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【連載】モスクワスクラップ帳

第58回

2006年10・11月のモスクワの週刊誌『論拠と事実』からスクラップした記事。

2006年10月41号
 日本――スター
2006年10月42号
 金正日はブッシュより悪いのか?
 マリア・シャラポーワ「金持ちになるのは恥ずかしいことではない
2006年10月43号
 世界一の小人
 アーラ・プガチョーワ「私は楽しく舞台を去るわ」
 ロシアの百万長者チチバルキン
 グノマ(地の精)は小人象を狩猟していた
2006年11月45号
 プガチョーワ スタイリスト? ユーモリスト?
 グスとムトカは友人ではない?
 ヒトラーが死んだのは1964年だった
2006年11月46号
 初演――ユーリイ・リュビーモフ
 エバ・ブラウンとヒトラーの子供たちはいままで生きていた
2006年11月47号
 どうしてマイケル・ジャクソンのことを馬鹿にするのか?
 後ろへ、センチメンタリズムへ


2006年10月41号

日本――スター

ノヴォシビルスクの小さな村から、日本で歌手デビューしたオリガ・ヤコブレーナが、日本でスターになり、現在はイラン人の夫と一緒に幸せに暮らしている。そのサクセスヒストリー。

この記事を読む限り、このオリガなる歌手、日本で大スターになったような感じなのだが、こんなに有名になった歌手はいないはずだなと思っていたが、確かに何年か前に「オリガ」というロシア人の歌手のアルバムがでていたことを思い出した。自分も二枚もっていた。ただそんなヒットしたわけではないと思う。透明感のある歌声は印象に残っている。


2006年10月42号

金正日はブッシュより悪いのか?

「私には理解できない」という読者からの投稿コーナー。最近核実験を行った北朝鮮に対して西側諸国からの批判が高まっているが、なぜアメリカだけに許されて、イランや北朝鮮が核を保有するのはまずいのか。

ロシアと日本では北朝鮮の核実験に対して温度差があるのはしかたがないことかもしれない。アメリカが世界の正義を代表するという考え方に対しての警句なのかもしれない。

マリア・シャラポーワ「金持ちになるのは恥ずかしいことではない

全米選手権後も二連勝と好調なシャラポーワへのインタビュー。父について、ツアーについて、お金についての質問に答える。全米で着用した黒のウェアが話題になったが、という質問に対して、すべてこうした買い物はネットを利用して購入しているとの答え。

このところ「論拠と事実」へ露出が目立っているシャラポーワ。世界でナンバーワンの人気のテニスプレイヤーなのだが、ロシアではいまひとつの人気。それに対しての戦略なのかもしれない。


2006年10月43号

世界一の小人

中国に住む、身長82センチの小人の写真

チリのサーカスで世界一小さい小人がいたという話を聞いたばかりだが、確か60センチだと言っていたように思える。チリでは大変なスターだということだった。

アーラ・プガチョーワ「私は楽しく舞台を去るわ」

めったに新聞・雑誌のインタビューに応じないことで知られているプガチョーワの単独インタビュー記事。

ロシアの百万長者チチバルキン

32才で百万長者となったチチバルキンのインタビュー。最初は携帯電話の販売のビジネスからはじまったという。何故か写真は、クラウン・グループ「リツェジェイ」のメンバーと一緒のもの。

ヒルズ族ではないが、ロシアでもこうした金持ちがどんどん増えている。

グノマ(地の精)は小人象を狩猟していた

インドネシアでおよそ1万8千年前と思われる発掘された人骨が、普通の人間の大きさよりずっと小さいものであることがわかり、人類学者で話題になっている。それによると身長は1メートルにみたないという。


2006年11月45号

プガチョーワ スタイリスト? ユーモリスト?

プガチョーワのインタビューの続き。「スター工場」のプロデューサーのひとりになった理由からはじまり、彼女を取り囲む男性歌手たちについても答える。

インタビュー嫌いのプガチョーワが2回にわたって「論拠と事実」にでてきたのにはわけがある。12月にかなり大がかりなコンサートが予定されていた。

グスとムトカは友人ではない?

サッカーのナショナルチームの監督グス・ヒィディング(グスはフースのロシア語読み)が11月8日で還暦を迎えた。ロシアサッカー連盟の会長ムトカとの間にすきま風。イスラエルとの試合がドローで終わったあと、ムトカはヒディングに「あなたは魔術師ではない」と語ったという。ヒディングの報酬は年間手取りで200万ユーロ。しかもこの金を出しているのは、チェルシーのオーナーでもあるアブラモビッチであるという。

日本円にすると約3億円以上。確かジーコが1億とか言っていたような気がする。その3倍か。韓国、オーストラリアの活躍ぶりを見ると、これだけの報酬も無理もないような気がする。それにしてもそれを出しているのがアブラモビッチというのはほんとうなのだろうか?

ヒトラーが死んだのは1964年だった

50才のアルゼンチンのノンフィクション作家アベル・バスチの最新作「アルゼンチンのヒトラー」のなかで、ヒトラーは自殺したと言われている日に、妻とともにベルリンを脱出し、南米に渡ったという衝撃的な事実を明らかにした。この作家とのインタビュー


2006年11月46号

初演――ユーリイ・リュビーモフ

ダガンカ劇場の新作「アンチゴネー」について自ら語る。音楽劇のような構成になっている。またカフカの「城」、トニー・ハリソンの戯曲も準備している。この芝居は来年秋に初演の予定。この時私は90才になる。

まさに老いてますます盛んというのは彼のことをいうのだろう。90才になろうというリュビーモフの芝居への情熱にびっくり。

エバ・ブラウンとヒトラーの子供たちはいままで生きていた

45号のインタビューの続き。ヒトラーがアルゼンチンに逃亡するまでには、2万人のナチストが協力することになった。協力者には第三帝国の最新化学兵器ロケットや宇宙理論、原爆技術などが提供されたという。

この南米の作家の作品については日本ではまったく伝わってこない。小説ならともかくノンフィクションで、ヒトラーが南米で生き残っていたというのは、あまりにも荒唐無稽ではないか。ニコライ大帝もそうだが、実は生きていたという話しはロシア人の好きなテーマなのかもしれない。


2006年11月47号

どうしてマイケル・ジャクソンのことを馬鹿にするのか?

「私には理解できない」という読者からの質問コーナー。 テレビなどで、マイケル・ジャクソンが児童合唱団と歌を歌ったときに鶏のような声を出していたと馬鹿にされているのは何故かという質問に、DDTのシェフチュクが答える。 生のように歌うことを見せるのは技術的に可能である。彼にとって大事なことは、人々のために満足を与えるのではなく、ただ金の木を刈ろうとすることなのだろう。

やはりシェフチュクは格好がいい。ロック魂が生き続けているということであろう。

後ろへ、センチメンタリズムへ

20年間クラウンマイム集団「リツェジェイ」で働いているアンバール・リバボフのインタビュー。小さい時から演劇に憧れ、コルホーズのアマチュアスタジオでマイムやダンスや合唱を学び、職業クラウンになるまで。20年間のなかで観客も変わってきている。自分は人びとをセンチメンタリズムなものに導こうとしている。昔の観客はポエティックなものや抽象的なものを受け入れていたが、いまの観客は直接的なものを好む。テレビの影響が強いのかもしれない。

「リツェジェイ」で20年間も働いていたということはかなりの古手なのだろう。リツェジェイは実際の公演も見ているし、ビデオでも何本も見ているが、アンバールのことはしらなかった。

 


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