月刊デラシネ通信 > サーカス&パフォーマンス > パフォーマンス カバレット・チッタ制作ノート > プログラム&評

カバレット・チッタ プログラム&評

プログラム

  嶋田丈裕さん:『カバレット・チッタ』 (リンク)
  西川正樹さん:カバレット・チッタ見物
  ちちちちさん:カバレットチッタ見ました!
  安部保範(チャン助)さん:カバレットの感想


KABARETT CITTA プログラム

写真付プログラム(69.0KB)(別ウィンドウで開きます)
日時 2002年7月10日(水)午後7時半開演(午後6時半開場)
出演 ダメじゃん小出、センチュリー神山、Kaja、ふくろこうじ、VJ コミックカット、村田朋未、柴崎岳史、長井健太郎、Mr.Dai、重森一、さわめちから、まき(以上カバB メンバー)、
王輝(ジャンピング綱渡り)、山崎広太(ダンス)
カバチッタスペシャルバンド
梅津和時、巻上公一、内橋和久、多田葉子、張紅陽、松井亜由美、関島岳郎、新井田耕造、坂出雅海、サム・ベネット
  客入れの時、梅津、多田、ちんどんの回遊演奏が3回あり。
その他に客席でハッピイバースディーの演奏もあり。
  開演前の注意事項 こうじ
巻上公一 君が代 ステージ
 テルミン演奏と独唱
ダメじゃん小出 天皇の挨拶 二階客席
 天皇に扮した小出が、開会の辞を述べる。「お始めなさい!」でステージに振る。
センチュリー神山 エスケープ ステージ
 マジック、縄抜け的なもの、やたらアクションが大きい割りには、ショボイマジック
Kaja+サム・ベネット、巻上、内橋 ジャグリング ステージ
 ハットジャグリング、ボール、リングとつないでいく。インプロ音楽との掛け合い
こまっちゃクレズマー+巻上 20分  3曲 ステージ
神山&Kaja メンテナンス ステージ
 3曲目を演奏中に、工事の現場の衣装をつけた二人が台車に球体を積んで登場、セッティング
ふくろこうじ オブジェクト・パフォーマンス(マルオ君)
神山&Kaja メンテナンス ステージ
VJコミックカット 映像パフォーマンス スクリーン
 スーパマリオのパロディー。リストラされたふたりが漫才をする前に、梅津、多田とちんどん隊が出囃子的に舞台に登場する。
10 村田朋未、柴崎岳史、長井健太郎 キャバレーダンス 「Cherie」
11 ダメじゃん小出、さわめちから ジャグリング
 ピンのパスジャグリング
12 重森一、まき 卵ストリップ 客席
 卵に扮して客席にいた重森が、客席内のテーブルでストリップを演じる。梅津がサックスをひきながら、客席へ。卵を脱がしていく。
13 巻上、内橋、サム インプロ  20分 ステージ
14 山崎広太 ダンス 5〜8分 ステージ
15 Mr.Dai ディアボロ 5〜6分 ステージ
16 王輝 ジャンピング綱渡り 5分 ステージ
 舞台上でブーメランの演技。このあと、客席前にセッティングされていた綱の上で、ジャンピング綱渡りの演技。
17 出演者全員 エンディング「アレ・ブリダー」
 囚人服を来たダメじゃん小出、ふくろこうじら4 人のパフォーマーが客席から登場。舞台にあがり、小出のMCでパフォーマーの紹介、パフォーマーが舞台奥にはけたあと、梅津にマイクをわたし、こんどは梅津が楽隊を紹介。「アレ・ブリダー」を演奏しながら、ミュージシャンとパフォーマーが客席へ。
[スタッフ]
舞台監督:三津久
照明:宮野和夫
CLUB CITTA' スタッフ:宮本信, 藤田信秋, 山室亨
制作:丸山好信(CLUB CITTA'チーフプロデューサー)、大島幹雄(ACC)、斎藤朋(DeX)

嶋田丈裕さんのカバレット・チッタ評『カバレット・チッタ』 (リンク)

2002.07.10
(嶋田丈裕さんのホームページ「TFJ's Sidewalk Cafe」はこちら

西川正樹さん

2002.07.11 ジャグリングメールリストからの転載

カバレット・チッタ見物 (2002.07.10 川崎チッタ)
久しぶりにイベントを見物し、レビューを書いてみたい気になったので書いてみます。
メーリング・リスト上に関係者の方が多数いらっしゃるのを承知の上で、
良い点、悪い点どちらについても書きました。一意見としてお読みください。

