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クマの観覧雑記帳

「江戸幕府とロシア」展

会場 江戸博物館常設展示室
観覧日 2004年8月10日


 やはり金のあるところはちがう。当会主催の「初めて世界した日本人展」の手作りものとは、スケールがちがう。もちろん比べる必要もないのだが・・・。展示内容は、大黒屋光太夫関係もの、レザーノフ来航関係、エトロフ来襲関係、幕末のプチャーチン来航関係と、4コーナーに分かれている。光太夫関係の資料が充実している。国立公文館が氏所蔵する「北狄事略」、「亜魯斉人来航記」、「北槎聞略」の現物と、これは解説がなかったのだが、光太夫がロシアから持ち帰ったもの(メダル類)をカラーでスケッチした絵巻が、目をひいた。
 レザーノフ来航に関しては、古河歴史博物館が所持する資料資料が充実していた。とくにレザーノフが、幕府献上用に持参した、世界地図を鷹見泉石が写したという地図は逸品である。レザーノフの肖像画もカラーで堂々としていてとてもいいものなのだが、どこが所蔵しているものなのか、なんの説明もないのはどうだろうかのはどんなものなのだろう。全体的に日ロ交渉史のなかでも江戸時代に的をしぼり、それにふさわしい展示内容になっていると思う。ただこれだけ素晴らしいものを集めているのだから、展示物についての簡単な解説リーフレットや、展示物の解説パネルのようなものがあってもいいのではないか。光太夫の漂流と帰国、レザーノフ来航、エトロフ襲撃といった出来事のつながりをもう少し説明したほうが良かったような気がする。手前味噌になるかもしれないが、その点では「初めて世界一周した日本人」展は、解説案内にが充実していると思う。
 なんでも22日から展示物がかわるとのこと、今回は見れなかったエルミタージュ美術展と合わせて、見に行こうかと思っている。
 古河歴史博物館には、一度いかないといけない、そんな気にもなった。


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