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カフェ・クマ−談話室 過去ログ

2002年10月

2002年10月29日 火曜日 3:42p.m. 公演予告『ダメじゃん小出ライブ 黒く塗れ2002』

ちょっと面白い公演のプロデュースをすることになりました。
planBでの定期公演『負け犬の遠吠え』は、今回、前回と札止めの大盛況と、かなりいい感じできております。いつか狭い地下室を出て、小屋でやってみたいと思っていたのですが、瓢箪からコマ、野毛のシンジケートルートで、横浜の有名高校の芸術鑑賞会で公演できる場が見つかりました。ダメじゃん小出を高校の芸術鑑賞会(!)でやるという英断には、驚いてしまったのですが、いくらなんでもちと無理があるのではと逆にこちらから断りを入れようと思ったくらいでした。しかし担当の先生は9月の鰻どんライブを見て、正式にOKしてくれました。ただ今度使うのがハマギンホールという500キャパのホール、一千代やplanBのようなわけにはいかないし、しかも2時間やってもらいたい要望もあり、前からやってみたかった公演をやってみようということになりました。これは小出の定番のネタとなっている「ニュース/天気予報」をVJコミックカットの映像をつかってやってみようという試み。さらにKajaのジャグリングやVJのパロディーものも入れるということで、かなり面白い中身になるのではないかと思っています。
この映像をつかいながらの小出のライブをするというアイディアが、どこまで実現できるかというのが楽しみですし、もうひとつは高校3年生という未知の観客の反応がどんなものなのかも、とても楽しみです。
公演予告とはいったものの、残念ながら今回は一般の方は入場できません。ただもしもいけそうだったら、どこかで日と会場をあらためやってみたいと思っています。
なお公演は、11月5日、場所は横浜です。
どんな公演になったかについては、またご報告したいと思います。

2002年10月22日 火曜日 1:11p.m. 緊急告知:VJコミックカット・ソロライブ「換骨奪胎」

フール祭が終わって一安心は良いのだが、告知をしなければいけないことがあるのを、忘れていた。まずダメじゃん小出のソロライブが、明後日23日にある。デラシネで告知するまでもなく、すでに予約の方は、ほぼ満員の状態なので、これについてはまあいいとして、まったく紹介していなかったライブが、27日にある。これは、お薦めなので、とりあえずカフェ・クマで紹介しておく。
「男はつらいよリミックス〜木星編」の衝撃のデビューからはや1年。数々のイベントであまたの伝説を作り上げてきた映像パフォーマー・VJコミックカットが、ついに初めてのソロライブ「換骨奪胎」を敢行する。
カバBで最初に見た「寅リミックス」の衝撃は、いまだに忘れられない。映像がパフォーマンスとして自立できる可能性を初めてその時知ったように思える。基本的にはパロディーなのだが、映像という可変を可能にするものを素材にしたことで、ダイナミックなパロディーの世界が現れた。さらに梅津和時とのセッションで、リアルタイムの映像とパフォーマンスの絡み合いも大胆に見せてくれた。映像をつかってのセッションが可能になったことで、カバBの出演者たちにも大きな影響を与えてくれた。
今回は「寅リミックス」、「スーパーマサオブラザーズ」など過去作品の上映に加え、新進気鋭のパフォーマーいながきあつきとの映像セッションを敢行するというのも楽しみだ。映像の新たな可能性を追求し続けるVJコミカのグルーヴ感溢れる映像ライブ「換骨奪胎」。三茶の大道芸があったり、紅葉狩りにもってこいの予定がつけにくい日の公演だが、是非多くの人たちに見てもらいたい。
                               
VJコミックカット・ソロライブ「換骨奪胎」
10/27(日)19:00開場 19:30開演 
中野プランB 地下鉄丸の内線 中野富士見町駅徒歩7分 03-3384-2051
当日1800円 予約1500円
予約・ACC 03-3403-0561 info@accircus.com
   VJコミックカットtoraremix@hotmail.com


