月刊デラシネ通信 > ロシア > 『ロシア芸術の現在』講義通信2005 > 第4回参考資料

早稲田大学『ロシア芸術の現在』講義通信2005

第4回 【キャバレーの文化史とカバレットシアターの試み】
参考資料

2005年6月21日

ヴァリエテ Variete

 フランス語で多種多様性、変化、変種、雑録を意味するが、そういう多種多様な演し物をもつ演芸場をもいうようになった。イギリスでは18世紀末に初めて飲食物付の中産階級や小市民相手の娯楽施設として発生した。その後イギリス、フランスではもっぱらミュージックホール、アメリカではヴォードビル、ロシアではエストラーダという名称に変わったが、ドイツだけではヴァリエテがそのまま残った。

(『芸術キャバレー』)

キャバレー Cabaret

 フランス語のCabaretは、本来、いろいろな食べ物を盛った小鉢を扇状に並べ、お客はそこから好きなものを取って食べられる仕組みの回転式食卓を意味する。

(『芸術キャバレー』)

超寄席(ユーバーブレットル)宣言
(オットー・ユーリウス・ビーアバウムの小説『シュテルペ』1897年より)

「あらゆる芸術と生の全体のルネッサンスを大衆演芸場からもたらすのだ・・・・生を晴れやかにする朗らかな精神、言葉と音楽と色彩と線と動きにおける舞踏芸、美に対する剥ぎ出しの歓び、世間に注意をうながすユーモア、星の世界と、曲芸を演じ世界精神の口髭の先端で綱渡りするファンタジー・・・・われわれは中世の吟遊詩人のように生に働きかけるだろう。新しい文化が踊りながらやってくるのを見るだろう。寄席の舞台の上に超人を誕生させるだろう。この糞面白くもない世界をひっくり返してやるだろう」

(『キャバレーの文化史T』)

メイエルホリド「見世物小屋」(1913年)から

「ヴォルツォーゲン(ドイツの作家 1855-1934)の『超寄席』宣言を読んでみたまえ、そうすれば、それが本質においては見世物小屋の原理の擁護であることが分かるだろう。
寄席演芸(ヴァリエテ)の芸を軽視してはならない。この宣言はそう謳っている。その根はわれわれの時代の地中深くのびている。その芸を「趣味の一時的な低下」と見なすのは誤りだ。
われわれはまる一晩を費やす戯曲や重々しく大袈裟に語られる悲しい事件を上演する大舞台よりも寄席演芸の方を好む、と宣言の筆者は続けている。その原因は、似非伝統擁護者や過去の讃美者がわれわれを非難していいうように、われわれの精神が衰えたからではない。その逆だ。われわれが簡潔さと深化を、明晰さと健全なる精神を志向しているからである。」

(『メイエルホリド・ベストセレクション』より)

参考文献

ハインツ・グロイル著 平井正+田辺秀樹訳 「キャバレーの文化史[1]道化・諷刺・シャンソン」 (ありな書房 1983)
菊盛英夫 「芸術キャバレー」(論創社 1984)
メイエルホリド著 諫早勇一ほか訳 「メイエルホリド・ベストコレクション」(作品社 2001年)

アルバム

Songs of the Berlin Cabaret 1920-29 / Helicon
UTE LEMPER / Berlin Cabaret Songs / London
UTE LEMPER / Sings Kurt Weill Vol.2 / Polygram


連載目次へ デラシネ通信 Top 前へ | 次へ