評 伝
いままで私が発表してきたノンフィクションのほとんどは評伝です。満洲文学の長谷川濬、シベリアを無銭旅行しながら横断した玉井喜作、江戸時代に世界一周して帰国した若宮丸漂流民など、ほとんどは知られていない人たちの伝記を書いてきました。歴史の中に埋もれながら、精一杯生きた人たちの足跡を掘り起こしていきたいと思ってのことです。
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- 沢田豊
- 2000.08.14 公開
- 幕末から明治にかけて、日本から多くのサーカス芸人が海外に渡ってその芸で人々を魅了した。その中のひとり、沢田豊はロシアからヨーロッパに渡り、サラザニサーカスでトップスターとなる。ドイツ人女性と結婚し、子どもたちとサワダ・グループを結成して欧州から南米まで巡業した沢田。しかし彼の日本凱旋の夢はかなえられることがなかった――
- 流浪の芸人列伝
- 2011.12.15 公開
- 幕末から明治にかけて日本から海外へ渡っていったサーカス芸人たちや、祖国ロシアを思いつつ流浪の生涯を送った詩人ベルチンスキイなど、国境を越えていった芸人たちの足跡。
- 若宮丸漂流民 善六/レザーノフ
- 2000.08.14 公開
- いまからおよそ200年前、私の故郷でもある宮城県石巻から江戸に向けて出帆した若宮丸という船が、嵐に巻き込まれて遭難し、アリューシャン列島の小島に漂着、その後ロシアから16名の乗組員のうち4人が世界を一周して故郷に帰ってきました。この若宮丸漂流民の数奇な運命をたどります。
- 玉井喜作
- 2000.11.01 公開
- いまから百年以上も前に、シベリアをひとりで横断した日本人がいた。玉井喜作という二十七才の青年である。彼は何故シベリアという荒野をめざして旅立ったのか。その破天荒の人生を追う。
- 粛清されたサーカス芸人 ヤマサキ・キヨシ
- 2007.01.31 公開
- 海を渡ったサーカス芸人というテーマを追ううちに、自由の代償として死を余儀なくされた者たちがいたという事実に遭遇することになった。スターリンの粛清の嵐が吹き荒れたソ連で銃殺されたヤマサキキヨシもその一人である。
- 神彰
- 2000.08.14 公開
- 戦後まもない頃、最初にドン・コサック合唱団を呼び、日本中に大旋風を起こした男、神彰(じん・あきら)。日本と全く交流がなかったソ連の厚い鉄のカーテンをこじ開け、ボリショイ・バレエ、ボリショイ・サーカス、レニングラードフィルなどを次々に呼ぶことに成功し、大宅壮一から『赤い呼び屋』と称された昭和の風雲児。
私の本業、プロモーターの大先輩でもある彼の波瀾に富んだ人生をたどる。
- 長谷川濬
- 2011.12.01 公開
- “赤い呼び屋”神彰のアート・フレンド・アソシエーションを追ううちに出会った長谷川濬という男。
バイコフの「偉大なる王」の翻訳者として、また、「丹下左膳」の海太郎(林不忘)、画家のりん二郎、文学者の四郎と「長谷川4兄弟」の三男として知られる彼の遺した100冊以上の『青鴉の手記』というノートを読むうちに、私は彼の魅力にとりつかれてしまった。
函館、満州、そして、海――
長谷川濬という作家の足跡をたどる。