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クマの観覧雑記帳

ダメじゃん小出『負け犬の遠吠え Vol.9』

観覧日 2003年12月19日14時〜15時20分
会場  内幸町ホール 


 ダメじゃんがいよいよ大きなホールに進出、おそらくかなり入れ込んでいたのではないかと思う。planBからスタートして、銀座小劇場で一年やり、このくらいの器(200弱のホール)でやることが、ダメじゃんにとって大きな目的であったと思う。
 第一印象としては、このくらいの器にまだなじんでいないという感じがした。それは演じる側もそして観客もだろう。黒い笑いの密度が少し薄まったように感じられたのは、器のせいがあるのかもしれない。

 11月の大阪公演でやった三つの新作ネタと電車ものに、ニュースと天気予報、それにアンパンマンと6つのネタで構成されていた。全般的にモノトーンというか、少し単調な感じがした。本人は、いろいろタッチの違うものを並べたという意識はあったと思うのだが、メリハリがないような気がした。ニュースと天気予報のようなまくしたてるようなもの、大阪でやった相撲番付のような、短いネタをリズミカルに演じていくものが前半にあってもよかったかもしれない。ニュースと天気予報、マニュフェスト、電車は、ダメじゃんの切り口の面白さ、ナンセンスさがよくでていたと思うが、アンパンマン、ならずもの刑事、オダ製作所が、突っ込みがまだまだ甘かった。特に最後のネタの近未来もの、中国が完全に日本を凌駕してしまうというネタは、どこで笑わせようとしているのか、どこに黒さがあるのか、曖昧だった。
 細かいことだが、ならずもの刑事での「特捜最前線」の音楽の使い方はもっと考えるべきだろう。ミッキーマウスをつかってのマジックの時は、あのテーマではないだろう。あそこで音楽を変えるだけでも、かなりちがっていたと思う。

 ホールとしては悪くないと思うが、ここを常打ち小屋のようにつかっていくのはどうだろうか。
 演出ということを真剣に考える時なのかもしれない。ここでの公演に関しては、演出を入れた方がいいと思う。お客さんとの距離が否応なくでてくる小屋で、どう見せるかということは、ダメじゃんひとりではなく、第三者的な立場でみれる人がいた方がいいかもしれない。
 マスコミに取り上げられ、新しいお客も増え、ある意味では勢いで突っ走っていたわけだが、これからが、いろんな意味で真価を問われるところ、ぜひがんばってもらいたい。


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