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【連載】ダメじゃん小出の社会のつまみ食い

第2回 起死回生・三菱自動車

2004.06.11

 もうすぐ定年を迎える国土交通省・経済産業省を始めとする霞ヶ関の役人が
大変な事態に直面している。
 省庁退職後、天下ってへりくだって私腹を肥やしてジャブジャブしようと
整理券を持って待っているのに、自分達が乗る路線バスが
廃止に追い込まれるかもしれない危機的状況に陥っている。
 今や飛ぶ鳥を落とす勢いの世間から、自動車業界から
タイヤも外れ仲間はずれ、ハブ食らってしまった三菱自動車グループ。

 この会社、歴史は古く、明治初期から三菱商会という名で事業を創めたそうな。
 当時輸入された資本主義の発展と共に成長し、太平洋戦争敗戦までの間
財閥の土台を築き日本経済に根深く君臨したのでした。
 大戦初期、鬼畜米英が設計資料を欲しがった、世界の名機・零戦52型、
本土防空戦B−29迎撃で活躍した戦闘機・雷電など生んだ三菱は
縦横無尽に技術の大空を飛び回っていた。
 戦後、財閥三菱は解体され三菱グループと横文字に形を代え、
高度経済成長の牽引車として、電化製品・自動車・石油など
生活のあらゆる分野で国民はお世話になるのでした。

 日本近代の産業の歴史を走ってきたダイヤ印の路線バス、黙っていても客は乗る。
 ライバルなんて眼中にない・・・俺たちゃ老舗の財閥よ!
 景気がよけりゃドンちゃん騒ぎ、冬を知らないキリギリス、
バブルがはじけ、さぁ大変。
 気がつきゃ火が付き、ダイヤモンド・プリンセス
赤字が焦げ付き、頼んでないのに真っ黒け。
 宇宙と海中区別がつかずイグニション。
 車体が弛緩しちまって、隠し出したら止まらないブレーキ効かずアクセル全開、
リコールのスコール、国家と同じ事なかれ体質の傘に穴があき信用ずぶ濡れ。
 取り締まるパトカーも不具合だ、シグマでお出掛けカラ出張、警察官もリコールか。

 鉛筆で書いた、不具合・欠陥・隠蔽の文字を消し過ぎて信頼の紙が磨り減り
消そうとしても消えない社会に文字がこぼれ出た。
 こんな破天荒な侍スピリッツ企業見た事ないと、バス運転代行ダイムラーは
さっさとエンジンキーを抜き降板、退職金にと損害賠償請求、
白人さんに義理人情なんてありゃしねぇ。

 危うしスリーダイヤモンド、四面楚歌で泣きっ面に蜂、
過去の栄光何処へやら。
 乗用車の欠陥隠しを公表した翌日、朝刊各紙1ページ使い新車の宣伝。
 世間はお宅の車見るだけでドキッとしているのに宣伝タイトルは「街を走ろう」
さすが旧財閥さん、社会を挑発しております!
 この際、マーク以外は他社製品、エンジンはホンダ、車体はトヨタ、
経営は日産、生産ラインは雪印、営業はカネボウ、ペダル漕ぐのは丸石自転車。
 過去の栄光引っさげて、国内の道路じゃなきゃ走っていいんだろ?リコール車。
パリ・ダカールラリー、堂々バスで完走だ!
 次回のモーターショー、あっ三菱自動車さんだけビックサイトではなく
晴海の展示場で、アラブ人相手に17万台中古車即売会も併催。

 霞が関の役人さんよ、昔から知ってたんだろ?見て見ぬふり、
三菱のオーバーヒートした驕り高き隠蔽体質。
 しかし自分達の乗る路線バス、廃止になったら困るもんな。
 人生色々、会社も色々と豪語している小泉に逆らい、三菱自動車を
ここまできたら時代錯誤と言われようが、財団法人化という安全な
カーナビを搭載した、役人天下り天国行き国営路線バスとして、
陸運局に申請出しましょう。

 隠蔽発覚戦々恐々、明日はわが身だ、同業他社のみなさんは嵐が過ぎるのを待つだけ。
 走れ三菱!過去のキャリアや人格を否定される事があろうとも、
誰も地に落ちたダイヤを拾って磨く気も余裕も無いんだから・・・。


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