石巻若宮丸漂流民の会設立20周年記念イベント
オンラインで結ぶ「若宮丸漂流民世界一周の旅」
石巻からオンライン(Zoom)で全国各地・世界各国を結び、若宮丸漂流民の足跡を実感するイベントです。
パブリック会場の石巻 かほくホールの隣室、交流ホールでは、パネル展「若宮丸漂流民の世界一周」も開催!
ぜひリーフレット「石巻若宮丸漂流民物語」を傍らに置いて、漂流民たちの遠大な足跡に思いをはせてください。
- オンラインで結ぶ「若宮丸漂流民世界一周の旅」2021.10.30(土) 13:00
- 関連イベント:パネル展「若宮丸漂流民の世界一周」2021.10.30(土)~2021.11.03(水・祝)
石巻若宮丸漂流民の会設立20周年記念イベント
オンラインで結ぶ 若宮丸漂流民世界一周の旅
日時:2021年10月30日(土)13:00~
パブリック会場:石巻・かほくホール + オンライン観覧(Zoom)
参加無料・要申込み
主催:三陸河北新報社・石巻若宮丸漂流民の会
若宮丸漂流民がたどりつき、暮らし、生き抜き、そして見た、世界――
石巻からオンラインで世界各地を結んで“実感”する、若宮丸世界一周の旅
13:00~◆平川新講演会
「環海異聞」でたどる若宮丸の世界一周
平川新
今から218年前の江戸時代。宮城県石巻から船出した千石船「若宮丸」は福島県沖で遭難し、はるか北のアリューシャン列島まで流された。当時、日本との貿易を望んでいたロシア政府の意向で、彼ら乗組員はシベリアを横断してサンクトペテルブルグへ、そしてそこから帆船「ナジェージダ号」に乗せられて西回りで世界一周し、日本に帰ってきた――
帰国した彼らの話を大槻玄沢らがまとめた『環海異聞』の絵図を見ながら、初めて世界一周した日本人、若宮丸漂流民の足跡をたどります。
★『環海異聞』(かんかいいぶん):大槻玄沢(おおつきげんたく)と志村弘強(しむらひろゆき)が、帰国した漂流民たちの漂流から世界一周までの驚くべき体験と見聞を、江戸の仙台藩邸で聞き取り、たくさんの絵図も加えて全15巻にまとめた書。その内容は、漂着地のアリューシャン列島や長く生活したロシアだけでなく、世界一周で立ち寄った南洋ポリネシアなどの地勢・言語・習俗など幅広い分野にわたる。
海外の情報を渇望する当時の人々の注目を集めて日本全国で150以上の写本が作られた。原本は失われてしまったが、もっとも原本に近いとされる写本を宮城県図書館が所蔵している。
平川新(ひらかわ・あらた):東北大学名誉教授・前宮城学院女子大学学長・石巻若宮丸漂流民の会副会長
13:50~◆オンラインレポート
「若宮丸漂流民ゆかりの町」
漂流民ゆかりの町や品々をオンラインでレポート!
司会◆大島幹雄(石巻・石巻若宮丸漂流民の会事務局長)
若宮丸が漂着した極北の島 アリューシャン
アリューシャン列島の自然と気候
◆河内牧栄(アラスカ・ネイチャーイメージ主宰(ガイド、カメラマン) フェアバンクス在住)
難船した若宮丸が漂着した「ナアツカ」は、今の暦で5月というのに海岸まで雪に覆われた島でした。
「ナアツカ」がアリューシャン列島のどの島だったかは分かっていませんが、今はアメリカ領になっているエイダック島(アダック島)を訪れて若宮丸漂流民の痕跡を探したアラスカ在住の河内さんのレポートです。
7年暮らしたロシア極東の都市 イルクーツク
自身も8年暮らしたイルクーツクの生活
◆阿部耕大(日本・元イルクーツク大学)
ロシア極東、バイカル湖に面して「シベリアのパリ」とも呼ばれるイルクーツクは、当時から大きな町でした。若宮丸漂流民はここで7年間、漁の手伝いをしたりお酒を作って売ったりしながら暮らします。
それより少し長い8年間、ここで生活した元イルクーツク大学の阿部さんにお話をうかがいます。
ロシア皇帝に拝謁した サンクトペテルブルグ
クンストカメラ(人類学博物館)から:
若宮丸漂流民が見たプラネタリウム・地球儀・刺し子の着物の実物
◆アレクサンドル・シニツィン(サンクトペテルブルグ・人類学博物館学芸員)
