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カフェ・クマ−談話室 過去ログ

2003年3月

2003年3月29日 土曜日 3:21a.m. 三増れ紋さんについて

1993年 4月 日本映画学校俳優科入学
1996年 4月 故内海好江に師事し話芸の修行
1998年 9月 江戸曲独楽三世三増紋也に弟子入り
1999年 5月 姉弟子三増小紋の後見として初舞台
2000年 12月 独り立ち初舞台

という経歴で20代後半の方だそうです。
因みに4/16の14:00から横浜にぎわい座で
「内海桂子と愉快な仲間たち」のゲストででるそうです。

(大谷)





 


2003年3月28日 金曜日 4:17p.m. RE:三増れ紋

大谷さん、こんにちわ。神さんの件ではお世話になっています。
三増れ紋の公演の感想ありがとうございます。おいくつぐらいの方なのでしょう。話術がしっかりしているということは、年配の方なのでしょうか?
独楽の曲芸は、寄席などにいかないとなかなか見れませんよね。公演の情報とかありしたら、また教えて下さい。
そしてこれからもちょこちょここの頁にも遊びにいらしてください。
(クマ)

2003年3月28日 金曜日 2:50a.m. 三増れ紋

大谷と申します。
普段クラシックしか聴かないと思われてるかもしれませんが、それでもたまに寄席や狂言にも行きます。このまえ柳家小三治師匠の「うどん屋」を観たのですが、その前座というか色ものとして出てたのが女流独楽師の、三増れ紋さん。独楽の技術の上手い下手はこちらはわからないのですが(自分は上手いと思いましたが)、とにかく喋りというか雰囲気の作り方が強引なくらいうまくて、20分間すっかり愉しませてもらいました。なんか独楽の曲芸というと、次から次へといろいろ芸をみせていくものと思っていただけに、これはとても意外でしたし、途中から喋りの合間に独楽をやっているようなかんじすらしたほどでした。
機会があれば、れ紋さんの今後の舞台も観たいと思いましたし、他の独楽の人の舞台も観にいきたいと思った次第です。
それにしも、れ紋さんの話を聞いていると、三増一門、みな強力なキャラクター揃いに聞こえたのですがどうなのでしょうか?ちょっと気になりました。

2003年3月25日 火曜日 11:09a.m. 観覧案内板『半蔵門ラプソディー−津軽三味線VS大道芸』

クマです。本来であれば観劇案内板に掲載しなければならないのですが、デスクの大野が超多忙につき、公演も迫っているのです、カフェクマにてご紹介させてください。
津軽三味線と大道芸のコラボレーションという興味深いイベントです。しかも三雲いおり、Kaja、ふくろこうじというつわものたちが大道芸側から参加するというのが、味噌。見なくては・・・・
福居一大、典美姉弟のふたりは、津軽三味線コンクールで準優勝、優勝した実績をもっている。大道芸とどんな風に絡んでいくのかにも注目。公演日 3月28日(金)19時開演・29日(土)14時・18時開演
会場 TOKYO FMホール(半蔵門)
入場料 前売り 3,000円  当日券 3,500円
問い合わせ ウェブクウ 03−5766−1595

私は、金曜日の公演を見に行く予定です。

2003年3月24日 月曜日 11:29a.m. 安田鑑賞記VOL6

 こんな頻繁にしゃしゃり出ててくるのは恥知らずだろうなぁと赤面しつつ、それでも書きますVOL6。

 先日秋葉原で大道芸がありました。ヘブンアーティスト IN 秋葉原。芸については何も申しませぬ、ただここに書きたいのは「アキハバラで都が主催して大道芸? それってうまく行くの?」といった興味だけで。
 アキハバラと言えば電化製品からオタク文化へ変遷した土地柄。コミケというイベントに3日間で40万人集まるそのパワーに街は占領されています。さらに電化製品はアキハバラが安いという事は全く無くなってしまい、家電事業の顧客は激減しています。大丈夫かこの祭り。

 さてオープニングのあと大道芸は始まりました。しかし報道陣は大変多かったのですが、観客はきわめて少ないようです。それでもしばらくすると人はどんどん集まってきて、2時間もするとどこもかしこも人だかり。秋葉原って人が多いんですね。見ただけでオタクとわかる人は少なかったですが(ゲームの新作発表の方にはたくさん居た)外国から来た一行、家電を買いに来た一家などが観客として多かった気がします。よく考えてみれば、路上で商品を説明して売っていく芸(包丁でブロックを切ったりするテレフォンショッピングでお馴染みのアレ)も駅前でずーっとやってますし、全く人がこないと言うのは有り得ない場所でしたね。

