのときは、スピードがダウン気味だった。
最後の二千円札に扮したネタは秀抜だった。一回目の公演のプロジェクトXの鯨の陸あげネタの延長にあると思うのだが、使われない二千円札の哀感が、じんわり伝わりながら、二千円札がつくられたアホな背景も浮かび上がらす完成度が高い作品だった。時事ネタだけでなく、こうした寓話性をもった作品は、小出の持ち味になっていくような気がする。これを最後にもってきたところに、小出の成長を感じる。
今回は、かなり構成を気にしながらつくってきたような気がする。ネタのひとつひとつの面白さ、インパクトも大事だと思うのだが、それをどうつないでいくのか、それを意識的にやりはじめたことが見えた公演だった。それが今回の公演の一番の収穫だったように思える。
テンションの高さで突っ走っていく小出もいいが、その時のテンションだけで左右されないものをつくっていくことが実は大事なことで、それが芸というものになっていくのだと思う。
ただ少しテンションがおちたとか、客に媚びていたのではという声もないわけではなかった。このあたりから、ソロライブを続けるうえでの最初の正念場がはじまったといえるかもしれない。
お笑いプロデューサー木村万里さんも毎日新聞東京版に連載している「東京お笑
い漂流記」というコラムの中で、このライブについて書いています。
→「目つきの悪いパンダ」
目次へ | ![]() |
前へ | 次へ |