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早稲田大学『ロシア芸術の現在』講義通信2005

講義内容と各回のテーマ(予定)

ロシア芸術の現在 −ロシアの大衆芸能について
担当 大島幹雄
講義日 2005年5月31日〜6月28日までの毎週火曜日
(5月31日・6月7日・14日・21日・28日)
時 間 4時限 (14時40分〜16時10分)
教 室 早稲田大学文学部(戸山キャンパス)34号館453教室
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 戸山キャンパスまでの道のり
 キャンパス内地図
早稲田の文学部にJR高田馬場駅から行くときは、駅前のバスターミナルから
早大正門行きの「学バス」と書いてある都バス(ちょっと料金が安い・誰でも乗れます)に乗って、
「馬場下町」停留所で降りればすぐです。
学生じゃないと、学バスって書いてあると乗りにくいですけど、大丈夫!

今年の講義内容(予定)

 広く、ときにはディープにロシアの大衆芸能のさまざまな分野をとりあげてみたいというのは、過去3回と変わらないが、ひとつ意識していきたいと思うのは、調べ方というか、自分が興味をもった対象に対する、さまざまなアプローチのしかたの実際を折り込みたいと思っている。
 今年も、いろんなビデオを見てもらうつもりでいるが、いままで音でしか紹介できなかった幻のロックバンド「キノ」のビデオをやっと入手できたので、それに注目してもらいたい。
 どうしても自分の話は、過去にさかのぼることが多くなると思うが、映像に関しては新しいサーカスの動きも、各回のテーマとは関係なく紹介していきたいと思っている。
 最終回には、まだ予定だが、私の大好きな芸人のひとり、元気いいぞうのミニ・ライブもやりたいと思っている。毒を秘めた笑いの表現を生で味わってもらいたい。
 最初の2年から比べたら、だいぶ聴講する学生も減ったといっても、やはり大教室での授業、生のやりとりといったことができないのが、いつも歯がゆくてしかたがない。この授業を機会に、もしも私の興味をもった学生がいるのなら、少数でのゼミのようなことが、できたらいいなと思っているのだが、これはあくまでも希望であり、どうなるかは様子を見てからになるだろう。

各回の講義テーマ(予定)

5月31日 呼び屋がいた――神彰と長谷川濬

 昨年出版した「虚業成れり」を切り口に、戦後ボリショイバレエ、レニングラードフィル、ボリショイサーカスなど、ソ連文化を日本に紹介し、大きな話題を呼んだ興行師神彰の足跡と、彼に協力してその最初の仕事であるドン・コサック合唱団招聘のために尽力した文学者長谷川濬の戦後を追う。

〔配布資料〕 ロシアの大衆芸能参考資料文献
「ブロジャーガ」の原詩と訳
〔ビデオ〕 映画「シベリア物語」から
NHK教育テレビ「長谷川家の人々」から
サーカス・シルクールプロモーションビデオ

6月7日  クラウンの使命

 文化史におけるクラウン(道化師)の役割を概括(絵画や文学の世界において)。クラウンの定義(辞書のなかでの定義――オックスフォード演劇辞典、サーカス百科辞典など)。
 何故道化師が必要とされ、人は道化師になろうとするのか。パッチ・アダムスの道化。フェリーニの描いた道化師。「道」のなかのジェルソミーナについて。ディミトリーやエンギバロフなど、クラウンとして生きることを選択した道化師による道化論。
 映画「ピエロの赤い鼻」について。

〔配布資料〕 サーカス映画リスト
〔ビデオ〕 ディミトリー、エンギバロフ、BPズーム

6月14日 綱渡りのフォークロア

 サーカスのひとつの芸にスポットを当てて、その歴史をたどり、さらには現在それがどう演じられているのかを見ていく。去年は馬のサーカスをテーマにしたが、今年は綱渡りをテーマとして取り上げる。韓国の綱渡りチュルタギを切り口に、綱渡りのルーツを探りながら、現代のサーカスや民俗芸能のなかの綱渡りを見ていく。

〔配布資料〕 未定
〔ビデオ〕 チュルタギ
つく舞(日本の民俗芸能)
昨年韓国安城市で開催された綱渡りフェスティバルから
シルク・イシ

6月21日 キャバレーの文化史

 ヨーロッパでは、古くからキャバレーあるいはミュージックホールといった、寄席芸能がさかんであった。食事をしながらショーを見たり、あるいは一杯飲みながらショーをみるといった芸能スタイルが生まれた背景について。カンウターカルチャーとしてのキャバレーの可能性にも触れる。ロシアアヴァンギャルドのキャバレーの試み。ブレヒトとキャバレー。現在のキャバレーについて。カバレットシアターの試みについて。

〔配布資料〕 未定
〔ビデオ〕 映画「キャバレー」から
映画「ヴァリエテ」から
カバレット・キネマ
サーカス・ビンゴ

6月28日 彷徨う詩人の系譜

 ベルチンスキイという流浪の詩人の生涯を追いながら、彼がなぜロシアでいまでも人気を博しているのか、その秘密をさぐる。ロシアの唄は、なによりその詩が大きな意味をもっていた。80年代に若者の圧倒的支持をうけていたロック・グループ「キノ」のリーダーであったビクトル・ツォイの伝説。さらには現代の吟遊詩人元気いいぞうのライブも聞いてもらう。

〔配布資料〕 ベルチンスキイとキノの唄の訳詩
〔ビデオ・音楽〕 ベルチンスキイの唄
キノのラストコンサート
〔実演〕 元気いいぞう(予定)

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