 さて運営の手際はどうだったか。警備員を多数配置して自転車などは通さない、スタッフも居てお手伝いをする、予め電源は確保しておく、などの色々やってるようではありました。
 しかし準備や片付けもいれて30分きっかりでは短すぎたようです。押し押しでイライラしてた人も多数。それとチラシはもっと早めに配るようにしてほしかったですね。始まりから居たのに貰ったのはだいぶ後でした。朝から駅前で配るくらいしていれば、最初から観客もいたでしょうに。さらに隣から聞こえる音で芸が妨害されてる場面も多数、うーん実に問題多数。

 総括すれば開拓事業ということで、やって良かったんじゃないかと。お疲れ様でした。

2003年3月19日 水曜日 2:55p.m. 安田鑑賞記VOL5

サイレントコメディーベスト版

 三鷹という少々都心から離れた街で、満員を越えた満員の客席。隣の男はこのために仙台から来たという熱狂的なファン。もはや大人気と言って過言はないのに当日券で2,800円という安さ。観る方にしては嬉しいんですけどね。

 オープニング「がーまるちょばSHOW」は一点の曇りもない笑いだけの世界で、ただただ爆笑。その後は全てコメディの笑いとパントマイムへの感嘆が混じります。表情を巧く使った静かな「ラーメン屋」、激しく動く体が魅力の「地底人ゴロー」、ブルースリーの物真似「ドラゴン怒りのラーメン」、やかんと男とのやりとりが面白い「やかん」、小道具も取り入れ舞台を大きく使う「カーチェイス」、長編の「がーまるウエスタン」で終演。

 総括すればオーソドックスなコメディによる笑い+パントマイムの凄さ=サイレントコメディーという感じで、大変楽しめます。楽しめることは既に多くのファンが集まることからも明らかです。しかし方程式以上の何か新しい物が生まれそうな、すでに少しだけ産声が聞こえているような気もするのです。いつかこの方程式に新しい項が増えていることを祈って、今回の鑑賞記の筆を置きます。

2003年3月15日 土曜日 1:49a.m. 嶋田 TFJ 丈裕 / 『ミステリヤ・ブッフ』

僕は土曜のソワレで観ました。ロシア・アヴァンギャルドだとかマヤコフスキーとかそういうこと気にせずに楽しんでしまいました。

ところで、大野さんの「役者でいうと、最初に観覧上の注意を掛け合い漫才でやってたんですが、この2人がたいへん面白かった。」の件ですが、僕の観た回と同じであれば、小西 康久 & 内田 紳一郎 です。2人とも元自由劇場 (美術を手掛けてた串田 和美の) です。メンバーはこの2人だけではないですが、最近では、バチカンブラザーズとして大道芸とかショーとかやってます。僕の大好きな日本の劇団 (?) の一つです。ウェブサイトは↓です。
http://www007.upp.so-net.ne.jp/biscuit/batikan.htm

写りが悪いですが、2000年の三茶de大道芸のときの写真もあります↓。
http://www.kt.rim.or.jp/~tfj/photoalbums/Sancha2000/index.html

ショーの方も2回ばかり観たことがあるのですが、コメディ寸劇あり、生演奏音楽あり、ゲストの歌あり、VJタイムあり、マジックやジャグリングあり、という感じで、とても楽しかったですよ。『キャバレット・チッタ』を観たとき、最初に連想したのが、バチカン・ブラザーズのショーでした。

