2002.03.12

『レザーノフと日本』展(仮称) 企画書第2案

 皆さんから寄せられた意見を入れながら、第二版をつくってみました。
過去に仙台博物館で『漂流展』、そして神戸博物館で『日蘭交流展』が開催されています。その時に漂流や長崎通詞に関して、さまざまな展示物が公開されているので、そのカタログを参考にしました。
 次回は、もう少し所蔵先などを特定したものをアップしたいと思っています。
 一番の目玉になると思われるのが、ナジェージダ号に乗っていた画家ティレジウスのスケッチのオリジナルなのですが、いまそれがどこに所蔵されているかを調べているところです。
 この展示が可能になれば、かなり特色を出した展覧会になるのではないかと思っています。
 皆さんのご意見をお待ちしています。

〔特色〕

1.立体的展示をめざす
 「環海異聞」や「レザーノフの辞書」などは、原本の展示だけではなく、複写拡大したものを展示する。
 ビデオモニターを数カ所におき、漂着地(アッカ島)、カムチャッカ、イルクーツク、マルケサス諸島などの映像を紹介する。

2.同時進行による資料追跡
 全体的に目玉となる展示物があまりないのが現状であることを踏まえて、話題づくりをしていきたい。
 そのひとつがこの展示会をするために、未発見の史料を探し出すことであり、この過程を、マスコミを通じて随時紹介していくことだと思う。

 以下に掲げる未発見資料を探し出す過程自体が、話題になるのではないだろうか。
全国規模でなくても、開催を予定している、仙台、長崎、函館では、必ず話題になると思われる。

〔未発見資料〕

  1. 吉郎次の墓(可能性は決して高くない)
  2. 環海異聞オリジナル本(誰が判断するかというのが、一番のポイント)
  3. レザーノフが日本から持ち帰ったお土産(クラスノヤールスクには何点かあるのは確認済)
    レザーノフが日本に持ってきたもの(大変だが、もしも見つかれば話題になる)
    日本側の史料では、漂流民たちがロシアからもらってきたものや、通詞たちに渡された土産もののリストがでている。それはいまだにどこにあるのかわからないままになっている。
    レザーノフが日記で書いている、幕府の検使たちに渡したという、サイン・メッセージ付きの記念の扇が見つかれば、日露交流の象徴として話題になるはず。
    持ってきたのだけど渡せず、そのまま持ち帰ったものの何点かについては、東北大学が所在地を確認済
  4. 善六が書いた直筆の手紙(たぶんどこかにあるはず)
    善六は、ゴローブニン釈放の交渉のために、日本語で幕府宛てに手紙を書いている。彼の直筆の手紙は、どこかにあるはず。
  5. レザーノフの露日辞典増補版(ペテルブルグにはあることが確認されている)
    長崎滞在中に集めた約千語の日本語を増補した辞書は、18世紀の長崎でつかわれた日本語の実態を知るうえでも、貴重な資料となる。

レザーノフ長崎来航200周年記念
若宮丸漂流民日本帰還200周年記念

レザーノフと日本展(仮称)

レザーノフは果たして、日本にとって敵だったのか?
レザーノフ来航と漂流民帰還200年の記念の年に、
日露交流の原点を捉え直す

日本とロシアで開催
《開催予定地》
長崎・仙台・函館・イルクーツク・クラスノヤールスク・ペテルブルグ 他

〔初公開〕
環海異聞のオリジナル本
レザーノフの露日辞典2点
レザーノフの文法書
レザーノフが持ち帰った日本の土産
レザーノフが持ってきたロシアの土産
テレジウスの世界一周、長崎滞在中の絵画


第1部 若宮丸漂流民の足跡

1.奥州石巻湊と千石船

当時の石巻湊の繁栄ぶりを伝える絵馬や地図の展示
「石巻眺望図絵馬」、「奥州仙台名所尽所集」、「仙台藩御用船絵馬」など
千石船の模型
漂流船絵馬

2.漂流民たちの故郷

寒風沢 「奥州名所図会」巻三 津太夫の過去帳
室浜 世界一周記念碑写真、太十郎・儀兵衛の墓写真、過去帳
石巻 禅昌寺の供養碑(写真)、米沢屋平之丞の屋敷図

3.漂流生活

漂流地図(オリジナル作成)
アリューシャン列島アッカ島の写真、映像資料
オホーツクの写真、映像資料
18世紀イルクーツク市街地図
吉郎次の墓の写真(予定)
小宮三松が見た墓の絵
新聞記事のコピー
玉井喜作『シベリア隊商紀行』のドイツ語版本
『世界周航実記』

4.環海異聞

環海異聞の挿絵を複写拡大して、展示
その挿絵に関連するものがあれば展示
ロシアでの生活がわかるもの
環海異聞オリジナル本(予定)
全国各地に残っている異本各種
太十郎の持ち帰ったジャケット
環海異聞以外に、帰国した漂流民たちが故郷などで語った口書が、かなりの数残っている。それをできるだけ展示する。

第二部 世界で初めて世界一周した男たち

1.ペテルブルグ

環海異聞からペテルブルグ見聞の挿絵を拡大複写したものを展示
ルミャンツェフ邸の写真
18世紀ペテルブルグ市街地図
クロンシュタット港の絵図
レザーノフ邸跡か露米会社跡地の写真

2.世界一周

テレジウスの描いた寄港地の絵
環海異聞の挿絵も拡大複写にして展示
クルーゼンシュテルンの世界紀行本
ラングスドルフの世界一周本
レザーノフの露日辞典
これも拡大複写して、掲示する
マルケサス諸島
テレジウスのスケッチ、環海異聞の挿絵拡大複写にして展示
現在のマルケサス諸島の写真

第三部 レザーノフ長崎来航

1.長崎来航

レザーノフ長崎来航絵巻
レザーノフの肖像画
『魯西亜船之図』
『魯西亜船ならび人物之図』
『ヲロシア人』
テレジウスの描いた長崎
レザーノフ来航を伝える本
レザーノフが日本から持ち帰ったもの
レザーノフが日本に持ってきたもの
『魯西亜図』
『魯西亜図全図』
レザーノフの露日辞典増補版(予定)

2.長崎通詞たち

レザーノフと交渉にあたった長崎通詞たちの肖像画
本木庄左衛門、中山作三郎、石橋助左衛門ほか
「魯船滞船日記」
長崎通詞由緒書
出島絵図
ドゥーフの肖像画

第四部 レザーノフ来航の余波

1.エトロフ来襲余波

高田屋嘉兵衛とゴローブニンに関する資料
北方資料館展示品から
善六が書いた直筆の手紙(予定)
善六の曾孫キセリョフ函館領事の写真、着任時の新聞記事
クルーゼンシュテルンの翻訳本「奉使日本紀行」のオリジナル本
クルーゼンシュテルンの日本地図
『中川五郎次事蹟』
エトロフ来襲時とらわれ、イルクーツクに連れて行かれ、善六としばらく一緒に暮らした中川の口述記録
「オスペン・クニーガ」(種痘に関する本)
『遁花秘訣』(馬場佐十郎が、このロシア語を訳したもの)
『魯西亜牛痘全書』(上記本を改題して出されたもの)

2.その後のレザーノフ

カルフォルニア遠征
コンチの肖像画
映像資料 レザーノフとコンチの愛を描いてロングランを続けるロシアのロックオペラ『ユノーナとアヴォシ』のVTR
レザーノフの最後の地クラスノヤールスクにある資料
レザーノフの墓写真
榎本武揚「西比利亜日記」