首都ペテルブルグでロシア皇帝アレクサンドル1世に謁見し、帰国を希望した4人の漂流民、津太夫・儀兵衛・左平・太十郎は、気球や観覧車など当時の最先端のエンターテインメントをいろいろ見物させてもらい、『環海異聞』にも絵図が残っています。なかでも「プラネタリウム」と「地球儀」(巨大な地球儀の内部がプラネタリウムになっている)は、どんなものか気になっている方も多いのではないでしょうか。 若宮丸漂流民が「これは日本の着物か」と見せられた「刺し子の着物」(南部藩多賀丸漂流民の遺物)とともに、ロシアの首都サンクトペテルブルグにある人類学博物館「クンストカメラ」から実物を見せてもらいます。
直前に漂流した大黒屋光太夫の故郷 鈴鹿
大黒屋光太夫記念館から:
イルクーツクで出会った神昌丸漂流民の船頭、光太夫がロシアから持ち帰った品々
◆代田美里(三重県鈴鹿・鈴鹿市文化スポーツ部文化財課)
若宮丸の11年前に漂流した伊勢白子(三重県鈴鹿市)の神昌丸(しんしょうまる)漂流民。凍傷や病気のためイルクーツクに残留していた新蔵と庄蔵は、若宮丸漂流民と生活をともにしていました。庄蔵の最期は若宮丸漂流民が看取り、サンクトペテルブルグには新蔵も一緒に行っています。
その神昌丸船頭の大黒屋光太夫は、サンクトペテルブルグで当時の女帝エカテリーナ2世に謁見して帰国を直訴、シベリアを引き返してオホーツク経由で若宮丸漂流より先に日本に帰ってきていました。神昌丸の故郷 鈴鹿から、光太夫が持ち帰ったロシアの品々を見せてもらいます。10年余りのタイムラグはありますが、若宮丸漂流民も同じようなものを見たり持ち帰ったりしていたかもしれません。
世界一周航海に出発した港 クロンシュタット
若宮丸漂流民の帰国後、ゴローニン事件で活躍した高田屋嘉兵衛の故郷とクロンシュタットの縁
◆斉藤智之(兵庫県淡路島・高田屋顕彰館学芸員)
若宮丸漂流民は、世界一周就航船「ナジェージダ号」で西回りに地球を回って帰国することになりました。サンクトペテルブルグの軍港、クロンシュタットからの船出です。
漂流民たちを伴って日本に来たレザーノフの目的は日本との通商交渉でしたが、江戸幕府はこれを拒否。これがもととなって、のちにロシアによる択捉・樺太などへの襲撃「文化露寇」や、日本がロシア軍艦「ディアナ号」の艦長を拿捕・幽閉した「ゴローニン事件(ゴロヴニン事件)」が勃発しました。ロシア軍艦副艦長のリコルドとともにゴローニン事件解決の立役者となったのは、淡路島生まれの高田屋嘉兵衛(たかたやかへえ)でした。
嘉兵衛とリコルドの友情を記念してクロンシュタットと友好都市になっている淡路島の洲本市五色町から、軍港・貿易港として栄えるクロンシュタットについて話していただきます。
南半球ブラジルの寄港地 フロリアノポリス
初めてブラジルに来た日本人を称える町
◆鈴木まゆみ(フロリアノポリス)
若宮丸漂流民をテーマにしたサンバカーニバルの映像と解説
◆パウロ・B・ダ・ローザ(ビデオ出演・サンタカタリーナ若宮丸研究会事務局長)
◆イザ・デ・モライス(ビデオ出演・サンタカタリーナ若宮丸研究会会長)
◆通訳:鈴木まゆみ
大西洋を南下して赤道を越えたナジェージダ号は、南米ブラジルのサンタカタリーナ島フロリアノポリスに寄港します。
日本から多くの移民が渡ったブラジルですが、「最初にブラジルに来た日本人」として若宮丸漂流民が顕彰されています。フロリアノポリスの町のようすを鈴木さんがレポート。そしてテーマとストーリーが重要とされるサンバカーニバルで「若宮丸漂流民」を取り上げた演出家のパウロさんには、カーニバルの映像を見ながら解説していただきます。
帰国した漂流民太十郎の故郷 室浜
吉村昭記念文学館から:
「吉村昭と東日本大震災」展に展示中の太十郎が持ち帰ったジャケット
◆橋爪道治(東京・荒川区ゆいの森あらかわ 吉村昭記念文学館係長)
12年の苦難の後に4人の漂流民が帰郷を果たしました。若宮丸漂流民の遺物はほとんど残されていませんが、室浜の太十郎(多十郎)の子孫の家に「ロシア皇帝から下賜されたジャケット」が伝わっていました。厚手で温かいことから農作業のときに着ていたとも伝わっていて損傷の激しい状態でしたが、石巻若宮丸漂流民の会の講演会で当地を訪れた作家の吉村昭氏(新潮新書『漂流記の魅力』で若宮丸漂流民も取り上げています)がこれを見て「ぜひきちんとした保存を」と訴え、その後、東松島市指定有形文化財として奥松島縄文村歴史資料館が保管・展示することになりました。