あまり頻繁にやってないんですが、機会があれば、観てみるのもよろしいかと。

2003年3月13日 木曜日 0:13a.m. ダメじゃん小出ソロライブ『負け犬の遠吠え』Vol.6

銀座小劇場で小出のライブを見る。いい出来だった。見応えがある内容になっていた。VJコミックカットの映像が入り、立体感のあるステージになった。なによりもネタのばらつきがなくなった。いろんな現場を踏むことで、力がついてきたようだ。余裕さえ感じられた。
気になったネタをいくつか。
今回の新手法は、ブッシュの演説の映像を流し、小出が同時通訳を演じながら、ブッシュの本音をばらまき、それをこき下ろすもの。これには笑わせられた。プロジェクXものは、蓮池兄弟を取り扱った。これは題材の面白さでひっぱっていたが、もう少し抉ってもよかったかな。冒頭の映像だけで十分笑えたので、その後蓮池兄に扮した小出がでてから、もっとなにかがあるのではと期待しただけに、もう少し突っ込んでもよかったかもしれない。どこに焦点を絞るかに迷いがあったのかなあ。
最後の締めのネタは、これも小出のおじさんシリーズのひとつであるのだが、なにか哀愁さえ感じるいい作品になっていた。ただこれはたぶん自分だけではなかったと思うが、冒頭で近未来(1年後ぐらいの設定)日本海沖で北朝鮮が米軍機を襲撃、それに対して米が反撃、核施設を爆破、日本もその影響を受け、核被害が蔓延という説明が、なんともリアルだった。おそらく寓話として取り上げたのだろうが、それが寓話ではなくなんていることの怖さを感じてしまった。これは小出の問題ではなく、現実の問題なのだ。
どのネタもよく練り上げられていたと思う。在日中国人のモノローグのネタも完成度が高かった。つなぎもよく考えられていた。planBという地下室から抜け出して、100席ぐらいのステージに格上げしながら、小出自身も進化しているようだ。時間も1時間20分ぐらいだったと思うが、このくらいのボリュームで、ひとつひとつのネタをじっくり練り上げていると、見応えがある。いい公演だった。6月の公演が楽しみになってきた。


2003年3月11日 火曜日 7:17a.m. デスク大野/ミステリヤ・ブッフの感想 その3

(つづき)
 ・・・なんて、劣等性気分を刺激されたせいか文句ばっかりたれてますが、全体の印象は楽しかった!ステキな演奏、磐石の役者陣(年季が入った人が多かったし)、愉快な芸人たち(ちぃちゃんかわいい)、ゴージャスな人数(物量というものは侮れません)、そして、わくわくする舞台美術&衣裳!(あのゴワゴワの赤いジャケットを私も着てみたいー!) 役者でいうと、最初に観覧上の注意を掛け合い漫才でやってたんですが、この2人がたいへん面白かった。ああ、あのテンションがお勉強モードに邪魔されなければ・・・。客入れ時と休憩時には大道芸大会がはじまるし、休憩時はテーブルを持ち出してドリンクサービスもあったし、お祭り気分満喫。やっぱりお芝居とかやってる場合じゃないでしょう。長台詞とか割台詞とか余計ですよ、絶対。あ、また文句だ。

 なるべく1917年からは遠ざかる方向で、この「シリーズ・演劇の十月」は続けていってほしいと思います。2003年バージョンの十月を模索してほしい。革命のときの芸術の高揚って、ようは芸術に対する過信、即ち、芸術によって社会や世界が変革できるという思い込みにあったんだから(半可通)、その部分は多少のアレンジを加えれば現代に持ち込むことが可能だと思う。そういう幻想、見ていたいじゃない?不景気だし、戦争はじまるし、隣の国は壊れそうだし。
 「赤い革命」の「赤い」部分はすでに終わった気分なので、もうそういうオジサンの思想はどっかにやっちゃっていただいて、純粋革命=「ええじゃないか」的民衆扇動をやるべき。
 時代と民衆にリンクしない革命は革命じゃない。昔の話は本で読めばいいよ。テキストではなく、マーヤちゃんたちが革命芸術のなかに求めた本質をこそ、2003年の私たちに見せてほしい。

2003年3月11日 火曜日 7:16a.m. デスク大野/ミステリヤ・ブッフの感想 その2

(つづき)
 まあ、ロシア・アヴァンギャルドやマーヤちゃん(の作品)のファンの人たちにはテキストが大切だろうから、ああいう懐古趣味もいいのかもしれません。でもね、気分的にはオジサン世代が思い入れたっぷりに革命を語るのを、若い世代が鼻で笑う、とかそういう構成で見たかったなー。

