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アートタイムズ2006 サーカス・芸

 
 神彰とアートフレンドアソシェーション(AFA)が発行していた月刊誌「Art Times」。その内容はAFAが呼ぶ公演の宣伝にとどまらず、詩、エッセイ、時評など実に多彩な誌面から構成されていた。
 彼らが最初にソ連から呼んだ「ドン・コザック合唱団」の公演から50年。神とAFAメンバーゆかりの地・函館で、『神彰とアートフレンド』展が開催されるのを記念して、この「Art Times」を復活させた。

 気鋭のソ連史研究者、半谷史郎氏がモスクワの公文書館で発見した神彰とソ連文化省とのやりとりから浮かび上がってくる新たな神彰像。
 日本における海外オーケストラ公演の歴史の研究家、大谷政和氏によるAFA招聘公演が戦後の日本に与えた影響の分析。
 そして神彰伝『虚業なれり』の著者、大島幹雄による「長谷川濬と函館」。
 これら執筆陣の熱のこもった記事に加え、神彰「ボクは民間芸術領事」(「Art Times」創刊号記事からの転載)、AFAの全公演記録、AFAメンバーであった芦沢丸枝さんの回想と、読み応えのある14ページになっています。
アートタイムズ2006 表紙
表紙
アートタイムズ2006 目次ページアートタイムズ2006 表紙裏
目次ページ表紙裏
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「アートタイムズ2006」
B5判 14ページ/定価300円
目  次
長谷川濬の詩から
AFAメンバーであった作家・長谷川濬が遺した『療養記』から、
ドン・コザック合唱団公演の思い出を語る詩を抜粋。
刊行の言葉 大島幹雄
下記参照
モスクワに眠る神彰の記録をひもとく 半谷史郎
気鋭のソ連史研究者、半谷史郎氏がモスクワの公文書館で発見した資料から浮かび上がる、
神彰とソ連文化省とのしたたかな駆け引き。
公文書記録から引用された記述の数々が両者の思惑を生々しく伝える。
クラシック界へ大きな衝撃を与えたAFA 大谷政和
日本における海外オーケストラ公演の歴史の研究家、大谷政和氏(「海外オーケストラ来日公演
記録抄」
の運営者)。AFAが招聘した公演が戦後の日本に与えた衝撃の大きさとと意義を熱く語る。
ボクは民間芸術領事 神彰(アートタイムス創刊号より)
本家「アートタイムス」の創刊号に掲載された神彰のエッセイ。
神の海外アーティスト招聘にかける情熱と野望、それにいくらかのハッタリが感じられる。
AFA公演記録
全招聘公演記録からの抜粋
長谷川濬と函館 大島幹雄 11
ドン・コザック合唱団招聘のきっかけを作った男、長谷川濬。後に神彰と袂を分かち、苦難の道を
歩いた彼の、生まれ故郷函館に寄せる思い。
芦沢丸枝さんの回想から 〜神彰とドンコサック合唱団の思い出〜 13
芦沢丸枝さんは、姉の長さんとともにAFAの社員であった。
AFAの思い出はそのまま青春の思い出だと語る芦沢さんのインタビューから。
編集後記 14
 
「Art Times 2006」刊行のことば

 神彰とアートフレンドアソシェーション(AFA)が発行していた「Art Times」を最初に見た時は、正直いってびっくりした。AFAが呼ぶ公演の宣伝が中心とはいえ、多彩な誌面から構成された雑誌を毎月発行しつづけたこのエネルギーの中に、「呼び屋」という枠ではおさまりきれない、この集団の魅力が隠されているような気がした。AFAが最初に呼んできた「ドンコサック合唱団」の日本公演から50周年にあたる今年、神彰やAFAのスタッフになじみが深い函館で、「神彰とアートフレンド展」を開催することが決まった時、AFAがアートに賭けた情熱を引き継ぐかたちでなにかしたいと思った時、すぐに思い浮かんだのが、「Art Times」を甦らせることだった。ただ甦らせるだけでなく、また神彰とAFAが残した業績を回顧するだけではなく、この集団の思いを伝えるためには、過去と未来といまをつなぐ回路をつくりたかった。短い時間のなかで、どれだけできたかはわからないが、あえて「Art Times 2006」と謳っただけのものはできたのではないかと自負している。
 素人が集まって、3千部の雑誌をつくるという無謀な試みに、手を貸してくれた執筆者、そして編集、制作の皆さんに心より感謝したい。そしてカンパを提供していただいた日本ユーラシア協会、東道輝氏、宮川淳氏、竹中三雄氏、横岩丸枝さん、山口五百さんら旧AFA社員の皆さんに御礼を申し上げたい。
 いいスタッフが結成されたので、また近い将来「Art Times」を発行していきたいと思っている。そしてこうした小さな活動の中から、AFAのような魅力的な集団が生まれるかもしれないという予感もしている。

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拙著『虚業なれり』