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2017.05.19 / 更新2017.06.28

我にナジェージダ(希望)あり―石巻若宮丸漂流物語

大島 幹雄 著

出版社:デラシネ通信社

発 行:2017年5月20日

体 裁:208頁 / B5 ソフトカバー

ISBN:なし

定 価:本体 1,800円+税

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 「石巻日日新聞」で2012年4月2日から翌年8月30日まで連載した小説『我にナジェージダ(希望)あり』を冊子にしました。
 1793年に石巻から江戸へ向かった廻船若宮丸の乗組16人は嵐に遭い、約半年の漂流後に極北のアリューシャン列島に上陸。ロシア人に助けられてシベリアを横断し、世界を一周して故郷に帰るまでの12年間の苦難に満ちた実話に基づいた小説です。

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刊行に寄せて

 2012年4月2日から翌年8月30日まで「石巻日日新聞」で連載された『我にナジェージダ(希望)あり』を冊子にしました。

 震災津波で大きな被害を受けた生まれ故郷石巻の人たちになにかできないか、そんな思いからうまれたこの小説で、220年前石巻から旅立った郷土の先達たちが、幾多の艱難辛苦を乗り越え、たくましく生きていった姿を描いています。

 嵐に遭った若宮丸乗組員は、沈没の危機を乗り越え、およそ半年太平洋を漂流しながら、仲間と助け合いながら生きのびました。アリューシャン列島の原住民やロシア人の助けを得ながら、アリューシャン列島からシベリア横断、さらには世界一周の航海をして日本に戻ってきます。生きることへの強い意志、そしてそれを助けた異国の人々たちの優しい思い、そこから希望が生れました。そんな希望を伝えたいという思いを込めて書いた小説です。

 ノンフィクションしか書いたことがない私が初めて書いた小説です。敢えて小説にすることで、いままで謎とされていたことに大胆な解釈を試みています。例えば、なぜ善六はあっさりと故郷に帰ることを諦め、ロシア人になろうとしたのか、帰化した漂流民と帰国をめざした漂流民たちのあいだに相剋はあったのか、帰国したいと思っていた2人の漂流民はなぜ直前に帰国を断念したのか、なぜ太十郎は長崎で自らナイフで喉を掻き切ったのか、文献史料だけでは解明できなかったこうしたことに、私なりに迫ってみました。

 まもなく「石巻日日新聞」でこの続編とも言うべき「ロシアから来た日本人―善六ものがたり」の連載をはじめることもあり、これを機会に5年前に連載したものをまとめたいと思い、自費出版のかたちで冊子をつくることにしました。

 若宮丸漂流民に関心のある人にはもちろん読んでいただきたいと思っていますが、まったく若宮丸のことを知らない人にでもわかるような内容になっていますので、多くの方に読んでいただきたいと思っております。

 図版もなく、文字だけで2段組で200頁以上というあまり色気のない冊子になっていますが、これがいま自分のできる精一杯でした。

2017年5月20日

目 次

第一部 漂 流
第二部 極北の島
第三部 シベリア横断
第四部 イルクーツク物語
第五部 イルクーツク暮し
第六部 ネヴァのほとりで
第七部 世界一周の旅
第八部 長崎無情

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(2017.6.7)


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