 面白かったのは、観客が進行に合わせてあっちこっちに移動させられること。装置の移動や役者の出入りに伴って、強制的に追い立てられたり、見えない角度で何かが始まってしまって見えるところまで自発的に移動したり。追い立ては、役者も「こちらの方が見やすい席になっておりますわよ」なんつったりして(田中利花さんステキ)、そこのところも楽しかったです。
 思うに、遠い世界の階級闘争の話なんてよしにして、観客をあっちに追い立てこっちに追い立てして挑発する、本格アジプロ演劇にしちゃえばよかったのに。「観客罵倒」(昔おフランスでそういう演劇があったそうな)じゃなくて、「観客誘導」。ちょいとした味付けで現代風のアトラクションになると思うんですが。キャストのひとり、モンゴリアン・クラウンのハトガーの芸を見ててそう思いました。
 そもそも対立する人々を前にして、常にただの観客になってしまうことこそが現代日本の問題点なのでは?そういう人たちを巻き込んで、強制的に祝祭のカオスのなかにぶち込んじゃえ!それが現代の革命劇なんじゃないのかなぁ。「ハイ、皆さんお立ちください。ずずーっとここまで出てきて。」ってな感じで客の80%くらいは舞台に引っ張り出して合唱させて、踊りのひとつも躍らせれば盛り上がると思うんだけど。ディズニーランドの手法。そんでもってそういう観客を「従順な連中」として物語に登場させ、コキおろすという・・・まぁ、ワタクシ好み。オーダーメード演劇。誰かやってくれないかしら。当方、80年代の小劇場ブーム中に70年代小劇場にあこがれておりました学生演劇出身者であります。んー、状況劇場サイコー。 (まだつづく)

2003年3月11日 火曜日 7:14a.m. デスク大野/ミステリヤ・ブッフの感想 その1

 デスク大野です。クマ氏ご推奨の「ミステリヤ・ブッフ」を見て来ましたので、感想を。

 楽日だったからでしょうか、お客さんもけっこう入ってました(80人くらい?)。正直、「シリーズ・演劇の十月」(ロシアで十月というと1917年のロシア革命を指すらしいのですが、これってタイトルになるくらいの常識ですか?)とか言って、ロシア革命における芸術の高揚を追体験するようなレトロ企画に、こんなにお客さんが入るなんて不思議・・・。黒テントやこんにゃく座についているお客さんなのかな。
 クマ氏も書いてましたが、なぜ今革命劇なのか、というところの説得力がじぇんじぇんないように思いました。興行的にもお客さんが呼べなさそう。
 でも、私はマーヤちゃん(原作者のマヤコフスキー。誰もそんなふうに呼んでないって?)のファンだから、どんな時代でもオッケーよ。作品は読んでないけど。・・・顔写真のファンなのです。男前。マンガ描くのもうまいしね。←かつて図書館でマヤコフスキー伝の図版部分をメインにお勉強しました。

 肝心の舞台は、カバチッタを彷彿とさせるものがありました。演奏家と芸人と役者、それぞれが好き勝手やってる感じ。ただ、その人たちをつなぐのが音楽じゃなくて芝居、というところで、融合ぐあいにハンディがあったのでは。早い話が、お芝居になるとタルいんです。

 ストーリーは、チラシから引用すると
 ・・・「革命」という名の大洪水に飲みこまれた地球に生き残ったミギレイでウスギタナイ連中。彼らは急造りの方舟に乗り込み、約束の土地目指して船出する。船の中では威張りちらす王様が食べ物を一人占めするやらのてんやわんや。やがて彼らは地獄で悪魔を怖がらせ、天国で神サマをこきおろしたあげく、来るべき希望の場所にたどりつく。・・・
 ということなんですが、てゆーかー、階級闘争と革命のメタファーとか語られてもー、もとの闘争やら革命やらのことなんて知らないしー。なんか、「奇天烈喜歌劇」という触れ込みだったはずなのに、お芝居が続くとすっかりお勉強モードが発動しちゃうんですよね。あーんもう、いいじゃん別に理屈なんて。こういうおツムの弱い人のために、も少し台詞は少なめにしていただけると助かるんですが。歌ってよ、僕のために。踊ってよ、僕のために。 (つづく)

