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【連載】モスクワスクラップ帳

第63回

2007年4・5月のモスクワの週刊誌『論拠と事実』からスクラップした記事。

2007年4月14号
 どうしてスターがダンスやサーカス、ボクシングをしなければならないのか
 世界一のノッポ
 生誕前夜
 誰がスターリンにスターリニズムの理念を渡したか?
2007年4月16号
 ボリショイサーカスの宣伝
 アイスクリームサンデー
 マヤコフスキイの娘「父は女性のせいで自殺したのではない」
 ソクーロフ「アレクサンドラ」から「ボリス」まで
 ゲスト以外の言語
2007年5月17号
 テニスプレイヤーはどこに税金を払っているのか
 売られたチェブラーシカ
 タトゥーが歴史に
 ルービックがUFOをつくった!
2007年5月19号
 偶像はどこへ行ったのか?
 ユーリイ・シェフチュク
2007年5月20号
 辞めるか、辞めないか
 ユーリイ・シェフチュク「私は歌うパンツではない」
 山が巨人たちを生んだ
2007年5月21号
 どんな階層から少数支配者が生まれるのか
 子どもたちに触らないで
2007年5月22号
 ロシアの俳優の方がいいのに
 「ブブカ」になる


 

2007年4月14号

どうしてスターがダンスやサーカス、ボクシングをしなければならないのか

このところテレビでは、スターたちがサーカスやダンスに挑戦する番組がやたらと放映されている。今度は「リングの王」というボクシングに挑戦する番組に出演する調教師ザパーシヌィのコメント。すでに二カ月専門のトレーナーの指導のもと練習をしている。

たまたまアルマトゥイに滞在中に、この番組の決勝戦を見ることになった。決勝にはザパーシヌィが出て、彼がチャンピオンに決定したときは、思わずみんなで乾杯してしまった。みんなマジでやっているから、結構はまってしまった。

世界一のノッポ

世界一のノッポは、中国人で56歳の男性。2メートル36センチある。

確かこの中国人、日テレの特番に出演していたのでは・・・

生誕前夜

オブラスツォフ人形劇場の新作。ゴーゴリの原作。演出はエレーナ・オブラスツォーワ

私にとっては懐かしいオブラスツォフ人形劇場。モスクワに行ったら見たいものである。

誰がスターリンにスターリニズムの理念を渡したか?

思想家で哲学者のパベル・フローレスキイが、スターリン主義の理念を提供したのではと思わせる驚くべき文書が、KGBの資料のなかで発見された。

フローレンスキイは日本でも翻訳がでている(?)著名な思想家。ちょっと気になる話である。

 

2007年4月16号

ボリショイサーカスの宣伝

「私の世界−マネージ」という新作には、初めて日本からユニークなアーティストが参加している。

沢入サーカス学校の卒業生ふたり、ひろみとあつしの「デュオ・バンブー」はオープニングに出演したらしい。日本人のアーティストの出演は、かなり話題を呼んだようだ。

アイスクリームサンデー

テレーザ・ドゥーロワクラウン劇場の新作。演出はドゥーロワ。出演するのは、アナニーエフ、イリイン。

ずいぶん前に訪ねたことがある、この劇場。まだやっているようだ。

マヤコフスキイの娘「父は女性のせいで自殺したのではない」

1925年マヤコフスキイがアメリカ旅行したときの通訳となったのは、ドイツ人でロシアから亡命したエリサベータ・ジベルトであった。1926年彼女はマヤコフスキイの娘エレーナを生む。現在アメリカで大学で教鞭をとっているエレーナとの独占インタビュー。

かつて大学でマヤコフスキイをはじめとするロシアアヴァンギャルドをやっていた自分にすれば、かなり衝撃的な記事であった。

ソクーロフ「アレクサンドラ」から「ボリス」まで

ペテルブルグから首都に一時的に引っ越し、ボリショイ劇場で上演されるムソルグスキイのオペラ「ボリス・ゴドゥノフ」の稽古に励んでいたソクーロフのインタビュー。オペラの初演は4月25日。またソクーロフはヴィシネフスカイヤが主演した「アレクサンドラ」の撮影も終了している。

『太陽』が昨年話題となったソクーロフの新作、ずいぶん前から断片的に紹介されているが、どれだけチェチェン問題に踏み込んでいるのか、興味がある。『太陽』ほどは話題にならないだろうが、気になる。

ゲスト以外の言語

ソ連解体後ロシア語を話す人口は益々減っている。1990年には3億5千万人が話していたが、いまは2億7800万人へと減少している。これからも減少し続けていくだろう。200年現在の旧ソ連に属した共和国でのロシア語の位置づけが表になっている。公用語として認められているカザフスタンで66パーセントの人が話しているのに対して、国際関係の言語とするウズベクで20パーセントの人しか話せない。

確かにウズベクあたりは、一般的にウズベク語で会話しているので、ちんぷんかんぷんだった。

 

