月刊デラシネ通信 > ロシア > モスクワスクラップ帳 > 第1回
『論拠と事実』6月26号の記事から。
『愛国主義者のお前はどこに?』
『騒動のあとで』
『ツォイ生誕40周年』
W杯に関するニュースが相変わらず多い。そのなかで笑ったのは、ロシアの極右として知られるジリノフスキイについての記事。
ジリノフスキイは、W杯観戦のために来日していたことは、日本のテレビでも紹介されていたようだが、新聞では必勝という日本語が書かれた鉢巻きをしたジリノフスキイが応援している写真が大きく載せられ、それに「『ロシア対日本』の試合で日本を応援しているジリノフスキイの奮闘ぶり。愛国主義者のお前はどこにいったのだ? フン」というコメントがつけられている。
もうひとつW杯からみの記事
日本戦で小野が徹底的にマークしていた、ロシアチームの中盤のキープレイヤー、バレリー・カルピンのインタビュー記事が出ている。
かなりえげつない質問を浴びせられている。
一部引用する。
・・・日本戦のあと、モスクワで暴動が起きたが?
「ばかなことだ。試合の結果如何にかかわらず、同じことが起きたと思うよ」
・・・17歳の青年がロシアが負けたあと、静脈を切ったことを知っている?
「いや知らない。あまり気分のいい話ではないね」
・・・責任を感じない?
「いや感じないよ。ただ単に精神的に不安定だけだったのじゃないか。私にだって人生でいろんな問題があるけど、静脈を切ったりはしないよ」
読者欄などでは、何故ロシアチームは、外国人の監督を雇わないのかという質問もあった。この号でもW杯敗北の余波がまだ残っていた。
もうひとつはデラシネでも連載をしている伝説のロックバンド『キノ』の話題
6月21日はツォイの誕生日。生きていれば40歳になる。
ツォイをめぐるスキャンダルと、関係者たちのその後について追った記事。
ツォイの未亡人マリアが再婚したリコシェットは、キノの作品をダンスミュージックにして、アルバムを発売する。キノの他のメンバーは、これに怒り、マリアを裁判所へ訴えた。
その後のメンバーの動向、ベーシスト、イーゴリ・チィホミロフは、いまDDTのスタジオで。ギタリストのユーリイ・カスパリャンは、「ユーピョートル」で働いている。ドラマーのゲオルギー・グリャノフは絵を描いている。ツォイのひとり息子のサーシャは、コンピューターの神童となった。晩年一緒に暮らしていたナタリア・ラズロゴワは、ジャーナリストで、いまはビジネスマンになっているエフゲニー・ドドリョーフと結婚、アメリカに行ってしまった。
ツォイの神話はまだ生きている。もうじき11周忌がやってくる。
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