2003年3月8日 土曜日 1:45a.m. クマの観劇雑記帳 「ミステリア・ブッフ」

『ミステリア・ブッフ』の初日を見る。正直あまり期待していなかったのだが、面白かった。デスクの大野君、見た方がいいと思うよ。
ふたつの見どころがある。ひとつは、舞台空間。いわいる額縁舞台ではなく、ギャラリーをつかっているのだが、この舞台空間がとても刺激に富んでいる。演技する場所が頻繁に移動するので、客も移動しなければならないという仕掛けになっている。照明は特筆ものだった。最後にマヤコフスキイやメイエルホリドの顔写真が、フロアに映し出されたにはびっくり。演出家の加藤直、美術監督の串田和義の、この舞台で思い切り実験しようというただならぬ意欲を感じた。もうひとつの見どころは、ロシアアヴァンギャルドを学生のころやっていた自分にとっての大きな問題でもあったのだが、『ミステリアブッフ』という革命祝祭劇を、共産主義が幻想となった、ソ連解体後の「いま」上演される意義がどこにあるのか、ということだ。ブルジョワとプロレタリアの階級対立を、中世のミステリア(神秘劇)の構造を利用しながら、ブッフ(道化)で逆転させるという、この芝居が上演された時のエネルギーを、「いま」どう描くかが大きな問題だったはずだ。「革命」という力学を、「革命」が死語になってしまったいまどう描くのか。
難しい問題だと思う。革命のエネルギーを感じ、それを伝えようというのは感じるのだが、それを思い切り、肯定的に描けない、そんな躊躇が感じられた。それはこんな時代なのだからしようがないのかもしれないが、見ているうちに、思い切っていまこそ革命の季節だ、立ち上がろうよ、と言ってくれたほうが、良かったのではとという気がしてきた。時代を気にするのではなく、時代を挑発する、そのエネルギーがいまこそ必要なのではないだろうか、遠慮なく時代に対して、叛旗を翻すぐらいのエネルギーを打ち出してもよかったのではないだろうか。
そのなかに「いま」『ミステリアブッフ』を上演する意義があったはずである。
ブルジョワとプロレタリアという構図は決して古くなっていないのである。イデオロギーは別として、貧富の差は、もしかしたら20世紀初頭よりひろがっているのかもしれない。その意味でもう少しつっこんでもらいたかったなあという気もしている。でもこの芝居は、一見の価値はある。ロシア行きが延期されてほんとうによかった。

2003年3月6日 木曜日 10:51p.m. クマの観劇雑記帳 「ナポレオンズ・立川談志イリージョン対決」2

途中からビデオで、古今東西のマジシャンのビデオを見ながら、その品評をしながらトークは進んでいく。このビデオというのが、マジックのコレクター沢田隆治氏ならではの逸品揃い。談志は何度か舞台にすわりこみ、見惚れていた。どうも彼が一番好きなマジシャンは、アダチ竜光らしい。独特のとぼけた味わいの話ぶりのなかに、談志は芸の本質を見ているようだった。ショパン猪狩のもおおはしゃぎで見ていた。それとおかしかったのは布目貫一という浪曲手品のビデオが流れたときに、大体浪曲と手品と一緒にするところで、ダメだよねと言ったのだが、見ているうちにこりゃ面白い、これだけ馬鹿馬鹿しいといいね、さっきはあんなことを言って失礼と言ったこと。やはりこの人は、芸ということにこだわりながら見ているし、彼なりの芸論というか、本質がきっちりできているということなのだろう。
ステージでしょぼいインチキマジックのようなものを見せているナポレンオンズを、談志は買っているのである。トークの締めで、談志が、ナポレンオンズの芸に対して、「首がぐるぐるまわるやつでさ、実際に首がほんとうにまわったらいいよな、それをやっている自分もわかんなくて、さりげなくやってしまうってなことができたら、いいだろうねえ。」と言っていたのが、印象に残った。それに対してナポレオンズのふたりは、ちょっと答えに困っていたが、談志はそれでも、「いやあんたたちはそれがきっとできるよ」と言っていた。
すごいことをやっているのだけど、やっている本人たちがそれに気づかないように、さりげなく演じる、それがほんとうの芸じゃないのという芸論、とてもインパクトがあった。
見ていて、とてもとくした公演だった。久しぶりにいいものを見たというか、聞いた、そんな会だった。
こういうことがプロデュースできるのは、やはり沢田隆治だと思う。
この3月で沢田さんはにぎわい座のプロデュースをおりるそうだが、もったいないことだと思う。

