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週刊デラシネ通信 今週のトピックス(2001.06.18)
市民学会「日本とロシア−歴史・交流・共生」が開催されます

注目すべき、ロシアに関する会が開かれます。
この集まりの意義について、主催者の日本ロシア東欧研究連絡協議会は、次のような声明文を発表し、幅広い市民の参加を呼びかけています。

 ロシアは日本にもっとも近い外国です。江戸時代に、中国、朝鮮をのぞいて、日本人が訪問して、その国の印象をもって帰った最初の国はロシアでした。日本に開国するように、使節をおくって来た最初の外国もロシアでした。
ところで20世紀において、日本がもっとも多く戦争をした相手はロシアでした。そして日本が過去に戦争をした国の中で平和条約が結ばれていない唯一の国はロシアです。
 ロシアと日本の関係はそれだけではありません。ピョートル大帝の改革は明治維新の指導者に大きな影響を与えました。19世紀から20世紀にかけてのロシア文学、音楽、演劇、バレエは日本人に大きな影響と喜びを与えてくれました。さらに1917年のロシア革命とソ連の計画経済は日本の各層に多様な、大きな影響を与えました。ロシアの歴史と文化はその魅力によって、これからも多くの日本人の心をとらえていくでしょう。
 他方でロシア人も早くから日本の文化に惹かれていましたが、最近ではますます日本の歴史と文化、さらに日本経済のしくみに関心を強めています。
 このように日本とロシアは運命と相互の関心によって強く結ばれてきた国なのです。
 いま新しい世紀を迎えて、ロシアはひきつづきその進路を模索しています。日本もまた悩んでいます。両国の悩みの性格は違いますが、はっきりしていることは、日ロ両国は助け合わなければならないということです。それなしには、日本人は東北アジア、東ユーラシア世界の中で自分たちの責任を果たしていけないでしょう。平和条約交渉はなお難航していますが、双方が智恵を出して、交渉を前進させるていくことが望まれます。
 日本でロシアを研究している五つの学会が二年前につくった連合組織、JCREES(日本ロシア東欧研究連絡協議会)では、このたび、以上のような考えから、一大シンポジウムを開くことにしました。研究者だけでなく、日本とロシアの関係、きずなに関心をもつ人々すべてによびかけて、大きな出会いと討論を組織することをめざしています。研究者と市民が参加するという意味で、市民学会「日本とロシア−過去から未来へ」と銘打ちました。
 日ロ関係に関心をもつ研究者、専門家、NGO活動家、官僚、ジャーナリスト、経済人、作家、芸術家、ロシアが好きな日本人と日本が好きなロシア人の集いです。みなさん、この集いに集まって、ロシアと日本の間にあったこと、いまあること、これからおこることについて、語り、知り、考えてみませんか。日本人としてはあらためてわたしたちにとってのロシアとはなにかを考えてみましょう。
 わたしたちのキャッチフレーズは、「隣人としてのロシアの発見」です。

 どちらかといえば殻に閉じこもりがちなロシア研究者が集まり、市民レベルで意見の交換をしようという試みは、評価されると思います。
 私も10分ほど『幕末の日露関係』について報告をすることになっています。
 以下スケジュールと内容を紹介します。


市民学会
「日本とロシア−歴史・交流・共生」
日 時 2001年6月23日(土)・24日(日)
会 場 東京外国語大学
  JR中央線「武蔵境」駅で西武多摩川線に乗り換え、
  「多磨」駅下車、徒歩5分

A会場(115教室)・B会場(226教室)
連絡先 東京外国語大学ロシア・東欧課程気付
市民学会実行委員会事務局
 〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1

 電話 042−330−5265 または 5266        

第一日(6月23日)
歴史 I
江戸期の日露関係−国交樹立への長い道のり

司会者 中村 喜和(共立女子大教授)
A会場 10時〜12時
薩摩の天才少年ゴンザ 上村 忠昌(ゴンザ・ファンクラブ顧問・鹿児島工業高専教授)
蝦夷来航のロシア人 川上 淳(根室博物館開設準備室長)
ロシアから帰国した漂流民 山口俊彦(大黒屋光太夫顕彰会事務局長)
函館を訪れたロシア人 清水 恵(函館市史編さん室長)
幕末の日露関係を考える 生田 美智子(大阪外国語大学教授)
大島 幹雄(デラシネ通信主宰)
保田 孝一(岡山大学名誉教授)
木崎 良平(鹿児島大学名誉教授)
歴史 II
明治期の交流−平和と戦争