2002年10月13日 日曜日 0:35a.m. フール祭レポート5 タミラ公演終わる

フール祭もいよいよ後半戦。今日はウクライナから来たタミラの公演。実はこの公演が、一番たいへんだった。なにがたいへんかというと、まず舞台セットを日本でつくったこと、ウクライナで公演したときのセットをそのままもって来ると、金がかかる、それで日本でつくろうということになったが、やはりタミラにすれば使い慣れない道具ということもあり、扱いかたで苦労していた。そのためスタッフはいろいろな修正を求められ、直しがたいへんだった。スタッフも連れて来れなかったので、音響、舞台、照明とのあわせに時間がかかった。リハーサル日をある程度とれればいいのだが、日替公演ということもあり、公演のあと、あるいは前の時間をつかいながらの場当たりやリハになったので、集中してしてつくることができなかった。この3日間タミラも、スタッフもかなりしんどい状況だった。タミラからすれば時間がないことへの焦り、イライラがあったはずだし、スタッフにすれば、公演が終わって、それからリハ、あるいは公演の前でのリハということでまさに寝る時間を削っての作業が連日続いた。昨日朝一回通しでやって、それぞれがきっかけをやっとマスターして、少し安心、そして夜ゲネができて、なんとか今日を迎えることができた。一回目の公演は、それでも思いがけないミスがあった。なんとか二回目でお互いに満足できる公演になったと思う。ほんとうに終わってホッとしたというのが、正直なところだ。
自分はなにをやったかというと、通訳なのだが、これが結構しんどかった。実は舞台ものでは、初めての通訳の仕事といっていい。サーカスの仕込みは、自分でいろいろやってきたが、ステージものでは、いつも通訳を雇い、やってきた。それは自分のロシア語の限界ということもあるのだが、アバウトではできない仕事だということがわかっていたからだと思う。しかし今回は雇う予算もなかったので、やることになった。ひとつひとつ確認しながらやるという一番自分にとっては苦手なことで、たいへんだった。自分の仕事は、このタミラの公演が終わったことで、フール祭は一区切り。明日から大阪だ。今回のフール祭の大きな見どころでもあり、自分でも楽しみにしていたオムニバス公演がみれないのはとても残念なのだが・・・この公演についてはなんかのかたちで紹介したいと思っている。

2002年10月12日 土曜日 2:22a.m. フール祭レポート4 亀田雪人『道化師と曲芸』

前日の神山一朗の公演では、さまざまなものが舞台をおおいつくし、照明や音もずいぶんとこっていたが、今日の舞台はいたってシンプル、ほとんど生明かり、舞台にあるのもトランクひとつ。のっけから亀ちゃんの語りからはじまる。宮崎の都城で生まれたときから道化師になるまでの話を、朴訥としゃべりながら、のんびりと舞台はすすむのだが、いつのまにかその素朴な語り口にはまってしまう。この『間』が、亀田雪人の、持ち味なのだと思う。決して語りが格別にうまいわけでもない、マイムも、シャープなわけではない、でもひきこまれてしまう。ひきこんでしまうなにかがあるのだ。
お客さんをつかって、輪投げや、レモンやりんごを投げさせて、口にくわえたフォークで刺せせる演し物は、何度もみているはずなのだが、いつも笑ってしまう。結果はわかりきっているのに、笑わせる、その絶妙といってもいい『間』、『呼吸』とでもいえるものが、あるのだ。これはきっと亀田にしかできない芸なのだと思う。みている人の心を温めるなにかがあるのだ。
たぶんこのなにかが亀田にしかない道化師魂なのだろう。
どうして自分が道化師になったのかを、素朴に語りかけるこの構成には、まだまだいろいろな可能性があるようにも思える。ずば抜けて才能があったわけでもないし、どうしても道化師になりたくてなったわけでもない、むしろなにをやっても中途半端になっていた人間が、消去法のなかで、選んだ道を、少しずつ一歩一歩、まさにどん亀のように、歩くというこの姿勢は、勇気を与えてくれる。誰でもやればできるんだという思いを抱かせる。
途中流れる『若者たち』とか『どうにかなるさ』という歌が、とてもなつかしかった。
亀田さんには、ぜひこの作品を大事に育てていってもらいたい。