2007年5月17号

テニスプレイヤーはどこに税金を払っているのか

テニスプレイヤーのクズネッツォーワの答は、大会が開催された国に基本的には支払うことになっている。国によってはかなりの税金を徴集するところがある、ロシアでは13パーセント。ドバイやカタールでは無税。

ロシアの13パーセントはまあまあか。日本で働く外国人は20パーセントの源泉を払わないといけない。

売られたチェブラーシカ

最近またチェブラーシカの件で裁判沙汰が起きた。オリンピック委員会とウスペンスキイは、チェブラーシカのキャラクターを非商業的使用ということで契約していたのだが、実際は50ユーロで販売されていた。この件で問題が勃発、訴訟騒ぎになった。

相変わらず、チェブラーシカに関してはこの手の話題が多い。いつまで続く泥縄の権利問題。

タトゥーが歴史に

ハリウッドでタトゥーのスキャンダラスな成功話が映画化されるという話があったのではという読者の質問に答えて、5月14日にローランド・ジョフィ監督で、「タトゥーを探して」というタイトルで撮影に入ったことが明らかに。5月にはスティングが撮影のためにモスクワに来る予定になっている。タトゥー自身も出演。

まだタトゥは活動しているわけだ。それにしてもこの映画本当に公開になるのだろうか。

ルービックがUFOをつくった!

ルービック・キューブの発明者のルービックは、いまブタペストに住み、自分の工房で発明を続けている。最近の発明品は、「ルービックUFO」。空飛ぶ円盤の形をしたパズルで、4000万のやりかたがある。

ルービック・キューブでいったいどのくらい儲かったのだろう?

 

2007年5月19号

偶像はどこへ行ったのか?

エルンスト・ムルダシェフがイースター島で数週間滞在調査をした。ムルダシェフの調査についてのインタビュー。有名なモアイの偶像が、800年前に歩いていたという目撃談があったという。

おなじみのムルダシェフ探検隊レポートの新シリーズは、イースター島探検レポート。ロシアの川口探険隊は、結構派手にお金をつかっている。それだけ読者から人気があるのだろう。

ユーリイ・シェフチュク

5月16日0時半よりオリンピックスタジアムでの記念コンサートを放映。

見たかったな!

 

2007年5月20号

辞めるか、辞めないか

2008年5月に大統領選挙がおこなわれる。2期と定められている任期を終えて、プーチン自身は、3期目はないと明言しているが、その後プーチンがどんな進路を考えているのかについて、専門家たちが、考えられる5つの見解について答える

ソチのオリンピック誘致演説でまた株をあげたプーチン。その人気はとどまるところがない。しかし陰でなにをやっているかについては、まだベールにつつまれている。

ユーリイ・シェフチュク「私は歌うパンツではない」

5月16日50才の誕生日を迎えるDDTのヒーロー、シェフチュクのインタビュー。50才になった感想。さらには先日発売されたばかりのソロアルバム「素晴らしい愛」について語る。ソロアルバムでは、ヒーローたちへ捧げられている。そのうちの半分は亡くなった人たちへのものである。

このソロアルバムも入手しないと!

山が巨人たちを生んだ

エルンスト・ムルダシェフのイースター島探検調査についての報告。巨大な偶像が歩いていたということを前回は報告したが、この偶像は言われているように手でつくられたものではなく、火山によって生まれたものだと見なしている。

 

2007年5月21号

どんな階層から少数支配者が生まれるのか

「稀なる大地」という新作を出版したばかりの作家ワシリイ・アクショーノフのインタビュー。これは30年前に書かれた「私のおじいさん――記念碑」と「カバン」の2編からなるものである。

子どもたちに触らないで

2006年ロシアではおよそ5万人の子どもたちが行方不明になっている。少年誘拐事件について。

一年間で5万人の子どもが誘拐されたなんて、ただごとではないと思うのだが、本当なのだろうか?

 

2007年5月22号

ロシアの俳優の方がいいのに

第60回カンヌ映画祭のグランプリは、ルーマニアの映画「4カ月、3週間、2日」が受賞した。主演男優賞には、「流刑」でアンドレイ・ジバャギンツェフを演じた、ロシア人俳優コンスタンチン・ラブロネンコが受賞した。カンヌ映画祭でロシア人俳優が賞をもらうのは初めて。

ロシア人俳優が受賞するのは初めてというのが、意外といえば意外かも。

「ブブカ」になる

6月3日に25才になったイシンバエワのインタビュー記事。現在はイタリアで練習中。コーチはかつてのブブカのコーチ。ブブカは35回世界記録を更新したが、イシンバエワは現在20回世界記録を出している。5メートル30跳べば、そのときブブカを超えることができるはず。

残念ながら大阪の世界陸上では世界新記録樹立はならなかったエレーナ・イシンバエワ。このインタビューを読んでも、なかなか明るい性格のお姉ちゃんのような気がする。ロシアでは人気が高いだろう。


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