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クマの観覧雑記帳

『沢入サーカス学校後期発表会』

観覧日 2003年12月20日午後2時〜3時40分
会場  沢入サーカス学校 


 開場とともに雪が本降りになり、雪が降りしきるなかでの公演でお客さんは少なかったが、実に熱気のある公演になった。サーカス学校は確実に進化していることはもちろん、日本でやっとサーカスを本格的にやる芸人さんが育っているのだという実感がひしひしと伝わってくる、素晴らしい公演だった。なによりも演じている生徒たちのエネルギーが迸ってくる、こんな公演を見れたのがなによりもうれしい。
 みんなほんとうに身体が動くようになっていたし、演目も、ずいぶんとバラエティーに富んでいた。シフォンがふたつ、ブランコもあったし、足芸、一輪車、女性ふたりのアクロバット、イスのバランスなど、大道芸ではなく、サーカスの構成になっている。これは打ち上げの席で、会社の同僚の大野洋子が言っていたことだが、技術を見せるだけでなく、いかに見せるかという生徒の意欲がとても感じられた。これも素晴らしいことだと思う。最初からこういう意識で、演じるということは、のちのちとても大切になると思う。
 みんな身体ができてきて、自信がついたのだとおもう。たとえ100%できなくても、見苦しくないのだ。それに身体がこんな動くんだという喜びのようなものが、伝わってくる。5人からスタートしたサーカス学校だが、生徒数も増え、互いに切磋琢磨するという関係もできていることが、よくわかる。校長の西田が、一番手応えを感じているのではないかとおもう。
 あさことあきこのアクロバットと、あいあいの足芸を見てジーンとなってきた。ハーリックが10月にサーカス学校に来たとき、ほとんどの時間をあさことあきこのアクロバットの指導に付き合って通訳していたからかもしれないが、あれから二カ月、よくここまで番組をつくったと思う。番組的にはもちろん、完成はしていないのだろうが、あの時からみると数段よくなっていたし、ショーとして十分成り立つところまで、きている。とても期待できると思う。足芸の達人琴美姉さんのマンツーマンの指導をうけたアイアイの演技も見事だった。襖をまわすところまでできるようになったのだ。サーカス歴50年という琴美姉さんを呼んだことで、またサーカス学校の可能性が大きくひろがった、それが今回のあいあいの演技に感じられた。
 特別参加した元キグレサーカスの芦田君の自転車の演技も良かった。彼もサーカス学校の生徒と一緒に公演することできっとなにかをつかんだと思う。
 日本でサーカスが育っている、そんなそれを目のあたりにした公演だった。
 未来という言葉が、うそっぽく感じられるいま、ここには確実に未来があった。素晴らしいことだと思う。


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