月刊デラシネ通信 > その他の記事 > クマの観覧雑記帳

クマの観覧雑記帳

カバレットB Vol.3 「時間」

観覧日 11月13日(火) 午後7時30分
会場  中野・plan B
公演時間 1時間10分


 三回目となったカバBの公演は、「時間」をテーマにそれぞれがネタをつくるという構成。「時間」という設定が、抽象的だったこともあるが、真剣に「時間」というテーマに向き合ったパフォーマーは少なかった。
 地球誕生から現在までの時間の流れを、神戸から東京までに換算するとどうなるかという設定でネタをつくった小林、時間という加工不可能なものを、大胆にフィクションとして縮めてクイックモーションで演じたこうじ、NHKの放送終了と開始に流れる日の丸を「花の応援団」と「幸せの黄色いハンカチ」という映画をパロディーにつかったVJコミックカルトが、真正面にこのテーマと取り組んだといえる。
 その中でも10分間で、洗濯して、食事をつくって、ひと寝して、彼女のところまででかけて、海までデートに行き、殺害して、山の方に埋めるという行為をモノプレイで演じたこうじのネタは、虚をつく発想の豊さに感心したし、いろいろこねていくといいコントになると思う。小林のネタは運転手という設定が余計だった気がする。
 planBには久々の出演となったCHiCAの1日の生活を淡々と演じたマイムが印象に残った。余計な感情移入やメッセージがあるわけでなく、日常の描写をしているだけなのだが、贅肉をそいだ簡潔さのなかに光るものがあったような気がする。最後に家に帰ってビールを飲むシーンでエンディングなのだが、実にうまそうだった。
 全体的に静かな公演になった。せっかくテーマを設定したのだか、全体を時間でくくるなにか工夫があってよかったかもしれない。ビデオ参加したVJコミックカルトが、導入でNHKの放送終了画像をつかったのだから、それを軸にもう少し時間を大胆に処理することもできたように思える。
 今回のプログラムは以下の通り。

1. 「1:58AM」 VJコミックカット
2. 「ハチ公物語」 重森一
3. 「タクシー運転手大いに語る」 小林誠
4. 「沈没」 いながきあつき
5. 「正義君」 ダメじゃん小出
6. 「雨」 トガ
7. 「10カウント」 TENKAN
8. 「空白の十分間」 ふくろこうじ
9. 「ジョン アンド オリビア」 マジックカンパニー
10. 「4:55AM」 VJコミックカット
11. 「吉日」 CHiCA

目次へ デラシネ通信 Top 前へ | 次へ