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第5回東京国際フール祭 サーカス・芸

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第5回東京国際フール祭 「どの回を見るか!?」レビュー 

第4回 ◎Le Carré Curieux 『dernier instants...』レポート

出演日
6月8日(月) 19:30開演 『フールオムニバス公演 A』 Le Carré Curieux (ベルギー)、Phare Ponleu Selpak(カンボジア)、
kaja金子ざんチカパンチーズto R Mansionななな
6月9日(火) 19:30開演
6月14日(日) 14:30開演 『フールオムニバス公演 B』 Le Carré Curieux (ベルギー)、Phare Ponleu Selpak(カンボジア)、
to R Mansion沢入国際サーカス学校

 ベルギーのLe Carré Curieux(直訳:好奇心旺盛な四角形)という若いサーカスグループから、ボールとディアボロを操るジャグラーの2名(Luca Aeschlimann & Vladimir Couprie)が『dernier instants...』という作品と共に6月8日・9日の「フールオムニバスA」、6月14日の「フールオムニバスB」に出演します。
 昨年の春に、彼等から一枚のDVDが届き、ACC内で回覧したのち、全員賛成で招聘を決めた作品です。

 タイトル『dernier instants...』は直訳すると「臨終の時」。
 苦痛にさいなまれ、舞台上に立ちすくむ患者(Luca Aeschlimann)に医師(Vladimir Couprie)が現れ、ジャグリングのボールを用いてセラピーを試みます。
 最初は戸惑い、されるがままになる患者ですが、医師がディアボロとボールを使って彼に働きかけるのをみて、次第に心を開いてゆき、様々なボールジャグリングを演じながら自らを表現していきます。
 そして患者が最後のジャグリングを演じた後に、医師は自分が何者であるかを明かします。

 この作品の見所は2人のジャグリングの技術力もさることながら、様々な「回転」がちりばめられたコレオグラフィーと、2人の間に交わされるコミュニケーションではないかと思います。役者の動き、宙を舞い、螺旋を描いて地を転がるボールの動き、水平移動する独楽の動きなど、様々な自転と公転が美しく配置されています。そして2人の間にドラマを生み出す強い「対峙」があり、それが終幕のカタルシスを生み出します。

 この作品は「生」に対する賛美であると、彼等は言います。たった10分の番組ながら、ジャグリングによってここまで様々なコミュニケーションを表現できるということに驚かされます。まだ映像でしか観ていないのですが、観る度に最後のシーンではゾクりと鳥肌が立ちます。実際の舞台を観るのがとても楽しみです。
 ぜひ多くの人に観て頂きたい作品です。(ACC・辻卓也)

Le Carré Curieuxホームページ http://www.carrecurieux.be









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