土蔵メモリアル交流会
2011年9月24日、石巻震災土蔵メモリアル基金の中間報告会「土蔵メモリアル交流会」開催のお知らせとレポート。
6月からスタートした「石巻震災土蔵メモリアル基金」の募金活動は、全国各地に広がりをみせています。さらに企業メセナ協議会の「東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド」の助成も受けることができました。
こうした活動のこれまでの報告をかねて、土蔵見学や講座もとりいれて、中間報告会を開催することになりました。
お彼岸の3連休の中日になりますが、皆さんお誘いあわせのうえ、お集まりください。会員のみなさん、今回の活動にご協力をいただいたみなさん、そして市民の皆さんが自由に、気楽に集まり、交流できる会にしたいと思っています。
皆さんのご来場をお待ちしております。
石巻震災土蔵メモリアル基金 中間報告会
「土蔵メモリアル交流会」開催のお知らせ
日 時 | 2011年9月24日(土) 午後1時~ |
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会 場 | 宮城県石巻市門脇町2-6-2 本間英一邸土蔵前 ★仙台から石巻へは代行バスがあります。 石巻駅から会場まではタクシーでいらしてください。 ※詳しいアクセス方法は、チラシPDFをご覧ください。 ※高速バスは、道路の渋滞のため時間通りに運行できないことも多いようです。 |
内 容 | ●土蔵見学 案内:本間 英一 ●講座と報告 平川 新(東北大学教授) 土蔵を残す意義について 佐藤 敏宏(一級建築士) 土蔵は何故残ったのか――建築学的にみて 本間 英一 土蔵の歴史と土蔵保存について 木村 成忠 保存運動について 大島 幹雄 募金活動の現状について ●日和山見学 ※日和山公園で解散 |
ご注意 | ★会場として予定しているのは、土蔵前の空き地です。 特にパイプ椅子などの 雨天決行 土蔵前で講座が開けない場合は、土蔵を見学後、称法寺に移動します。 |
問合せ | 022-229-7034(木村)/
090-9536-2354(本間) |
主 催:石巻若宮丸漂流民の会・石巻千石船の会 後 援:NPO法人 宮城歴史資料保全ネットワーク 助 成:企業メセナ協議会GBFFund「東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド」 |
土蔵メモリアル交流会レポート
9月24日瓦礫もすっかりなくなった石巻門脇に残る土蔵の前で、石巻震災土蔵メモリアル基金中間報告会が開かれた。全国各地からおよそ80名が参加するなか、目標金額を上回る290万円もの寄付金が集まったことが報告されたほか、この土蔵にあった江戸時代からの文献2千点を含む段ボール60箱分の資料を救出した宮城資料保存ネットワーク代表平川新氏と土蔵修理のアドバイスをした建築家佐藤敏広氏が講演した。
行政や国からなにも指定を受けていない歴史建造物を税金で修理することは不可能であり、さらに完全修復するために、多額な費用がかかり、それを所有する個人に負担してもらうというのは、地震、津波で大きな被害を受け、生活することさえ困難な状況にあるとき、あまりにも過酷といえよう。ではどうしたらいいのか。そのヒントが、今回の土蔵保存運動にあるのではないかと平川氏は語る。未指定の文化財を、税金ではなく、基金として社会のしくみのひとつとして創設していくこと、そうしたことが可能であることを示したというのだ。
佐藤氏は、土蔵が残るべくして残ったといえないか、個人のものだが、みんなのものというシステムを考えていくこと、さらに新しい機能を発明して、みんなで共有できる建物として残す、将来どんな価値をもっていくのか、それは地域の人たちと一緒になって考えていくべきではないかと提言する。
土蔵の所有者本間英一氏は、瓦礫だけになったこの一帯で、この土蔵をこの門脇地区の歴史遺産として、将来を担う子供たちに歴史を伝えるために残していきたい、具体的には中に展示物を置き、だれでも希望があれば観覧できるようにしていくことを考えているとその決意を語っている。
平川氏は土蔵を津波に耐えたシンボルとして残すなか、さらに広めながら地震、津波によって崩壊の危機にあるたくさんの古建築を残すための基金をつくり、日本の風景を守ることを社会全体で考えていく、それを日本中、世界中に呼びかけていくモデルにしたいと提言していたが、この土蔵は、行政に頼らない民間の力で、未来を切り拓き、さらには伝承していくためのシンボルになったといえるかもしれない。(大島幹雄)