2003年3月6日 木曜日 10:33p.m. クマの観劇雑記帳 「ナポレオンズ・立川談志イリージョン対決」

安田さんに負けずに、私も観劇雑記を。
3月6日横浜にぎわい座にて、「イリュージョン対決」を見る。プロデュースをしている沢田隆治氏と電話で話していたら、ラスベガスのフェルストン・ジョーンズというマジシャンがいま来ているから、見たらと誘われ、見に行った。ジョーンズは、4日の公演にもでていたのだが、沢田さんいわく、6日の方が絶対にいいと言われたのだが、その意味がよくわかった。
公演の内容は、いつものようにナポレンオンズが進行役をつとめ、マジックのネタを見せながら、間にゆみ(女性マジシャン−清楚な感じがすくなかなかの美人で、芸風もルックスにあった美しさをひきたてたもの、リスボンのフィズムで銀賞をとったという)、柳貴家小雪の大神楽曲芸(芸はそこそこだが、もう少ししゃべりを上手した方がいいだろうなあ)、そしてフェルストン・ジョーンズのマジック(炎のイリュージョンということで、火を次々に取り出したり、爆竹をつかったり、テンポがあって、こけおどしも実にさまになっている、華やかなマジックだった)の芸があって、そのあと今日の目玉ともいうべき、立川談志とナポレオンズのトークショーという内容。
とにかく自分はまったく期待していなかったのだが、このトークショーが抜群に面白かった。
談志は登場してすぐに、いま演技を終えたばかりのフェルストンがやった客をつかってのマジックをいきなりけなし、さらにはゆみのマジックもあれはたいたことないねといなす。いきなり出演者の悪口から入り、しょっぱなから、なんとなく危ない雰囲気が漂ってくる。「落語はイリュージョン」と談志はかねがね言っているらしく、ナポレオンズと一度マジックの話をしたいと言っていたことから実現した企画とのことだが、談志は実によくマジックのショーを見ている。ナポレンオンズと、さまざまなマジシャンを肴に話すことで、彼の芸論を聞けたのが面白かった。(続く)

2003年3月4日 火曜日 9:10p.m. 安田鑑賞記VOL4(シリーズ化中)

 私もキダム行きました。派手な技で巧い構成作ってますよね。美しさの余り泣く人がいるのもうなずけます。ちなみに私はもう一度行く予定です。
 そういえばスポーツが入るのとは逆にジャグリングがなかったです、私の時も、私の友達が見たときも。パンフレットにはあるのですが。日本ではおやすみなんでしょうか?

 他にも色々と見ているのですが、最近は本当に境界が曖昧でどこで線引きすれば良いのやら。RUN-D-CREWさんはまだ紹介しやすかったのですが………。例えば好きなバンドのライブに行ったときに千葉レーダという妖しいバンド(?)がおりまして。まあ色物系だとおもって見ていたら、ライブ告知で「3/16巻上公一さんと即興演奏を―――」と思わぬところで繋がっていたり。是非行ってみたいのですが生憎と他のライブと重なっていけません。
 
 ロシア関係ということで無理矢理『アレクセイと泉』もご紹介させてください。ドキュメント映画です。(チェルノブイリに関わることなので正確にはロシア共和国の隣国の話ですが。)3月15日に上映会を横浜でやるみたいです。奇跡のような自然と純朴な人達のあまりの美しさは、映画を3年に一回しかみない人でも一番に見ておいて欲しいです。

2003年3月3日 月曜日 5:41p.m. RE:安田鑑賞記3

クマです。安田さん投稿ありがとう。これはシリーズ化されるわけですね。いいですね。いつも毛色がちがうものばかりなので、楽しみにしています。
さてダブルダッチといえば、いま公演中の『キダム』にも縄跳びの演技がありますよね。なかなか面白かったのですが、このなかの出演者のひとりが日本人で、縄跳びのいろいろな大会で賞をもらっているらしいですね。
キダムのなかには、『ジャーマンホイール』という大きな車輪に入って、旋回技や回転技を見せる演目もありましたが、これもサーカス以外のスポーツのひとつとして、日本でも注目されているようです。
私の兄弟分のカザフのローマもこの演技をしていました。暮れにやっていた『ゴールデンライオン』でも、この演目が入っていました。サーカスとスポーツの境界がだんだんとなくなっていくのかもしれません。


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