観覧日 2001年9月3日午後6時
会場 北九州博覧祭ひびっこホール
公演時間 1時間
あまりにも思い込みが多いサーカスだったので、冷静に見れなかったことは事実。ショーの内容よりも、客席の反応が気になってしようがなかった。
今回の番組の一番大きな特徴は、パレード。20分という長丁場だ。シルクロードを旅するキャラバンが、オアシスに集い、芸を見せあうという内容になっている。ジャグリング、鞭芸、バランス、綱渡り、フラフープのサビの部分を次々に見せていくのだが、これをベリーダンスなどエキゾッチックなダンスが彩りをくわえている。
なによりもこれだけ女性たちが登場するサーカスはいままでほとんどなかったのではないだろうか。女性4人のオリエンタルアクロバット、コントーション、空中バンブー、縄跳びアクロ、すべて女性たちが演じている。
音楽も衣装もシルクロードをイメージして、エキゾチックなムードを高めてくれる。カザフスタンという国があることを知らない人が多いなか、違和感をもつ人も多かったかもしれない。一言でいえば変なサーカス、奇妙なサーカスといえるかもしれない。
ただこんなサーカスもあっていいと思うし、ひとつの方向性としては、とても可能性をもっているような気がする。
ヨーロッパのいわいるヌーヴォーシルクと呼ばれる新しいサーカス、ラスベガスのショーに代表されるショーアップされたサーカス、中国の超人的な人間技を前面に出したサーカスなどと違う、アジアサーカスの可能性として、シルクロードをイメージしたサーカスは、とても有効な気がする。
オリエンタル的なものとアラブ的なものが混合されたところに、カザフスタンという国の特色があるわけだが、それを前面に出すことで、自分たちのサーカスの方向を定めたことは正解だと思う。旧ソ連の国々が、ソ連の解体、自由経済の導入で、あまりにも性急に欧米化を進めるなかで、サーカスも欧米のコピーが氾濫していたように思える。その意味で、これから国立カザフスタンサーカスが、自分たちの国の特色をいかす番組をつくるなかで、いままでとはまったく違うサーカスをつくりだしてくれるのではないかとも思う。 今回の「オアシスの妖精」は、その意味でひとつのメルクマールとなる公演だと思うし、新生国立カザフスタンサーカスの第一歩となった公演といえるかもしれない。
番組は、オープニング、オリエンタルアクロバット、ローラースケート、ダブルコントーション、空中リンク、縄跳びアクロバット、人間車輪(日替わりで、ダブルコントーションの代わりに空中バンブーが演じられている)。
オリエンタルアクロバットは構成がいい、縄跳びアクロバットは、オリエンタルアクロバットの4人とコントーションの2人の女性たちが、促成でつくった番組。テクニック的には物足りないところもあるが、なによりも明るくて陽気な雰囲気がいい。人間車輪は今回5人で演じられている。中心メンバーのデニスの個人技はテクニック的には、二年前よりも数段とあがっている、なにより最後三つの車輪での5人の旋回技は迫力がある。
特筆すべきは、ベリーダンサーのエンマの妖艶なダンス。オープニングでジャグリングで絡み、クラウンのレプリーズでも観客をステージにあげ、腹にのって踊るところはおおいに盛りあがる。
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