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【連載】モスクワスクラップ帳

第33回

 今年2回目の「モスクワ・スクラップ」。丁寧に読んでいきたいという姿勢で今年のぞみたいと思っていたのだが、また去年のようなペースになってきた。
 相変わらず、「ドリームマシン」といい、レントゲン少女でもそうだが、眉唾ものが多い。それでもこんな話ってロシア人は好きなんだろうなあ。
 ということで、今月とりあげた記事は以下のとおり。

2004年1月3号から
 「ノルト・オスト」はロンドンから吹いてくる
 ドリーム・マシーン
2004年1月5号から
 ワサビ付の言語
 ナターシャは人間を透視する
 1万1千年前氷河のしたで
 極真会空手の宣伝
 ロシアの自然保護区は売られている


2004年1月3号から

「ノルト・オスト」はロンドンから吹いてくる

 多数の犠牲者をだしたモスクワの劇場占拠の人質奪還のやりかたについて、大統領選に立候補するハカマダ議員が正式に、非難する声明を出した。毒ガスをつかうことの難しさ、さらにはアメリカの人質奪還のための特殊部隊の手段などについて。

 大統領選挙に出馬を表明しているハカマダさんは、日系のの女性政治家。人質奪還の武力行使に対して、批判をしているが、ロシア国内では、あまり受け入れられていないようだ。『論拠と事実』のこの記事でも、ネガティブに扱われている。

ドリーム・マシーン

 日本で、夢をつくることができる機械が発明された。この機械があると、みたい夢を注文できるという。

 三行記事なのだが、こんなニュースは日本で流れたのだろうか。どらえもんじゃあるまいし、眉唾ものの記事である。

2004年1月5号から

ワサビ付の言語

 2ページの特集記事。いま世界でおよそ3億人の人たちがロシア語をつかっているが、いつの日かロシア語は消えていくかもしれない。かつてのソ連諸国での政策面でのロシア語離れが進んでいる。ラトビア、エストリア、トルクメニア、カザフスタン、キリギスタン、グニジアでの学校教育でのロシア語離れの状況など。

 実際にウクライナやカザフスタンの芸人たちの話しを聞くと、旧ソ連のなかで、ロシア語教育を減らそうという動きは、かなりあるようだ。この前やっていたテレビドキュメンタリーの『流転』でもウズベキスタンに移住させられた高麗人が、ロシア語が通用しなくなるという危機感から、こんどは南ロシアのロストフに再び移住をはじめたというエピソードが紹介されていた。
言語をめぐる悲劇ともいえるのだが、この先どうなるのだろう。

ナターシャは人間を透視する

 サランスクに住むナターシャ・デミーナという17歳の少女は、レントゲンのように人間を透視できる。この少女が、先頃ロンドンの新聞「サン」の招きで、ロンドンで実際にこき透視を行った。10歳の時に突然見えるようになったという、将来はこの才能を生かして医者になりたいという。

 これもまた眉唾ものの記事なのだが、レントゲン人間のメリットってあるのだろうか?面白い奇人がよく輩出する国である。

1万1千年前氷河のしたで

 写真付。
 ヤクツークで1万一千年前のものと思われるマンモスの死骸が見つかった。氷河の下から掘り出されたもの。

 愛知博の目玉にこうした埋もれたマンモスを復元して展示するという話しもある。氷河の下に埋もれていたマンモスからDNAをとり、マンモスを再現しようという、ジュラシックパークみたいな研究を進めているのも、たしか日本人であった。古代へのロマンということなのだろうか

極真会空手の宣伝

 蝋山ハツオ著『空手−わが人生』という本が出版されることになった。その宣伝広告と、極真会空手の宣伝記事。

 格闘技の世界でも、旧ソ連系の国々のレスラーが活躍している。そのための手段なのだろうか、極真会の空手なのだろう。が人気を呼んでいるようだ。

ロシアの自然保護区は売られている

 広大な自然を誇るロシアの国立公園や、自然保護区が、汚染され、閉鎖に追い込まれという危機に面している。その現況を追ったルポルタージュ。

 これはかなり重要な問題になってくるト思う。金はかかるが、金は入らない、こんな状況の中、自然は真っ先に切られてしまうのかもしれない。一度失えば、もうこうした自然は消滅してしまう。非常に難しい問題点を明らかにした、注目レポートである。


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