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週刊デラシネ通信 今週のトピックス(2001.02.08)
『バトルライブ・挑発』評

 12月号でご紹介したダメじゃん小出・元気いいぞうバトルライブ『挑発』は、仕掛けた私自身どうしても海外出張中のため見ることができませんでした。どんな公演になったのか、とても心配していたのですが、超満員の入りで、内容に対しても多くの方から高い評価を受けました。
 なによりも実際に出演したダメじゃん小出も元気いいぞうも、互いにステージに立つことにより、得るものが多かったという話を聞き、ほっととしています。
 またちがったかたちで仕掛けていきたいと思ってます。
ジャグリングのメーリングリストに、『見世物広場』の主宰者チャン助さんこと安部保範さんが、詳しい観覧レポートを紹介しています。
 安部さんの許可を得ましたので、ここにこの観覧レポートを転載させていただきます。

★公演名:ダメじゃん小出 VS 元気いいぞう
     バトルライブ「挑発」
★出演:ダメじゃん小出、元気いいぞう
★会場:planB
★観た日:2月1日(木) 19:30〜21:00
★感想:
くぅ〜っ!この日をどんなに待っていたことか。
小出ワールドにハマった人はなかなかそこから抜け出せずに、健全なる社会への復帰は無理と言わざるを得ません。

かく言う私もそうです。そんな私ですが、一昨年のいいぞうさんとの伊勢大神楽(大阪府下)での出会い、そして中野ハルコロホールでのまさに運命的な再会、そこでの新たな世界への陥没。
まさしくいいぞうワールドは未知との遭遇でした。
 ※[juggling 1810] 参照

そんな独自の世界での各々の王様2人が四つに取り組むバトルライブ!
このライブを体験せずして21世紀は迎えられません。
既に両ワールドの住人である私は、住民代表としてこのバトルの結末を見届けるべくplanBへ出かけました。

さてライブの前半は"めくり"にお題が書いてあり、そのお題に沿ったネタを両者が交互に出し合うという構成でした。
そのお題とは、一瞬ネタ、宗教、差別、下ネタ、電車といったもので、いいぞうさんはギター演奏と共に歌い、小出さんはコントで応酬しますが、その内容たるやとてもここでは紹介できませんが、我々が普段何気なく線引きしている善悪、生死、男女、親子、・・・そういった境目を容赦なく消し去り、極上の非常識性、卑猥性、暴力性をトッピングした毒ガスがこのplanBの密室の中に巻き散らされます。

しっかし、このご両人いずれその筋の方々からお仕置きを受けるか(SPありに護衛してもらった方が良いかも)、あるいは女性観客からセクハラ訴訟をおこされること間違い無し。(楽しみ楽しみ・・・)

さて休憩をはさんで後半はいいぞうさんの歌が数曲、小出さんのコントも数本続き、ラストはご両人揃ってのセッション(?)で幕を閉じました。

でも見終わって少々欲求不満が残ります。

このバトルってまるで「アントニオ猪木とモハメドアリ」の異種格闘技戦みたいに2人がまるでかみ合うこともなく、お互いのスタイルを頑として崩さずに独自路線を突っ走って、交互に見せ合っているだけじゃあないですか。

って、でもよく考えたら、じゃあ何かお前は、『2人がベンチにでも仲良く腰掛けて、お互い肩を組んで身体を左右に揺らして、微笑みながら上目遣いで「すみれの花咲く頃ぉ〜〜」なんて合唱するようなシーンをここで見たかったのか!?』

・・・と、とんでもないです。
そうなんですね。王者同士の戦いはかくも孤独であり、これが本来のバトルなのでしょう。

とは言うものの、毒気の多さではいいぞうさんの方に少し分があったかな。その証拠にいいぞうさんのあまりに過激な歌に、何故こんなところに来てしまったんだと後悔した人も多かったのでしょうか、観客は引くに引いて拍手が少なかったように思えます。
まあ、小出さんはPlanBの常連で、いいぞうさんは初お目見えという事もあり、観客もほとんどの方が小出ワールドの住人のようでしたから、そのせいもあるのかもしれません。

小出さんにも、もっともっと頑張ってもらってさらに我々の脳味噌を掻き混ぜてもらいたいものです。もっと観客を引かせてください。(^_^;)

今年の目標:
いいぞうさんの伊勢大神楽のチャリがだいぶ安定してきて評判良いようなので、再度観に行こう。
小出さんのパフォーマンスは従来通り、柱の影からこっそりと覗き見していよう。

チャン助(安部保範)さん<abesan@dream.com>
見世物広場<http://plaza4.mbn.or.jp/~chansuke/>
ジャグパル<http://homepage1.nifty.com/abesan/>
NPO法人 国際サーカス村協会<http://www.circus-mura.net/>


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