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カフェ・クマ−談話室 過去ログ

2002年9月

2002年9月30日 月曜日 2:59p.m. セルゲイ・ポドロフ死す

モスクワスクラップでも、インタビュー記事がでたことを最近紹介したばかりの、ロシア映画界若手ナンバーワンの俳優セルゲイ・ボドロフが、カフカース地方で起こった氷河の崩壊事故によって亡くなってしまいました。
彼は、ロシアで大当たりした『兄弟(邦題『ロシアン・ブラザー』)1・2』に主演するほか、日本でも公開されたばかりの『イースト&ウエスト』にも出演した、超人気スターでした。日本でいうと窪塚洋介のような感じのスターといっていいかもしれません。
インタビューの中で、カフカース地方で映画の撮影中ということを語っていましたが、これが最後の映画になるとは・・・・
びっくりさせられたニュースです。
この氷河崩壊に関してのニュースは、日本でも報じられましたが、人気俳優も死亡かぐらいのとりあげでした。ロシア映画自体あまり紹介されていないことを考えると、しかたない気もします。
父親も有名な映画監督、将来が嘱望されていただけに、なんとも残念なニュースです。
氷河崩壊の原因については、映画撮影中に爆薬をつかったことと報じるマスコミもありました。いずれモスクワスクラップでとりあげている『論拠と事実』にも関連ニュースがでると思います。モスクワスクラップでそのあたりがわかりましたら、紹介します。
最後の撮影中の映画のタイトルが『ラスト・ヒーロー』というのも、暗示的な意味深な気もしてきます。

2002年9月22日 日曜日 2:21p.m. カバレット・チッタ制作ノート3 カバチッタからカバBへ

9月10日planBでおそまきながら、カバチッタに出演したメンバーを中心に、カバチッタについての反省会を開いた。最初に制作側から収支の報告をしたあと、ひとりひとりが反省を述べ合った。ミュージシャンたちのコミニケーションがうまくとれなかったという意見が、多くのパフォーマーから出された。ひとつには梅津さんにしても巻上さんにしても、パフォーマーから見たら、憧れの人たちだったということもあったようだ。
次回についての意見は、是非出たいという人たちがほとんどだった。こんな風にやりたいという意見については、小出君から司会のように間をつないでやってみたいという提案があった。
ここで、制作側から、カバチッタに向けて、こんな風に、こんなものがやりたいというものをもう一度planBでやってみて、そのうえで、みんなでまた話し合ったりしながら、次回の公演をつくってみないかという提案がだされた。これについてはみんな賛成してくれた。いままでのプラコメやカバBだけのメンバーではなく、広く参加したい人を集めて、オーディションとまではいかなくても、出たい人たちのの中から、作品を選んでいく。さらにはみんなでそれぞれの作品にダメだしをしたり、構成の問題を話し合うことで、土台のようなものをつくろうということだ。これには別にカバチッタに出たいということだけでなく、また自分のつくった作品をためしてみたいという新人さんも交えていきたい。
なんとなく自然消滅しつつあったカバBが、カバレットチッタというまた大きな目標を設定することで、生き返えることになる。にぎわい座の公演のあと、カバBをどうするか、そのままになっていたが、これでひとつ結論が出たのではないかと思う。つまりカバC(カバレットチッタ)と連関することで、カバBをまた新たな実験の場として、生まれかわらすということだ。カバCからカバBへ、そしてカバBからカバCへという方向づけがひとつできたのではないだろうか。またカバBの枠を大きく広げることで、また新しい人材を結集できるようになるかもしれない。
このカバBリニュアル版は、11月20日、もしも出演希望者が増える場合は、19日の二日間planBで公開する予定。一応受付は9月一杯、これを見て出てみたいという人があれば、是非連絡をしてもらいたい。

