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クマの観覧雑記帳

ダメじゃん小出ソロライブ『負け犬の遠吠え』Vol.6

出演者 ダメじゃん小出・VJコミックカット
会場  銀座小劇場
観覧日 2003年3月12日


2003年3月13日 木曜日 0:13a.m.

 銀座小劇場で小出のライブを見る。いい出来だった。見応えがある内容になっていた。VJコミックカットの映像が入り、立体感のあるステージになった。なによりもネタのばらつきがなくなった。いろんな現場を踏むことで、力がついてきたようだ。余裕さえ感じられた。

 気になったネタをいくつか。
 今回の新手法は、ブッシュの演説の映像を流し、小出が同時通訳を演じながら、ブッシュの本音をばらまき、それをこき下ろすもの。これには笑わせられた。プロジェクXものは、蓮池兄弟を取り扱った。これは題材の面白さでひっぱっていたが、もう少し抉ってもよかったかな。冒頭の映像だけで十分笑えたので、その後蓮池兄に扮した小出がでてから、もっとなにかがあるのではと期待しただけに、もう少し突っ込んでもよかったかもしれない。どこに焦点を絞るかに迷いがあったのかなあ。
 最後の締めのネタは、これも小出のおじさんシリーズのひとつであるのだが、なにか哀愁さえ感じるいい作品になっていた。ただこれはたぶん自分だけではなかったと思うが、冒頭で近未来(1年後ぐらいの設定)日本海沖で北朝鮮が米軍機を襲撃、それに対して米が反撃、核施設を爆破、日本もその影響を受け、核被害が蔓延という説明が、なんともリアルだった。おそらく寓話として取り上げたのだろうが、それが寓話ではなくなんていることの怖さを感じてしまった。これは小出の問題ではなく、現実の問題なのだ。
 どのネタもよく練り上げられていたと思う。在日中国人のモノローグのネタも完成度が高かった。つなぎもよく考えられていた。planBという地下室から抜け出して、100席ぐらいのステージに格上げしながら、小出自身も進化しているようだ。時間も1時間20分ぐらいだったと思うが、このくらいのボリュームで、ひとつひとつのネタをじっくり練り上げていると、見応えがある。いい公演だった。6月の公演が楽しみになってきた。


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