2002年10月11日 金曜日 3:29p.m. フール祭レポート3 神山一朗ソロライブ

今回のフール祭で一番注目されていた公演ではないだろうか。自分は本番は見れなかったので、ゲネを見たのだが、問題作であったことは間違いないと思う。神山がやりたいと思っているものはかなり出せたと思う。ただそれが完璧にできたかというと、まだそこまでには至らなかったというところではないだろうか。
フール祭ということで笑うことを期待してきた人たちにとってはちょっと異質なものだったかもしれない。ただこうした異質のパフォーマンスが、神山がやりたいものであることは事実である。その意味ではこのチャレンジは重要な意義を持っていると思う。
核爆発が起こったあと、放射能が蔓延するある密室での出来事を描いたのが、今回の作品である。ある種の世紀末的状況のなかで、食べ物を食べる、煙草に火をつけるというような当たり前のことが当たり前にできないという状況の設定は、とても良かったと思う。こうした悲劇的シチュエーションのなかで起こる喜劇的なこと、それを積み重ねていくというアイディアは、喜劇の正統的文法のひとつである。冬山で遭難したという設定で描かれていたチャップリンの黄金狂時代もそのひとつかもしれない。それを神山は、さまざまな仕掛けやマジックをつかいながら、構成していく、ここに神山ワールドが垣間見れる。その仕掛け自体は十分におかしいし、ハッとするものがあるのだが、あまりにもゆっくりと展開していくので、オチのところではぐかされてしまう感がした。ここは今後の課題といっていいのではないだろうか。
オープニングの登場のシーンのあやしさ、エンディング近くでの吹雪のつかいかた、ああした雰囲気の作り方は、いままでの日本のパフォーマンスにはないもので、神山独自の感性だと思う。
彼にとって、はじめての長編作品であり、それに挑戦することで、いろいろなことが勉強になったはずだ。構成のメリハリの大事さ、全体のテンポという問題、そうしたことは実際に作品をつくらないとわからないことだろう。
その意味で是非また今回の作品をふくらませるかたちで、早い機会にチャレンジしてもらいたい。それだけ可能性をもった作品だと思う。

2002年10月10日 木曜日 11:21a.m. フール祭レポート2 KOYO MIME LIVE

国内出演者のトップバッターは山本光洋。気合の入ったステージを見せてくれた。全体的に雰囲気がずいぶん明るくなったような気がする。オープンニングは、カズーを使いながらのマイム。光洋の持ち味のひとつでもあるナンセンスな笑いが全面に出ていた。おなじみの逆立ち君や、テッチャンのネタもうまくとり入れていて、すんなり笑いの世界に引き込んでいた。このかろやかな出だしが、全体を通じて生きてきたと思う。今回のネタは、昨年モノプレイ1・2で演じたものが多かったが、さすが凝り性の光洋だけであって、これにいろいろ手をくわえてきた。今回は、モノプレイにも出演していた加納真美の出番がずいぶんと多かったのが、目についた。衣装チェンジや場面転換などでどうしても、間を埋めないといけないということもあったのだろう。加納のボーとしたキャラクターがいいメリハリをつくっていた。
圧巻は操り人形ネタ。モノプレイでも演じていたが、今回は意表をついて、カーボーイという設定にした。マイムで操り人形を演じるというのは、かなりの技術を要求されることだと思うのだが、糸がゆるむシーンでの脱力感の出しかたなどは、見事であったと思う。
お客さんをあげて、オルゴールを鳴らさせ、そのあと前にも出ていた加納が操るでかい人形と光洋が出てきて、人形を割って、風船が出てくるというエンディングも良かった。いままでにないような和みが感じられる明るい演出だった。
見ていたミクロバンドやクザン、タミラたちも口々に絶賛していた。特にマリオネットものはみんなびっくりしたようだ。タミラなどはスーパと言っていた。
フール祭のいいところは、こうした出演者がいろいろ見て、感想や意見をいう場があるということだ。
お客さんも昨日よりたくさん入った。
公演後光洋が、「ああ終わった終わった」と言っていたのが印象的だった。こうして二日目はかなりいい感じで終わった。

