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【連載】モスクワスクラップ帳

第66回

2007年10月のモスクワの週刊誌『論拠と事実』からスクラップした記事。

2007年10月40号
 まもなく猿は人間になる!
 皇族の遺品は現在ひとそろいになっている
 何故裁判所は子供を殺害した犯人に甘いのか
 映画のミリオンセラー
2007年10月41号
 ロシアは殺人山を制服した
2007年10月42号
 彼は自分のことを超法規と見なしていた
 奴隷として15年
2007年10月43号
 彼女を愛をもって受け入れる
 私は仕事、創作、人生への飢えで痩せた
 アイスショーの滑りやすい真実


 

2007年10月40号

まもなく猿は人間になる!

アフリカのセネガルのチンパンジーが人間化しているというニュースが飛び込んできた、皆笑うかもしれないが、冗談ではないのだ。 イギリスとアメリカの探検隊の調査によると、セネガルのチンパンジーは、狩猟の時に使う槍を自分でつくっているという。

記事のタイトルを見ただけで、ぷっと吹き出してしまった。「どうぶつ奇想天外!」あたりでとりあげてもらいたいものである。

皇族の遺品は現在ひとそろいになっている

ニコライ皇帝一家処刑に関連した、今回は処刑のあとエカテリンブルグに侵攻してきた白衛軍が、この事件について行った調査記録があり、それをもとにした調査が、1991年から行われた。

またしてもニコライものの記事。

何故裁判所は子供を殺害した犯人に甘いのか

これはショック。先週号で紹介した8歳の子供を殺害した犯人に対して、裁判所は懲役20年の判決を下した。20年ということは14年経てば、社会に出られるということである。一体どういうことなのか。

このところ「論拠と事実」が積極的にとりあげている少年に対する犯罪のキャンペーンのひとつ。

映画のミリオンセラー

「パイレーツオブカリビアン」「シュレック3」といった世界的ヒット作とはくらべものにならないが、まずセルゲイ・ボドロフ監督の「モンゴル」は2780万ドル、ミハルコフの「12」は1720万ドル、アンドレイ・コンチャロフスキイの「輝き」は3801万ドルの収益があった。

このなかで、チェチェンを扱ったミハルコフの新作、それにボドロフの「モンゴル」は見たいものである。特に「カチェーブニク」を撮ったボドロフが、今度はジンギスハーンを取り上げる「モンゴル」は、たぶん日本では公開されないだろうから、ビデオだけでも入手しないと。

 

2007年10月41号

ロシアは殺人山を制服した

24人のヒマラヤ遠征隊が、世界で初めて、最も難しく、危険なルートといわれている西側の壁をとって、8611メートルのチョゴリの頂上に到達した。

最近とみに目立つロシアナショナリズムを高揚させるような出来事といえるかもしれない。

 

2007年10月42号

彼は自分のことを超法規と見なしていた

アレクサンドル・ヒィンシュテイン著「ベレゾフスキイとアブラモッビッチ―大富豪たち」からの抜粋。主にリトビネンコとベレゾフスキイの固い絆について紹介。リトビネンコの札入れには妻と子供の写真の他にベレゾフスキイの写真が入っていた。FAB時代に勤務していたリトビネンコとベレゾフスキイが知り合い、急速に深い関係になっていくまでを紹介。

「論拠と事実」はこのリトビネンコ事件に関しては、ベレゾフスキイ黒幕説に立っている。こうした本の紹介も、それを裏付けるものとして提示しているのだろう。2頁もつかっての大々的な宣伝になっている。

奴隷として15年

ユニセフの資料によると売春婦としてロシアから外国に5万人の女性が出て行っているという。15歳の時に隣町から汽車で家に帰ろうとした少女は、切符がないと言われ、車掌にただで乗せてやるといわれる。これが罠で、このまま少女は誘拐され、売春婦として15年間世界中を連れ廻されることになる。流れ流れやっとウクライナの教会にたどりつき、司祭によって救われたという実話。

2頁の大特集。こうした犯罪組織が広範なネットワークをもっているということであろう。誘拐された少女の父親は警察官だった。少女は誘拐されたとき犯人グループに、父がきっと見つけ出してくれると言ったが、結局は見つけられなかった。なんとも痛ましい事件である。

 

2007年10月43号

彼女を愛をもって受け入れる

前号で紹介した誘拐され、売春婦としてロシアから世界各地転々とすることになった女性のニュースの続報。女性の父親で警察官をしていたオレク・マリシェフのインタビュー記事。

こうした犯罪を失くすためにということもあるのだろうか。先週に引き付いての大々的な記事。痛ましいのは、母親が誘拐された直後に亡くなってしまったことである。

私は仕事、創作、人生への飢えで痩せた

女性ロックシンガーゼムフィーラのインタビュー記事。彼女はアブラモビッチから支援を受けたとか噂もあったが、それについては全面否定。DDTのシェフチクからは、ラブソングばかり唄い、社会性のあるテーマについては何にも曲を書いていないという批判を受けているが、これについてはシェフチクが正しいとしたものの、自分は社会的なテーマより、全人類的なことに興味をもっているとする。

写真を見ると、スレンダーでなかなかの美人シンガーであった。曲をちょっと聞いてみたいものである。

アイスショーの滑りやすい真実

まもなくスターとアイスショーの二回目の放映があるが、こんな簡単にスターがアイスショーをできるのかという読者の質問に対してブトゥリスカヤが答える。短い期間でアイスショーができるわけでなく、プロと一緒に練習するから可能だと答える。

一回目の時のこの番組は、ビデオで見せてもらったが、なかなかすごい演技をしていた。ただソロでやっているのではなく、プロのスケーターが一緒に滑っていた。「スターとサーカス」同様、この番組はかなり人気があったのだろう。


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