レビューをする以上、パフォーマーの方の名を挙げるのが礼儀かなとも
思いますが、初めて見た人が多くて識別できなかったのと、見るときには
パフォーマー名などいちいち気にせず流れを楽しんでいたのとで、
分かっている人についてもあえて書きません。
(マイナス評価する人への配慮という部分もないわけではないです。)

総評

やはり生演奏の音楽はよいし、強力な作用がある。会場内でお酒が飲めることも
あって個人的にはノリノリ。ライブっていいですなぁ。
その一方でパフォーマンスについては、水準は行っていると思いますが、
総合的にはセンス・オブ・ワンダーというかビックリ感というかが
もう少し欲しいと思いました。

仮の話として、時間と料金が半分の別々のステージで、
一方は生演奏だけでパフォーマンスなし、
一方はテープ演奏付きのパフォーマンスの2つがあったとすると、
前者は満足できそうですが、後者には少々食い足りなさが残りそうです。
生演奏とパフォーマンスの相乗効果を狙ったこのイベントで、
このようなことを書くのは、握り寿司をネタとシャリに分けて食べるような
無粋なことかも知れませんが、正直な感想です。

全体的には台風の中を出かけて行って当日券 3500 円を買っても、
十分楽しめ、次回もぜひ行ってみたい気になりました。
次回は生演奏を添え物にするぐらいのパフォーマンスが見たいです。


以下、大体の演目順に寸評。

テルミンによる君が代(の元歌?)演奏と陛下のお言葉
テルミン初めて聞きましたが、想像していたほど不思議な音色という
わけではないですな。原理どおりの音なのね。

ただただひたすら失敗する手品
ガンガン笑いをとるか、失敗し続けておいて最後に決めてアッと言わせるか
してもらわないと、見るほうとしてはフラストレーションがたまる。

ジャグリング(帽子、3ボール、5リング)
音楽の奏者とも絡み、ドロップもほとんどなく、
とてもよくまとまっていて良い。
録音テープに合わせてしか演技できない身としては、
演技に合わせて曲をひいてくれる寄席のお囃子さんを見て
常々うらやましく思っていたが、まさにそういう感じの演技。

音楽
生演奏を担当する2つのバンドの紹介。一方は、チューバ、アコーディオン、
バイオリン、サックスなどのラテン系のようなチンドン系のような
割と「あたりのやさしい」バンド。
もう一方は、テルミンやら電子系のパーカッションやらの、
即興系「怪しい」バンド。
紹介の後、前者が数曲を演奏。カンパリソーダで気持ちよくなっていて、
リズムの良い曲を聴くと、手を叩いて、ステップ踏んじゃいます。
全体を通して、こちらのバンドの「あたりのやさしさ」とバンマスの笑顔と
サービス精神が、カバレット・チッタ全体をまとめる「糊」の役目を
果たしているような気がした。

玉に手足
最初は Fred Garbo 風に思えたが、それとは違った芸風。
ウルトラマンの四次元怪獣ブルトンにも似ている?
ニヤニヤと皮肉っぽく見る感じ。ストーリーと驚きが欲しい。

任天堂風ビデオ漫才
スーパーマリオ風のキャラがスクリーン上で漫才する。
意表をついて面白いが、テンポが必要以上に遅いのと長いのが不満。
幕間の生チンドンはいいが、本編については
ずっと映像だけを流すならライブでやる意味は薄いような気もする。

ダンス
女1人、男2人によるセクシーなダンス。
合間にこういうのがあると「キャバレーっぽい妖しさ」が感じられて良い。
シンクロ率がもっと高いと、ダンスとしての「ビックリ感」が出るのだが。

クラブパッシング
前後の流れ、登場のしかた、衣装から「テクニックを見せるぞ」という
メッセージがびんびんと伝わってくるのだが、あまりにもドロップ多し。
インテンショナル・ドロップもあった気がするが、本物のドロップが多過ぎて逆効果

結果的に「あれれれれ?」という感じ。

音楽
即興系「怪しい」バンドの演奏。ダンス付き。
これ単体で演奏してるところへ来合わせたら、
「なんだこりゃ?」と思って、自分はまず聞かないだろうと思うのだが、
これまでの流れがあったので違和感なく入り込め、面白く聞けた。

卵に扮しての無言寸劇
ステージを降りて客席で行なわれ、照明もなかったため、見えにくかった。
横にバンマスのクラリネット?が付いてなかったら、つらいものがあった。

ディアボロ
かなり良かったが、せっかくの生演奏を生かして欲しい気もする。
「技、技、技、休み」という大道芸的な間とスタイルではなく、
生演奏と対話して踊るような連続技がずっと続くといいなぁというのは
過大な要求か?

