月刊デラシネ通信 > ロシア > モスクワスクラップ帳 > 第70回
2008年2月のモスクワの週刊誌『論拠と事実』からスクラップした記事。
2008年2月5号
アレクサンドル・ソレルジェニツィン「何が我々に力相応なのか
「静かなるドン」のせいで父は殺されようとした
氷の上の朝日−ユカ・カワグチ
2008年2月6号
我々は再び帝国の中に
TOKIO公演
2008年2月7号
こんなサーカスは必要なのか?
2008年2月8号
カレン・シャフナザロフ「帝国と共に論理も消えた」
イロナ・コルスチン「祖国のディフェンス」
巨人と小人
タルコフスキイ 苦悩の歴史
2008年2月9号
日本の木版画18−19世紀
スラーバ・ポルーニン−悪と強制社会へのアンチテーゼとしての道化師
「論拠と事実」は、10年間の困難なペレストロイカの道を経て、いま安定期を迎えようとしているロシアについて政治、経済、外交などさまざまな問題についてさまざまな部門で活躍している知識人たちからロシアの現在、未来について意見を聞く「ロシアはいかなる国なのか」シリーズを開始する。その第一回目はソルジェニツィン。
ロシア国家賞を昨年受賞したソルジェニツィンは、かつては反体制の中心人物であったわけだが、現在はプーチンのロシアの中でどのような位置にいると思っているのだろう。現在こそ反体制の運動が必要な時だと思うのだが。
「静かなるドン」が1928年1月31日「ロマンガゼータ」に初めて掲載されてから80年になる。この小説をめぐってのスキャンダルはなんどとなく世間を騒がせることになる。これについてショーロホフのふたりの娘、マリアとスベトラーナが、証言する。
フィギュアスケートのヨーロッパ選手権でロシアは、金1、銀1、銅2を獲得した。ペアで銅メダルをとったペアの相方の女性、日本人のカワグチユカ(川口悠子)へのインタビュー。彼女がロシアチームの一員となっていることはちょっとした話題になった。何故ロシアチームに入るようになったのかについては、母親が大のフィギュアファンだったこと、長野オリンピックでベレジナヤがすっかり好きになり、彼女のコーチのファクス番号を調べ、ぜひコーチになって欲しいという手紙を送ったのがきっかけ。何故ロシアチームの一員となったのか。これは彼女自身の判断、どうしてもメダルが欲しかった。北方領土返還についてどう思うかという最後の質問に対しては、四島とも日本に返還すべきだと思うが、アメリカ軍が沖縄に駐在している間は、二島にロシア軍が駐在するという考えをもっている。
ロシアチームの一員となっているわけで、北方領土についての質問にも答えなくてはいけないわけだ。大変といえば大変だ。
逆のロック世代の象徴的存在であるグラツスキイのインタビュー記事。彼は最近ロックオペラ「巨匠とマルガリータ」の音楽制作にかかわっていた。90年代のロックシーンについての回想。現代についてコメント。
ロックオペラ「巨匠とマルガリータ」というのが気になる。どんなものなのだろう。
2月9日 クラブ「16トーン」(モスクワ)23時から
TOKIO公演。日本の若く、有名なグループ「トキオー」が「第9中隊」と「ジャラー」のsound trackを録音した。
公演案内の記事なのだが、まさかあのTOKIOじゃないよなあ、いくらなんでも。もしそうだったら面白い話ではあるが・・・
どうして各界のスターが、サーカスやスケートのショーに出演するのか?十分に有名な人たちだし、怪我でもしたら大変なことになるのではないかという読者の質問に、出演者のひとりペビッツエ・バレリーが答える。やっている出演者より視聴者の方が喜んでみている。ケガのリスクはある。
そろそろ「サーカスオブスター」の放映が近づいているのだろうか。去年のは見たが、確かに日本のかくし芸とはレベルが違う。かなり入念な稽古をしているようだ。
「ジャズマン」などの作品を監督したシャフナザロフが、久しぶりにメガホンををとった新作映画『消えた帝国』が公開される。いままでおよそ10年ほどモスフィルムの代表をつとめていたシャフナザロフのインタビュー記事。
「ジャズマン」はオデッサを舞台にした、ジャズマンを目指す若者を描いた青春映画。とても好きな映画だった。彼がモスフィルムの社長をしていたとは・・・
女子バスケットの人気者イロナ・コルスチンのインタビュー記事。 身長183センチの美人選手(写真入り)
写真を紹介できないのが残念。とにかく美人。シャラポワ以上じゃないか。
世界一の巨人(2メートル36センチ)と小人(73センチ)が、中国の内モンゴル自治国でご対面(写真入り)
これも写真が紹介できないのが残念。圧巻のツーショットである。このふたり、日本のスペシャル番組のために去年来日しているのではないかと思う。
死後20年経って、ロシアでやっとタルコフスキイの日記が出版される。これは1970年代から死ぬときまで書かれたもので、すでに世界各国で訳本が出ている。タルコフスキイの資料のほとんどはかつて住んでいたイタリアのフローレンスに残っていた。ここに現在も住んでいるタルコフスキイの息子アンドレイのインタビュー。
この日記はずいぶん前に日本でも翻訳がでていたと思う。ロシアで今まで刊行されていなかったというのにはちょっと驚き。
展覧会の告知 4月20日まで プーシキン美術館
キターエフと、プーシキン美術館のコレクションの展覧会。日本にも輸出される予定。
ロシアにお金があまり始めると、こうしたコレクションがますます増えていくのかもしれない。
スラーバ・ポルーニンのインタビュー
現代社会における道化的なものについて、彼がどう見ているかについて。 「クラウン―これは全世界を反映する小さな点なのである」とはポルーニンの言葉。現代においてクラウンとはどんな役割を果たすのかについて、いま社会には優しさ、喜びが欠けている。いまの社会では問題は平和的にではなく、その反対の方法で解決されようとしている。クラウンはこれに対して反対の立場に立たなければならない。
久々にポルーニン登場。彼の現代におけるクラウンの役割についてのコメントは、深みがある。いまの社会に対するアンチテーゼをきちんと持ったところで、クラウンは活動すべきだと思う。
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