月刊デラシネ通信 > その他の記事 > 今週買った本・読んだ本 > 2004年8月11日その2
ロシアに渡った日本人というのは、私にとっても長年気になっているテーマのひとつ、ということですぐに買って読んだ。ブックレットという限られた枚数の中で、漂流民から始まり、シベリア抑留まで、江戸から昭和までのロシアに渡った日本人の遍歴を追うというのは、かなり無理があるように思われた。おそらく著者には書きたかったテーマがあり、それにこだわりたかったのだろうが、概説書とするために、思い切れていないそんな印象がした。つまり概説書としては不十分なものになっている。北のからゆきさんと呼ばれた売春を生業にした女性たち、サーカス芸人、漁民、などといった庶民たちにも目配りする必要があると思うし、花子や山下りんなどのアーティストたちの来歴にもふれるべきだったと思う。
気になったのは、漂流民に関する記述での多くのまちがいである。
若宮丸漂流民に関して、間違いを指摘しておく。
14頁 | 「彼らのうち6名が死亡し」というのは「3名」が正しい。残りの3人はペテルブルグに向かったものの、ひきかえしてきている。 |
「ペトロパブロフスク港を出」は明らかに、クロンシュタット港を出ての間違い。 | |
15頁 | 「督集丸」は「督乗丸」 |
20頁 | 「有名な探検家であり政治家の・・・レザーノフ」は、どうだろうか?露米会社支配人であり、侍従長ぐらいの方がいいのでは・・・ |
日本人津太夫の協力で辞書をというのも、善六らの協力でというべきであろう |
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