ブーメラン、綱渡り
スパンコール付きの派手派手衣装とおおげさにも思える笑顔で登場。
これぞラスベガス風ショーマンシップという感じで、自分的には
「待ってました」という感じ。
ブーメランを次々に投げては舞台いっぱいに飛び回らせて、
空間の広さを感じさせる。
客席前方に設置された、弾力のあるロープの上でトランポリンのように
跳ねたり、宙返りしたりとスケールが大きく、
ここまで正直言って感じていた「パフォーマンスの小粒感」を
かなり解消してくれた。
「これ、これ、カバレットってこーいう感じだと勝手に想像してたのよ。
ラスベガスの SplashII 的なやつ。」

エンディング
そのままエンディングへ突入し、キャスト紹介。
キャスト勢ぞろいの中、バンドとボーカルが全力投球で盛り上げる。
好んで立ち席に居て、おいしくお酒を飲んでいた自分は、
手を叩き、ステップを踏み、歌って、かなりカタルシスがありました。
(あくまで、横の人に迷惑かけない程度に行儀よくよ!)

それに比べると、客席のおとなしいこと、おとなしいこと。
手を叩くでなく、リアクションを返すでなく。
日本人はやっぱりこうなのか、座っているとそうなってしまうのか。
もっとヒューとかオーとか言えばいいのに。ライブなんだから。

さて、私のような見方でいいんでしょうかね?


なんか、最後の方、一部、おネエ言葉になってますが、
まあいいや。このまま出しちゃえ。

ご精読ありがとうございました。

西川正樹 nishi-m@tkf.att.ne.jp

ちちちちさんの投稿

2002年7月14日

カバレットチッタ見ました! fromちちちち
カバチッタ当日は台風だった事もあり、終了後はそそくさと帰ってしまったのですが、今日こちらのページをのぞいてみたところここに感想を、とあるのでおそるおそるお邪魔してみました。
公演の感想は、一言で言えば楽しかった、です。主催・制作側から見たら色々と問題も多かったかもですが、見る側の無責任な感想としては、単純に楽しかったです。出演者の方々も皆楽しそうで、皆で楽しもう!という気持ちが伝わってきました。
一番すごーい、と思ったのはやっぱり綱渡りかなあ。かなりテンションあがりました。すごかった!!あと個人的に好きだったのが、最初のほうの、帽子をボールみたいに転がしてたのと、後半の、ひも(なわとびみたいに両はじに棒がついてる)となんかまん中が細くなってる筒みたいので色々見せてくれたのがおもしろかったです。(名前とかわからなくてごめんなさい。伝わるでしょうか?もしできたら、出演者の方々のお名前とこんなのやってたよ、という簡単な説明教えていただけるとうれしいです。他の公演も見に行ったりしたいので)
それから音楽を担当された方たち、申し訳ないことに私はほとんどお名前を知らなかったのですが、多分そうとう有名な実力者ばかりなんですよね?芸人さんたちをメインに見に行ったのですが、圧倒されました。すばらしかったです。
音楽とのコラボレーション、も今回の公演のテーマの一つだったと思うのですが、その狙いはいいかも。他の方の感想でもあったようですが、今回の公演では確かに音楽のほうが際立ってしまう事も多々あったと思います。でもこれがうまくいったらすごく楽しいだろうな、とも感じました。次回に期待してます!
最後に、こちらの書き込みであったMCを立てたらいいかも、という案に関して、個人的にはあんまりかなあ、と思います。音楽にしてもいろんな芸にしても、体で楽しませよう、楽しもう、という感じがして、最近は言葉で楽しむことばかりすごく多いと思うので、うまくいえないけど。
なんかだらだらと長くなってしまって、こんなのでいいんでしょうか?とにかくカバチッタ、楽しかったです。次回公演も楽しみにしてます!

