月刊デラシネ通信 > 漂流民 > 善六/レザーノフ > 市民学会「日本とロシア−歴史・交流・共生」が開催されます
注目すべき、ロシアに関する会が開かれます。
この集まりの意義について、主催者の日本ロシア東欧研究連絡協議会は、次のような声明文を発表し、幅広い市民の参加を呼びかけています。
ロシアは日本にもっとも近い外国です。江戸時代に、中国、朝鮮をのぞいて、日本人が訪問して、その国の印象をもって帰った最初の国はロシアでした。日本に開国するように、使節をおくって来た最初の外国もロシアでした。 ところで20世紀において、日本がもっとも多く戦争をした相手はロシアでした。そして日本が過去に戦争をした国の中で平和条約が結ばれていない唯一の国はロシアです。 ロシアと日本の関係はそれだけではありません。ピョートル大帝の改革は明治維新の指導者に大きな影響を与えました。19世紀から20世紀にかけてのロシア文学、音楽、演劇、バレエは日本人に大きな影響と喜びを与えてくれました。さらに1917年のロシア革命とソ連の計画経済は日本の各層に多様な、大きな影響を与えました。ロシアの歴史と文化はその魅力によって、これからも多くの日本人の心をとらえていくでしょう。 他方でロシア人も早くから日本の文化に惹かれていましたが、最近ではますます日本の歴史と文化、さらに日本経済のしくみに関心を強めています。 このように日本とロシアは運命と相互の関心によって強く結ばれてきた国なのです。 いま新しい世紀を迎えて、ロシアはひきつづきその進路を模索しています。日本もまた悩んでいます。両国の悩みの性格は違いますが、はっきりしていることは、日ロ両国は助け合わなければならないということです。それなしには、日本人は東北アジア、東ユーラシア世界の中で自分たちの責任を果たしていけないでしょう。平和条約交渉はなお難航していますが、双方が智恵を出して、交渉を前進させるていくことが望まれます。 日本でロシアを研究している五つの学会が二年前につくった連合組織、JCREES(日本ロシア東欧研究連絡協議会)では、このたび、以上のような考えから、一大シンポジウムを開くことにしました。研究者だけでなく、日本とロシアの関係、きずなに関心をもつ人々すべてによびかけて、大きな出会いと討論を組織することをめざしています。研究者と市民が参加するという意味で、市民学会「日本とロシア−過去から未来へ」と銘打ちました。 日ロ関係に関心をもつ研究者、専門家、NGO活動家、官僚、ジャーナリスト、経済人、作家、芸術家、ロシアが好きな日本人と日本が好きなロシア人の集いです。みなさん、この集いに集まって、ロシアと日本の間にあったこと、いまあること、これからおこることについて、語り、知り、考えてみませんか。日本人としてはあらためてわたしたちにとってのロシアとはなにかを考えてみましょう。 わたしたちのキャッチフレーズは、「隣人としてのロシアの発見」です。 |
どちらかといえば殻に閉じこもりがちなロシア研究者が集まり、市民レベルで意見の交換をしようという試みは、評価されると思います。
私も10分ほど『幕末の日露関係』について報告をすることになっています。
以下スケジュールと内容を紹介します。
市民学会 「日本とロシア−歴史・交流・共生」 |
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日 時 | 2001年6月23日(土)・24日(日) |
会 場 | 東京外国語大学 JR中央線「武蔵境」駅で西武多摩川線に乗り換え、 「多磨」駅下車、徒歩5分 A会場(115教室)・B会場(226教室) |
連絡先 | 東京外国語大学ロシア・東欧課程気付 市民学会実行委員会事務局 〒183-8534 東京都府中市朝日町3-11-1 電話 042−330−5265 または 5266 |
第一日(6月23日) | |||||||||||||
歴史 I 江戸期の日露関係−国交樹立への長い道のり 司会者 中村 喜和(共立女子大教授) |
A会場 10時〜12時 | ||||||||||||
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歴史 II 明治期の交流−平和と戦争 司会者 長縄 光男(横浜国立大学教授) |
A会場 13時〜15時 | ||||||||||||
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交流 I 交流機関団体・NGOの活動 司会者 佐々木 照央(埼玉大学教授) |
B会場 13時〜15時 | ||||||||||||
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交流 II 実務者の交流 司会者 宇多 文雄(上智大学教授) |
B会場 13時〜15時 | ||||||||||||
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共生 I 私とロシア 司会者 亀山 郁夫(東京外国語大学教授) |
マルチメディアホール 15時15分〜17時15分 |
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記念講演 ロシアにおけるユートピアの問題 |
マルチメディアホール 17時30分〜18時 |
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辻井 喬(作家) | |||||||||||||
懇親会 | 大学会館 18時15分〜20時 |
第二日(6月24日) | |||||||||||
歴史 III 大正期の日露関係−革命と出兵 司会者 藤本 和貴夫(大阪大学教授) |
A会場 10時〜12時 | ||||||||||
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歴史 IV 昭和期の日露関係−緊張・戦争・冷戦 司会者 木村 汎(国際日本文化研究センター教授) |
A会場 13時〜15時 | ||||||||||
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交流 III 日ロ経済協力の現状 司会者 西村 可明(一橋大学教授) |
B会場 10時〜12時 | ||||||||||
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交流 IV 文学・芸術の交流 司会者 川端 香男里(川村女子学園大学教授) |
B会場 10時〜12時 | ||||||||||
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共生 II 北方四島とわれわれの未来 司会者 村上 隆(北海道大学スラブ研究センター長) |
マルチメディア・ホール 15時15分〜17時15分 |
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