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クマの観覧雑記帳

『イメージシネマ』

出演者: 亀田雪人、山本光洋、本多愛也、
      橋本フサエ、雪竹太郎、いはらツトムほか
会 場: シアターΧ
公演時間: 2時間半
観覧日: 5月31日


 マイム、大道芸、クラウンとそれぞれがちがう分野で働いている第一人者が集まって、映画の一シーンをネタにコントをつないでいく、おなじみのシネサーカスシリーズ。一回見てしまうと、癖になってしまうような魅力をもっている。
 ひとつはそれぞれ出演しているパフォーマーたちのふだんとはちがう一面が見れることと、もうひとつはどんな風に評判の映画を料理するのか、その切り口を楽しめることだと思う。

 新作ものは「テルミン」「ハリーポッター」「千と千尋の神隠し」「ガンダハラ」。山本光洋が演じた「テルミン」が秀抜。ボール紙のテルミンと光洋ちゃんがでてくるだけで笑える。今回は光洋ちゃんのいいところばかりが目立った公演だったといえるかもしれない。小津安次郎の「東京物語」のワンシーンをアテレコで演じたあと、何故か突然ボレロを踊るという馬鹿馬鹿しいネタも光洋ちゃんが中心。
 休憩を間にはさんだ雪竹の「ベルリン天使の詩」はいただけなかった。客を舞台にあげて即興で演じるのだが、長すぎる。客を4人だす意味がなかったように思える。それと雪竹は舞台で汗をかきすぎ、最後の「炎のランナー」は、ひとりだけ大汗をかいていて見苦しかった。
 あと間をつなぐ歌もひどかった。公演直前に予定していた歌手がでれなくなったらしいが、人前で歌うようなレベルではなかった。むしろタカパーチの演奏だけでもよかったのではないだろうか。

 客席をみると、知った顔ばかり。ひとつにはこの公演が、内輪ものということがあるかもしれない。演じている芸人さんも見る人も、内輪で楽しむ、それが基本になっている。
 ここに出演している芸人さんたちを全然知らないで見にきたお客さんは、もしかしたらたいしてさほど面白くないのかもしれない。
 それはそれでいいと思うけど、私は十分楽しいひとときを過ごさせてもらった。


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