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クマの観覧雑記帳

『ダメじゃん小出ライブ 黒く塗れ!2002』

日時 2002年11月5日(火)午後2時開演
会場 横浜銀行ホール(ヴェルマーレホール)
入場料 横浜・聖光学院高校2・3年の芸術鑑賞会貸し切り公演
出演 ダメじゃん小出,Kaja,VJコミックカット
公演時間 1時間50分 


 忌野清司郎が歌うローリングストーンズのカバー曲『黒く塗れ』が流れ、VJコミックカット作成のタイトルバックがスクリーンに映し出され、画面が黒く染まっていくというかなりかっこういい出だしで、500人の高校生たちから早くも歓声。
 続いてVJの『花の応援団』のパロディー、そして日の丸が大きく映し出されたところで、「天皇陛下万歳!」という音が流れ、小出が登場。いきなり「学校楽しいですか?」と言って一呼吸いれたあと、「オナニーしてますか」と振る。このつかみでどういう反応が来るか、小出の賭けであった。「ワッー」とどよめく場内、これで小出も他の出演者もいけるという手応えを感じたはずだ。
 今回の公演は、大きな劇場で小出のいつもやっているネタをVJの映像と絡ますとどうなるか、高校2・3年の男子生徒がどんな反応をするか、この2つの大きなテーマがあったのだが、こちらが思った以上に確かな手応えがあった。

 天皇ネタのあと、Kajaのボールとハットジャグリングで、もう客席はすっかり暖まった。最初はこれから何が始まるのか、訝しげだった若者たちも、「楽しめばいいんだ」とすばやく反応しはじめる。この反応の早さが、出演者に伝わったことで、さらにヒートアップしてきたと思う。このあと小出の北朝鮮と余剰米をネタにした『スーパーアイドル』、VJの映像パロディー『笑点』『男はつらいよ・木星編・赤い薔薇』『マサオブラザーズ』の三連発。小出の電車おたく、Kajaの客を舞台にのせての綱渡りが続く。いいノリである。ここまででだいたい1時間。これから小出とVJのセッションで「おはようにっぽん」で、中継、大相撲(企業番付)、交通情報と続き、中国もののネタがひとつはさまり、夜のニュース、天気予報という小出の得意なネタが続く。エンディングは二千円札のネタを「プロジェクトX」風にやるという内容。いつもは絵をつかってやっているネタを、大型スクリーンに映し出すという手法は、成功した。客席の反応も早いので、小出のしゃべりのテンポもリズミカルになってきて、いい間ができていた。プロジェクトXの二千円札は、VJがかなり気合を入れて映像をつくってくれたので、見応えがあった。映像と小出のジョイントという今回の試みは大成功だったといえる。高校生という未知の客の思いもかけない熱い反応に、気持ちよく出演者が乗っていけたという点もいい公演をつくれた要因だと思う。是非またどこかでやりたい。

 ひとつ気になるのは、学生と一緒に見ていた先生や父兄がこのライブをどう見ていたかということだが、終わってしまったものはしようがない。私の席のまわりの父兄の人たち(お母さんがたが多かったが)にはかなり受けていたのだが・・・


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