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カフェ・クマ−談話室 過去ログ

2004年6月

2004年6月29日 火曜日 11:04a.m. 山下恒夫氏訃報に接して

昨日の朝日新聞夕刊を見て、5月4日に山下恒夫さんが亡くなっていたことを初めて知った。山下氏は、漂流民研究家の第一人者。デラシネのなかの『今週読んだ本、買った本』の中でも紹介しているが、今年岩波新書から『大黒屋光太夫』を出したばかりである。あまりもの急報にびっくりしている。山下氏とは、ずいぶん前に故村山先生のお宅でお会いしたことがある。鋭い眼光、そしてそれにまさる鋭い舌鋒、怖い印象が残っている。それからはずっと手紙のやりとりだけになったが、私にとってはずっと怖い人であり続けた。漂流民のことをかいた「魯西亜から来た日本人」、レザーノフの翻訳『日本滞在日記』をお送りしたときも、便箋にぎっしり、10枚以上にわたって感想、そして批判を書いてもらった。もう少ししっかり調べなさいよ、ということなのだが、これだけのことをきちんと言ってもらえるのは、山下さんだけだった。若宮丸漂流民の会を立ち上げ、会報を毎回送っていたのだが、その度に感想、叱咤、激励を寄せてくれた。いつも山下さんからの手紙が届くと、怖くもあったのだが、読むのが楽しみでもあった。去年の暮れに会報を送ったときになんの音沙汰もなかったので、気にはなっていたのだが、新書が出たのを見て、これを書くのに忙しかったのだろうと思ったりもしていた。
私にとっては怖い存在の山下氏がなくなったことは、とても寂しい。市井の学者として、これだけ徹底的に漂流民のことを調べ、研究した人はいない。史料の徹底的な捜索、そして読み込み、解読、それをきちんとやっておられた。皮相な推理だけで、論を進める私のやりかたを、もっとびしびし指摘してもらいたかった。そしてなによりも光太夫のあとの漂流民の研究の成果を見たかった。享年64歳という。あまりにも早い死であった。

2004年6月24日 木曜日 2:46p.m. フールBソロ道化シリーズ初日の舞台から

出演を予定していた山本光洋が、腰痛のために急に出演できなくなるというアクシデントがあったが、新たなプロジェクト『フールB』の初めてのステージは、なかなか見応えのあるものになった。
今回の大きな目的は、ソロの作品をじっくりつくってもらうことだった。今回は出演者ひとりひとりが、自分で明確なテーマをもち、作品をつくっているところが、良かったと思う。トップバッターをつとめた三雲いおりは、キャラクターを演じ分けるということをテーマにし、酔っぱらい、お化け、そしてお化け屋敷の案内役を演じた。ネタ見せのときには、変わるところがいまひとつはっきりしなかったが、本番はこの変わり目がずいぶんと良くなっていた。しゃべくりが中心だが、それは彼のもつ大事なキャラクターのひとつであり、このなかから彼がめざすボードビリアンの道が開けてくるように思えた。ふくろこうじは、とにかくイスにこだわりたいというのがテーマ。今回は曲がったイスをテーマに、不条理なゆがんだ世界を見せようとした。見せかたについて言えば、まだまだいろんな工夫ができるような気がするが、なにより、これを演じることで、イスにこだわっていきたいという明確な視点が生まれたことが大きな収穫だったといえる。重森一は、身体全体でモノローグを発する、そんな姿勢が見えた。饒舌なしゃべくりと、切れのある動きで、思う存分表現していた。
それぞれ20分ぐらいのショーだったが、ひとつひとつの作品が厚みがあったので、見応えがあった。
25日にも公演がある。一見に値する公演といえよう。

2004年6月16日 水曜日 1:14a.m. サーカス文化の会で「済州島馬サーカス」の報告をします

コスモポリタン紀行に最近書いた済州島の旅の報告を、来週開かれるサーカス文化の会でします。興味のある方はご参加を。特に会費とか資格とはありません。ごくごく内輪の会ですが、一見さんも歓迎ですので、気楽にご参加ください。
モニターはないのですが、パソコンで写真、そしてもしかしたらビデオをお見せすることができると思います。

日時 6月22日(火)午後6時45分−9時ぐらいまで
会場 千駄ヶ谷区民会館(JR原宿駅下車竹下口から徒歩5分)
   和室
催し物タイトル サーカス文化の会6月例会
        「済州島のモンゴル馬サーカス」
報告者 大島幹雄
  

2004年6月9日 水曜日 0:51a.m. 新連載『ダメじゃん小出の社会のつまみ食い」がはじまりました

突然なのですが、ダメじゃん小出の時事放談のコーナーをつくりました。ロシアの秘境を市民の目から見た紀行文を書いてくれている金倉孝子さんのコーナーに続いての寄稿連載コーナーになります。
ダメじゃん小出のライブは、その時その時の旬の社会ネタを小気味よく斬っていく、その切り口が魅力のひとつなのですが、それを誌上で再現できないだろうかと、私からお願いしてできたコーナーなのです。ダメじゃん小出はライブ用のネタをまずはネタ帳に書いて、つくっているということから、文章は絶対に書けると思ったことが、連載依頼の大きな理由になっています。
元ニュースペーパーの松崎さんは、『週刊金曜日』などをはじめコラムをたくさんかいています。このダメじゃんのコーナーは、松崎さんのコラムとは一味ちがったものになると思います。というかそうなって欲しいと思っています。社会を眺めおろしてみるのではなく、ちがう角度から見て斬ってもらいたいと思ってます。週刊誌ともちがう、ライブでダメじゃんが見せているような、斜めかげん、それがここで見れたらいいかもと思います。
一応月に一回ということにしているのですが、なにか言いたいと本人が書いてしまったときは、それにこだわらず掲載していきたいと思ってます。
ということで、こちらもよろしくご愛読お願いします。


2004年6月2日 水曜日 1:45p.m. カバレット早稲田をやります。

また半分思いつきで、カバレット早稲田をやることになりました。横浜で今年2回やったのですが、今度は都内の中心に出向いてやろうということです。ひとつには学生の街なので、学生を含めた若い人にカバレットの面白さを味わってもらいたいということがあります。とはいっても学生に合わせるのではなく、あくまでも濃い世界をお見せしたいと思っています。
出演者は1月30日の桜木町ファイナルイベントで、息のあったからみを演じてくれた、ダメじゃん小出、ふくろこうじ、チャイソンズ、ステラミラの4組のメンバーです。

神出鬼没なバラエティー・ショー
“カバレット”が、今度は学生の街早稲田に!

黒く偏ったカラフルな毒たちの、変幻自在でシュールな
パーティー
ユーモアと風刺、ゆがんだ笑いの機知に富んだごった煮
まっすぐねじれた芸術空間が早稲田の街と妖しくコラボ
曲芸する精神 in WASEDA!

2004年7月6日(火)  18:30開場 19:00開演
前売り2000円 当日2300円
atアートボックスホール
高田馬場から早稲田通りを早稲田方面に約10分。明治通りを渡ってラーメン屋〈七福神〉の角を左に曲がってすぐ。

主催 カバレットB事務局
予約・問合せ 03-3403-0561 IZJ00257@nifty.com




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