司会者 長縄 光男(横浜国立大学教授)
A会場 13時〜15時
明治人にとってのロシア 安井 亮平(早稲田大学名誉教授)
正教宣教師の見た明治日本 中村 健之介(大妻女子大教授)
ロシア文化受容と東京外国語学校 渡辺 雅司(東京外国語大学教授)
日本学者の見た明治日本 モロジャコフ・ワシリー(小渕フェローシップ研究員)
日本人にとっての日露戦争 稲葉 千晴(名城大学教授)
ロシア人から見た日露戦争 ミハイロヴァ・ユリア(広島市立大学教授)
交流 I
交流機関団体・NGOの活動

司会者 佐々木 照央(埼玉大学教授)
B会場 13時〜15時
交流団体の歴史と活動 長峰 義博(日ロ協会常任理事)
斉藤 治子(日本ユーラシア協会副会長)
尾関 圭一(日ロ交流協会理事長)
加藤 順一(日本対外文化協会事務局長)
映画「ナージャの村」をつくるまで 神谷 さだ子(日本チェルノブイリ連帯基金代表)
苦学生との心の交流 横須 賀寿子(ロシア学生奨学日本基金事務局長)
名古屋の地から  田辺 三千広(おろしゃ会)
環日本海協力に働く人々 中村 俊彦(環日本海経済研究所部長代理)
日露の青年交流について 日露青年交流センター
染谷 光哉(日ロ学生会議元代表)
交流 II
実務者の交流

司会者 宇多 文雄(上智大学教授)
B会場 13時〜15時
商社員として 朝妻 幸雄(元丸紅モスクワ駐在員)
旅行代理店の経験から 渡辺 孝雄(トラベル世界)
特派員として 小林 和男(元NHKモスクワ支局長)
通訳として 徳永 晴美(通訳・朝日新聞特派員)
村田 真一(青山学院大学助教授)
共生 I
私とロシア

司会者 亀山 郁夫(東京外国語大学教授)
マルチメディアホール
15時15分〜17時15分
川副 千尋(オペラ歌手)
川端 香男里(川村女子学園大学教授)
都甲 岳洋(元駐ロ大使)
中村 喜和(共立女子大教授)
西谷 修(東京外国語大学教授)
米原 万里(通訳、エッセイスト)
記念講演
ロシアにおけるユートピアの問題
マルチメディアホール
17時30分〜18時
辻井 喬(作家)
 懇親会 大学会館
18時15分〜20時

第二日(6月24日)
歴史 III
大正期の日露関係−革命と出兵

司会者 藤本 和貴夫(大阪大学教授)
A会場 10時〜12時
シベリア出兵  原 暉之(北海道スラブ研究センター教授)
在ロシア日本人 左近 毅(大阪市立大学名誉教授)
白系ロシア人について 沢田 和彦(埼玉大学教授)
1920年代の日ソ関係 寺山 恭輔(東北大学東北アジア研究センター助教授)
コミンテルンと日本 冨田 武(成蹊大学教授)
歴史 IV
昭和期の日露関係−緊張・戦争・冷戦

司会者 木村 汎(国際日本文化研究センター教授)
A会場 13時〜15時
1930年代の日本とソ連 横手 慎二(慶応大学教授)
日ソ戦争 平井 友義(大阪市立大学名誉教授)
シベリア抑留 藤田 勇(ソ連における日本人捕虜の生活体験を記録する会世話人)
内村 剛介(評論家)
戦後の日ソ交渉 I サルキーソフ・コンスタンチン(山梨学院大学教授)
戦後の日ソ交渉 II 長谷川 毅(カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)
交流 III
日ロ経済協力の現状

司会者 西村 可明(一橋大学教授)
B会場 10時〜12時
ロシアの経済の現状 田畑 伸一郎(北海道スラブ研究センター教授)
日ロ貿易・投資の現状 小川 和男(ロシア東欧経済研究所所長)
極東・シベリア開発と日ロ経済協力 杉本 侃(経団連日ロ経済委員会事務局長)
ロシアの金融体制と日本 隈部 兼作(国際協力銀行国際金融第二部審議役)
サハリン石油開発と日ロ関係 村上 隆(北海道大学スラブ研究センター長)
交流 IV
文学・芸術の交流

司会者 川端 香男里(川村女子学園大学教授)
B会場 10時〜12時
文学 阿部 軍治(筑波大学教授)
演劇 中本 信幸(神奈川大学教授)
映画 岩本 憲児(早稲田大学教授)
バレー 村山 久美子(東京外国語大学講師)
音楽 一柳 富美子(和光大学講師)
共生 II
北方四島とわれわれの未来

司会者 村上 隆(北海道大学スラブ研究センター長)
マルチメディア・ホール
15時15分〜17時15分
発言 小町 恭士(外務省欧州局長、交渉中)
末次 一郎(日ロ友好フォーラム21運営委員長)
討論者 木村 汎(国際日本文化研究センター教授)
袴田 茂樹(青山学院大学教授)
長谷川 毅(カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授)
和田 春樹(東北大学東北アジア研究センター客員教授)

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