2002年9月18日 水曜日 7:46p.m. ダメじゃん小出うな丼ライブ評

9月16日また雨のなか、小出のライブが、横浜・野毛のうなぎ屋『一千代』で行われた。50人近くのお客さんが集まるという大盛況だった。客層としては、小出ファンが半分ぐらい、あとの半分は野毛にたむろする人たちということで、planBの公演とはまたちがう客が見ることになった。なによりも、さほど広いとは思えないうなぎ屋のなかで、演技スペースが畳二畳分ぐらい、一番前のお客さんと演じる小出との距離が、1メートル未満という、とんでもない至近距離で演じられたところが、なによりも味噌。PAなし、照明もなし、小出がとにかくしゃべくりだけで迫る。おそらくこういう経験は小出にとっても初めてだったに違いない。客の視線も当然のことながら気になるし、外したときどう持ち直すかなど、臨機応変に対応することが要求されたステージとなった。本人は話す順番間違えたり、かんだりとしんどかったとは言っていたが、まずまずこの初体験を無難にこなしたのではないだろうか。
いままでplanBでの公演を見たことがある人たちにとっては、思う存分小出のしゃべくりが聞けて、また新しい一面が見れたのではないかと思う。
planBでもやっていた定番の天気予報や、霞が関マップをつかってのネタは、安定感があったし、野毛の人たちの受けもよかった。あとのしゃべくりものでのネタに関しては、ちょっと突っ込みが甘いのもあった。たまたま野毛の近くの大岡川に例のアザラシのタマちゃんが現れたり、日朝首脳会談が翌日あったりと、旬のネタがたくさんあったのに、料理しきれなかったなあという気もする。
ただ本人にとっても、初トライのこうした公演に挑戦したことは、とてもいいことだと思うし、芸域を広げることにもなったと思う。
つまりこうしたライブというのは、ある意味で地を出していくことも必要なわけで、そういうところで真価が問われるということもあるはずだ。天気予報や朝のニュースもののようにある形ができたものだけでなく、地を出すことで、自分自身の感性が問われるという、もうひとつコワイ局面に立たされていることになる。
これはきっと大きなこやしになるはずだ。

2002年9月15日 日曜日 4:13p.m. こうじソロライブ『袋小路』

9月12日午後7時半開演
会場 plan B
公演時間 約1時間

ちからとのデュオでのソロライブ、ダメじゃん小出とのジョイントライブはあるものの、まったくのソロは、今回が初めてだったが、実に見応えのある公演だった。
まず感心したのは、ひとりで出ずっぱりで、暗転による転換なしで、ショーをこなしたことだった。しかもセリフなしの、マイム系のもので、挑んだことに、なみなみならぬ意欲を感じた。あとで本人に聞くと、初めてのソロだったので、せめて暗転転換なし、セリフなしという目標だけを決めてやってみようということだったが、そうしたいわば足かせを自分でしたことにより、全体の構成を組み立てることができたのだと思う。そのため着替えを要するところでは、客前で紐靴を履くのを見せざるを得ないという場面もあったが、それは几帳面さをおかしさに変えることにもつながったと思う。
プラコメやカバBで見せてきたネタのなかで、球体に入ったマルオ君、段ボールをつかった着替えのネタを最後にもってきたが、このつながりが非常によかったし、段ボールものは、カバBでやったときよりも、ずいぶんと練られていた。
いままでどちらかといえばアイディア先行で、それをもう一歩突っ込めずにいた感があったのだが、今回はずいぶん突っ込み、段ボールものやマルオ君は、ネタ的にも出来上がったと思う。
段ボールにしてもそうだが、こうじはモノの使い方が実にうまい。なんでもないあたりまえのものを、肉体の動きでぜんぜん別なものにしてしまうというところに、彼の持ち味があると思う。
オブジェクトシアターなのか、マイムなのか、本人のなかで自分がめざす方向がまだはきっきり見えていなかったとは思うが、このソロライブをしたことで、一皮むけて、少しは見通しが開けたのではないだろうか。
今回はあえて『袋小路』に自分を追い込んだことで、進むべき道が少し見えた、そんな気がする。
その意味でも、この公演に立ち会えたことを幸せだと感じている。

2002年9月9日 月曜日 0:50p.m. ウクライナサーカス開幕

9月7日から、愛知県犬山市のリトルワールドで、ウクライナサーカスが開幕しました。今回出演しているメンバーは10人、平均年齢25才という若いサーカスグループなのですが、ショーの中身はかなりいいのです。自分の会社で呼んでいるからということを差し引いてもらっても、中身に関しては、最近にない充実したものになっています。
ウクライナのサーカスアーティストのレベルの高さは、シルクドゥソレイユに数多くのアーティストが働いていることからもわかりますが、ひとつひとつの演目の技術の高さだけでなく、演目の構成力にも特筆すべきものがあります。今回はデュオによる空中ロープ、フラフープとコントーション、さらにはジャグリングをまぜ合わせたアクト、ワイヤーアクト、そして男性四人によるアクロバット、クラウンと、5つの演目からなっていますが、技術的には、シルクドゥソレイユにすぐに出演しても遜色のないものばかりだし、もうひとつ感心させられたのは、わりとしっとり系で構成された(音楽・衣装など)芸が多いのですが、それをコミカルに繋いでいくことによって、メリハリのある内容になっていることです。
圧巻は最後の四人のアクロバット、力業と跳躍技をミックスさせて、これでもかこれでもかと迫ってくる演技には、胸が締めつけられそうになります。
クラウンの芸も少しグロい内容を、乾いた感じで演じ、かなり大笑いできるようになっています。
公演は11月24日まで、近郊にお住まいの方は、是非是非みてもらいたいサーカスです。(休演日は火曜日です)


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