2002年10月9日 水曜日 10:49a.m. フール祭レポート1 初日

いよいよ開幕した、第二回東京国際フール祭。例によって雨まじりのあまりよくない天気の中でのスタートとなった。
会場には、オープニングということもあり、フール祭に出演するアーティストたちや、パフォーマーなど、ACCの公演をよく見てくれる常連さんたちを中心に、七割程度のお客さんが集った。最初に代表の西田から挨拶があったあと、ミクロバンドのステージ。およそ70分の公演だったが、お客さんたちの笑いが絶えなかった。公演後みんな文句なく楽しかったと口をそろえて感想を言ってくれたのが、嬉しかった。
公演後ロビーで簡単なレセプション。ミクロバンドをはじめ、タミラ、クザンのジュロとルネ、山本光洋、京本千恵美、CHiCA、重森一、チバドロアノなど出演者や、顔なじみのお客さんを交えて、ワインやビールを飲みながらしばし懇談。ミクロバンドのまわりには、公演を見て、すっかり興奮したお客さんが集まり、ふたりはサインを求められたり、質問を受けたりしていた。
初日がとにかく無事終わったということで、われわれスタッフはとりあえず、ホットする。ただ心配なのは、やはり思ったほど当日券を購入すくお客さんや、あちこちに配布した当日精算券で来場する人が少なかったことだ。集客の面で勢いがまだ感じられない。一週間ある公演の初日ということで、スタートはこんなものなのかもしれないが・・・
会場内には、画家高須賀優氏の「笑うサーカス」と題された絵画展、さらには9日まで京橋で個展を開いている人形作家阿久根チカコさん(今回のフール祭のポスターの絵を描いてもらっている)の人形原画展も開催され、フール祭に彩りをくわえている。

2002年10月8日 火曜日 4:10p.m. ミクロバンド大阪公演のご案内

さあいよいよ今日から東京国際フール祭が開幕します。トップバッターをつとめるのは、イタリアのミクロバンド。今日は午後7時半、明日は午後2時半から公演があります。このミクロバンド、フール祭のあと、大阪でも公演します。関西近郊の方、この機会を見逃さず、是非見て下さい。めちゃめちゃ楽しいショーです。アクロバッティックな歌と楽器の楽しい「道化ミュージカル」です。なんといっても意表をつく曲弾きはまさに絶品、ふたりの息のあったコメディーは必見です。

公演日時 10月14日(月)午後5時半(開場5時)
会場   HEP HALL(ヘップファイブ8F−梅田の観覧車のあ     るビルです) 
入場料  前売り2,500円(当日3,000円)
チケット販売 チケッドピア(06-6363-9999)
       HEP HALL(06-6366-3636)
お問い合わせ HEP HALL(11:00-17:00受付)
http://www.livehelp.com

なお同日14時頃からヘップファイブ1階で、20分程度のデモンストレーションも予定されています。
当日は私も会場におります。
お誘いあわせの上、是非見に来て下さい。   

2002年10月3日 木曜日 4:20p.m. ボリス・バルネット『レスラーと道化師』を見て!

昨日の朝日の夕刊を見ていたら、あっと驚くべきことに、ボリス・バルネット生誕百周年を記念して映画祭が開催されているというではないか。残念ながらフール祭を控えて自分は見れないのだが、これは必見ですぞ。
特に「レスラーと道化師』(10月5日公開)は、サーカスファンに是非見てもらいたい。いままでいろいろなサーカス映画を見てきたが、私のベストワンは、この映画である。実在したドゥーロフという道化師(これについてはデラシネでも紹介したはず)と、レスラー(名前を忘れた)の友情物語なのだが、サーカスシーンも見応えがあるし、歯切れのいい展開には、ぐいぐいひきこまれていった。
大学でサーカスの授業をしたときも是非見るようにとは言ったものの、ビデオはないし、なかなか公開はされない作品で、ロシア映画祭とかある時はマークするようにぐらいしかフォーローできなかった。
それがやっと公開される。是非見に行って欲しいなあ。
詳しくは、
http://member.nifty.ne.jp/ino/barnet/film.html#wrestler
を見て下さい。


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