現在、東京都荒川区の吉村昭記念文学館「吉村昭と東日本大震災」展に貸し出されて展示中のこのジャケットを、同館学芸員の深見さんに見せていただきます。
ロシアに帰化した漂流民善六が“来日”した 函館
ロシア側の通訳として函館に来た善六のこと
◆倉田有佳(函館・函館日ロ交流史研究会会長)
若宮丸漂流民のひとり善六はロシアに帰化していたために、帰郷した4人とともにナジェージダ号で世界一周したもののカムチャツカ半島のペトロバプロフスクで船を降り、二度と故郷石巻に戻ることはありませんでした。しかし、ゴローニン事件を解決するために高田屋嘉兵衛とリコルドが来日したとき、善六もロシア側通訳「キセリョフ善六」として箱館(函館)に上陸しました(キセリョフはロシアでの姓)。
函館で日本とロシアの交流史を研究する倉田さんに、ロシア人として函館に来た善六について話していただきます。
参加申込方法
◆オンライン参加
先着50名様【申込み締切り:2021年10月25日(月)23:59】
メール:waka1793@gmail.com(大野)
★件名を「若宮丸オンライン希望」として、本文にはお名前を書いてお送りください。
Zoomのアクセスコードをお知らせします。
◆パブリック会場
先着30名様【申込み締切り:2021年10月25日(月)18:00】
電話:
090-9536-2354(本間英一)
(受付時間:月~土 10:00~18:00 日曜はお休み)
★マスクの着用にご協力ください。
会場案内 |
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石巻河北ビル1階 かほくホール 〒986-0827 石巻市千石町4-42 石巻河北ビル1階 (JR石巻駅から徒歩9分) より大きな地図で かほくホール を表示 |
石巻若宮丸漂流民の会設立20周年記念「オンラインで結ぶ若宮丸漂流民世界一周の旅」関連イベント
パネル展 「若宮丸漂流民の世界一周」
会期:10月30日(土)~11月3日(水・祝)
時間:平日 11:00~16:00/土日祝 10:00~17:00
会場:石巻かほく・交流ホール(かほくホールの隣室)
入場無料・申込不要
10/31(日)・11/3(水・祝) ギャラリートークあり
展示品
●解説パネル「若宮丸の世界一周」
若宮丸漂流民の足跡を解説したパネルです。
思わぬ遭難から12年もの長きにわたった彼らの苦難の旅路をご紹介します。
(特定非営利活動法人NPOみなとしほがま制作)
●『環海異聞』(複写)
原本にもっとも近いといわれる宮城県図書館蔵の写本『環海異聞』のコピーです。
彩色された豊富な絵図から、異国で若宮丸漂流民が見たときの驚きを想像してみてください。
ときどき漂流民自身の姿も描き込まれているのにもご注目!
●『レザーノフ来航絵巻』(複写)
漂流民を伴って「ナジェージダ号」で長崎に来航したレザーノフ一行を描いた絵巻のコピーです。
細やかな描き込みから軍艦ナジェージダ号がやってきたときに日本が受けた衝撃の大きさが伝わってきます。
●「ナジェージダ号」寄港地ほか若宮丸漂流民関連の世界各地の写真
「ナジェージダ号」で世界一周するあいだ、若宮丸漂流民たちはすべての寄港地で下船したわけではないようですが、世界のどんなところを通ったのか、写真でご覧ください。
●新蔵・善六翻訳(ロシア語版)「日本地図」
ロシアで出版された詳細な日本地図です。
日本からロシアに持ち出されてこの地図のもとになった長久保赤水の『改正日本輿地路程全図』は、当然のことながら地名が漢字で書かれていました。これをロシア語に翻訳したのは、ロシアに残留して日本語教師・通訳となった二人の漂流民、神昌丸(大黒屋光太夫の船)の新蔵と若宮丸の善六でした。
難読地名には多くの読み誤りがあります。善六にはある程度漢字の素養があったようですが、伊勢の新蔵と石巻の善六――いくつもの湊を渡る千石船乗りとはいえ、日本海側や四国・九州など知らない土地も多かったのでしょう。
あなたが突然異国に流されて、日本地図を翻訳しろと言われたら、どれくらい読めますか?
ギャラリートーク
◆全4回、1回30分程度を予定
- 10月31日(日) 11:00/15:00
- 11月 3日(水・祝) 11:00/15:00