月刊デラシネ通信 > アートタイムズ > アートタイムズ Vol.3

アートタイムズ Vol.3 ロシア

 

ご好評につき完売いたしました!

 神彰が中心となって日本の文化に旋風をおこした興業会社アートフレンドの志を継ぎたいということで、アートフレンドが出していた「アートタイムズ」を2006年に復活させて、今回が3号目になります。今回はロシアアヴァンギャルドを文化論として位置づけ、数多くの著作、論文を発表している早稲田大学教育学部教授桑野隆先生を責任編集に迎え、「新レフ―最後のロシア・ヴァンギャルド―」という特集を組むことができました。
 「新レフ」が目指した事実の芸術により深く迫るために、ロトチェンコの写真を数多く掲載、さらにはほとんどとりあげられることのなかったトレチヤコフの戯曲『子供が欲しい』を紹介しています。また「新レフ」全号の目次を表紙と共に紹介、写真家によるロトチェンコ論、気鋭のロシア研究者による映画論、文芸論など厚みをもった内容になっています。ロシアアヴァンギャルドの中でも徒花のような存在だったといえる「新レフ」の志には、追い詰められながらも、なんとか活路を見いだそうという熱い魂があったと思います。この魂を少しでも伝えることができたのではないかと思います。
アートタイムズVol.3 表紙
表紙
アートタイムズVol.3 裏表紙
裏表紙
(各ページをclickすると別ウィンドウで拡大表示)
「アートタイムズVol.3」
責任編集●桑野 隆

B5判 本文24ページ/定価500円
トレチヤコフの肖像(本誌8ページより)

トレチヤコフの肖像
(本誌8ページ)

その他、ロトチェンコの図版多数
目  次
特集・新レフ―最後のロシア・アヴァンギャルド―
 読者諸君!『新レフ』創刊号《1927年》より
『新レフ』創刊号に掲載された発刊の辞を転載。
 いまなぜ『新レフ』か 桑野 隆
『新レフ』は「奇妙な雑誌」である――編集長マヤコフスキイ、トレチヤコフ、ロトチェンコ、
エイゼンシテイン、ヴェルトフ、ブリーク、パステルナークらが「事実の文学」をかかげて結集した
「最後のアヴァンギャルド」命がけの試み。
 『新レフ』目次
全22号の目次一覧。タイトルだけでも「奇妙な雑誌」ぶりがうかがえる。
ロトチェンコによる斬新な表紙(全号分掲載)にも注目。
 未上演の討論劇 『子どもがほしい!』 桑野 隆
「100%プロレタリアの完璧な子どもを生みたい!」女性党員ミルダを主人公にしたトレチヤコフの実験劇。
政府から上演禁止を言い渡され、演出家メイエルホリドらは審議会で討論を重ねる・・・。
 ロトチェンコの写真から思うこと〜ライカ/ラクルス/北代省三〜 大日方 欣一 14
ドイツ製カメラ「ライカ」を手に入れたロトチェンコが追求したラクルス(遠近短縮法)。
戦後の日本には、彼と同じく絵画から写真へと向かったアヴァンギャルド北代省三がいた。
 永続革命のルポルタージュ〜トレチヤコフと竹中労〜 大島 幹雄 16
「事実の文学」を追求したトレチヤコフの「ケ惜華の会見人生録(ビオ・インテルビュー)」と竹中労の
「聞き書きアラカン一代記」。時代と闘ったルポライターたちの姿。
 ヴェルトフとエイゼンシテインを超えて 八木 君人 18
「事実の文学」のための映画とは何か――『キノグラス(映画の眼)』のヴェルトフと、モンタージュの
エイゼンシテイン。『新レフ』が目指した映画を追う。
 トゥイニャノフ&ヤコブソン「テーゼ」と『新レフ』編集部の齟齬 朝妻 恵里子 20
ロシア・フォルマリズム運動のトゥイニャノフとヤコブソンのふたりが書いた「文学研究・言語研究の諸問題」は
オポヤズ(詩的言語研究会)再建をかけた「テーゼ」ともされる。
これが最終号となった『新レフ』1928年12月号に掲載されたとき、編集部による序文が付されていたのだが・・・。
シネマテーク 22
「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」「ラスベガスをぶっつぶせ」
「デラシネ通信」社 刊行物・取り扱い図書案内 23
グルメタイムズ・今月の一杯 「萬里」 24
横浜・野毛の名物中華料理店「萬里」の隠れメニュー、夢にまで出る絶品「鶏煮込みそば」。
編集後記

■『新レフ(Новый Леф 新芸術左翼戦線)』:1927〜28年にかけて12号を刊行したロシア(当時はソ連)の雑誌。
1923〜25年の『レフ(Леф 芸術左翼戦線)』の後を受けて創刊した。

ひとつ上のカテゴリーへ デラシネ通信 Top 前号へ | 次号へ