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クマの読書乱読 2003年1月

1月の一冊
荒俣宏著『20世紀世界ミステリー遺産』
(集英社・2001年)

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めちゃめちゃ面白かった。通勤中に読んでいたのだが、読むのが楽しみで、通勤するのが待ち遠しかったぐらい。これはアラマタが選んだ32の現代版ミステリー遺産を紹介したものなのだが、ひとつひとつのエピソードが盛り沢山で読みごたえがある。ここで紹介されているミステリー遺産は以下の通り。

01 リプレー「信じようと信じまいと」コレクション
02 ウィンチェスター・ミステリー・ハウス
03 リリ・エルベの肖像画
04 アンジェリンの看板
05 東京大学雪男探検隊
06 石原慎太郎のネッシー探検隊
07 オリバー君
08 フルカネリのサイン
09 福来博士の念写写真
10 熊沢天皇
11 学天則
12 レーニンのミイラ
13 ボルネオ島「首狩り族」の復活
14 ガラパゴス殺人事件
15 アナタハンの女王蜂
16 空手
17 沖縄ロゼッタストーン
18 与那国海底遺跡
19 ツチノコの足
20 ロッズ(スカイフィッシュ)
21 クロップサークル(ミステリーサークル)
22 ナスカの地上絵
23 レイライン
24 ロズウェルUFOの破片
25 死海文書
26 ヴォイニッチ写本
27 トリノの聖骸布
28 ピルトダウン人の化石
29 コティングレーの妖精写真
30 ミッチェル=ホッジズの水晶ドクロ
31 中国遺伝学
32 陸軍能登研究所

 読んでびっくりしたのは、02,03,04,15,18だろうなあ。
 実はこの本は、神彰のことを取材中に会ったマルチ・プロデューサー康芳夫氏からもらった。この本のなかで康氏は、大活躍している。ネス湖の怪獣探しや、チンパンジーと人間のあいのこではないかと騒がれたオリバー君は、すべて康氏の仕掛けである。嘘と実の微妙な境目をうまくついているのはさすがである。
 ここにおさめられているのは、まさに超B級のミステリー、これを歩く百科事典ならぬ博識のアラマタが、見事な切り口で語る。博覧強記のアラマタだからできたケレン味たっぷりのエンターテイメントといえよう。昭和時代に現都知事が隊長になって、ネッシー君を探しにスコットランドまで行ったり、雪男を探しに東大で探検隊が組織されるなど、おおまじめに取り組んでいるのがいいなあ。
 UFOにしろ、ミステリーサークルにせよ、いががわしいところがプンプンあるが故に、真面目に取り上げられないわけだが、こういういかがわしさは大事にすべきだと思う。今年最初の大満足の本だった。


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