安部保範(チャン助)さんからのメール

2002年7月31日
(一部、改行を変更しました)

カバレットの感想
クマさんへ:

カバレットサーカスについての感想です。すっごく遅くなって申し訳ありませんでした。

台風にも関わらず、沢山のお客さんが入って良かったですね。
会場の様子はあらかじめ聞いていたので予想とずれはなかったのですが、開場と同時に入って驚いたのは椅子が少ない・・・。
テーブルがポツンポツンと置いてありその周りに椅子が数脚あるといった程度で、余裕があってそれはそれで嬉しいのですが、もっとお客さん来るんじゃあないのと余計な心配をしたりしました。

案の定お客さんは増える一方で、上演中にふと後ろを見ると何やら人がぎっしり!私が座った前方のテーブル席とは密度的にえらい違い。
私らだけ前の方でゆったり観ているのは申し訳もなく、少々心苦しかったです。

それはさておき、ショーはとても良かったです。
クマさんが創り出すショーが、私が望んでいるようなショーに近づきつつある、そんな手応えを感じました。と言うか私が望んでいるショーがどんなものか私自身も分からないのですが、クマさんが目の前にこれはどう、じゃあこっちはどう、といろいろ見せてくれるので、そういったものを楽しみながらイメージを固めていっているのが本当のところでしょうか。

梅津バンドには参りました。
まずは楽器編成からぶったまげ!
管楽器(サックス、クラリネット)、アコーディオン、バイオリン、チューバ・・・どういった感性の元こういった編成になるのだろう、一体どんな音楽になるんだろう、興味津々でした。
聴いてみれば何と心地よいリズムとメロディー。
巻上さんの方も併せてなんと存在感のある2組のバンドでしょう。
冒頭に梅津さんが"我々はバックバンドではない"仰っていましたが、まさしくその通りでバンドだけでも十分にショーが成り立ってしまうところに、パフォーマンスをあえてぶつけてくるあたりがクマさんの勝負所だったのでしょうか。

生バンドでパフォーマンスをする機会があまりないのも一因でしょうが、バンド演奏にしっくりと絡むような演技が少なかったような気がします。
(ダンス系のことはよく分からないので対象外とします)
例外的にkajaさんの演技は良かった。
思うに北欧でのサーカス経験(恐らく生バンドの元、演技していたでしょう)が上手く生かされているのではないのでしょうか。
またジャグリングをするにはスペースがなさ過ぎでは?両脇のバンドに囲まれた"猫の額スペース"では演りにくそうでした。

VJコミックカット・・・ありゃ面白かったです。
出演者のほとんどはplanBでお馴染みのせいもあり、新しいもの好きの私にとっては収穫でした。笑えました。

本場のカバレットというのがどういったものか知る由もありませんが、やはりジャンルを問わずに様々なアートを楽しめるところなのでしょうか。
今回のカバレットはそういった点でも楽しめました。

でも私の望むところは、"もう少し余裕が欲しい"と言ったところでしょうか。
立て続けに畳み込むように演奏やパフォーマンスが続くのは嬉しいのですが、同伴者と話すこともできないし、ゆっくり飲食もできないし(大した食べ物はなかったけれど)、イメージしたカバレットとは違い、少々残念でした。

各人の演技はもちろん全力投球でしょうから、その全力投球の演技が続き放しだと、熱演を受け取る観客の方も実は結構体力がいる。

こう書いていて思い出しましたが、エドサリバンショーのエドサリバンって何もしないただのおっさんかと思っていたけれど、超一流アーティストの熱演の合間に、実は観客の気をホッと抜かせる大役を果たしていたのではないかと。
ポールダニエルズショーにしてもそうだけれど一流のホストって今よく考えてみると凄いおっさん達だったんだ。

年齢のせいかもしれませんが、50才近いおじさんにはもうちょっと"何もないと見せかけてしっかりとお客を引き留めるような間"が欲しいと感じました。
同伴者と目を合わせて凄いねと声を交わしたり、飲み物を取りに行ったりする程度のゆとりのことです。

それと全体を通してみても、しょっぱなからのハイテンションをお客さんは維持できるはずもなく、やはりショー全体としても"序破急"のような変化が必要なのではないでしょうか。

怒られることを覚悟して言いますと、あまりにクマさんの今までの想いを詰め込みすぎたといった事はないでしょうか。
"捨てる"というのもショーを構成する上では重要な要素かと思いますが、出過ぎたことを申し上げすみません。

2回目のカバレットを期待しています。それと、健康には気をつけて飲み過ぎないようにね。

以上

                    安部保範

連載目次へ デラシネ通信 Top 前へ | 次へ