第4回 古書ほうろう
![東京・千駄木「古書ほうろう」](../../photos/atbookshop/04-06_s.jpg)
「アートタイムズ」についての桑野塾常連メンバーの嶋田さんのTwitterにいち早く反応し、すぐに本を置いてくれることになった千駄木の古本屋さん「古書ほうろう」。この店も、この界隈も、かなり気になる――
![「古書ほうろう」ぎっしりと棚が並ぶ店内](../../photos/atbookshop/04-01.jpg)
「古書ほうろう」
ぎっしりと棚が並ぶ
店内
![店主の宮地さんご夫婦が座るカウンター](../../photos/atbookshop/04-04.jpg)
店主の宮地さん
ご夫婦が座る
カウンター
![「古書ほうろう」は、コミュニティの場になっている](../../photos/atbookshop/04-08.jpg)
「古書ほうろう」は、
コミュニティの場にも
なっている
![ドアにもぎっしりポスターやチラシが](../../photos/atbookshop/04-09.jpg)
ドアにもぎっしり
ポスターやチラシが
![節電で明かりを落とし気味の入り口](../../photos/atbookshop/04-05.jpg)
節電で明かりを
落とし気味の入り口
![表のショーウィンドウ](../../photos/atbookshop/04-02.jpg)
表のショーウィンドウ
![谷根千関連書の棚](../../photos/atbookshop/04-03.jpg)
谷根千関連書の棚
![こういう廉価本も置いているところがいい](../../photos/atbookshop/04-07.jpg)
こういう廉価本も
置いているところが
いい
![「古書ほうろう」の看板](../../photos/atbookshop/04-06.jpg)
古書ほうろうの看板
![店の奥のすてきなホールスペース](../../photos/atbookshop/04-10.jpg)
店の奥のすてきな
ホールスペース
![ホールスペースのまわりにはCDも置いてあります](../../photos/atbookshop/04-11.jpg)
ホールスペースの
まわりには
CDも置いてあります
![全号が揃えられた「アートタイムズ」コーナー](../../photos/atbookshop/04-12.jpg)
全号が揃えられた
「アートタイムズ」
コーナー
![「アートタイムズ」コーナーは、ホールスペースの特等席にあります!](../../photos/atbookshop/04-13.jpg)
「アートタイムズ」
コーナーは、
ホールスペースの
特等席にあります!
Twitterがまだ始まったばかりのころではないかと思う。桑野塾常連メンバーの嶋田さんが、わが「アートタイムス」のことをつぶやいてくれた。このつぶやきにいち早く反応してくれたのが、今回ご紹介する千駄木の古本屋さん「古書ほうろう」であった。そしてすぐに本を置いてくれることになった。ちょうど谷根千の一箱古本市に初めて参加した年だったかと思う。
本を納品するために初めてお店を訪ねたとき、自分の好きな古本屋さんであることがすぐにわかった。置かれている本のジャンル、そして値段も理に適うものだったし、店のなかに何気に置かれているチラシの催し物も、自分のテイストにかなり近いものだった。その中のチラシに、以前鴬谷でカバレットシネマをしたときに出演してもらった寒空はだかさんが、このほうろうでライブをやるという案内もあった。そういえばはだかさんはこのあたりに住んでいたはず。ということで一回でこの本屋さんが気に入ってしまった。
そしてなんと今年の一箱古本市では、ほうろうさんの軒先をお借りして、店を出させてもらうことになった。なんたるご縁、なんたる光栄と思ったものである。場所が良かったのか、雨で営業時間が前年に比べて大幅に減ったにもかかわらず、売り上げは前年以上とあいなった。
ひやかしに従妹と一緒にやってきた上の娘がおやじの店は素通りして、ほうろうさんに入ったきり、1時間ちかく出てこなかった。ふだん古本屋なんて入ったことがないのかもしれないが、ふだん目にしない本を前にして、久しぶりに会った従妹とそんな本をネタに語りあっていたようだ。そういえば自分もそんな風にして本屋さんにたむろしていたものである。本屋さんは、昔はこんな場でもあったのである。
ほうろうという店の名前の由来は、小坂忠の歌から来ているという。忠さんこと小坂忠は、阿佐ヶ谷に住んでいた学生時代にほんとうによく聞いていた。「庭はぽかぽかほんのりと」なんていうフレーズはいまでも小春日和の日に口ずさんでいる。もしかしたら音楽のテイストも近いものがあるのかと思っていたのだが、先日お店のCDの棚を見ていたらふちがみとふなとのものがたくさん置いてあった。ふちがみさんもカバレットに出演してもらった大好きなアーティスト、やはりなあと思った。
奥のアートタイムズが全巻鎮座しているところが、またとてもいい感じのホールのようになっているのだが、このあたりがステージとなり、ライブをしているようだ。谷根千という文化圏のなかで、ひとつの発信基地となっている、これもほうろうの特徴といっていいだろう。
実は私も大学時代の後半から呼び屋の生活をはじめたころまで、根津に住んでいた。根津神社の近くに5年ぐらい住んでいたと思う。とにかくあのころはよく歩いた。上野や本郷、駒込近くまで歩いたものだ。当時はいまのように谷根千と呼ばれていなかったのではないだろうか。文化的な香りよりは、下町の匂いが漂っていたように思える。ましてほうろうさんのような好みの古本屋さんもなかった。
「アートタイムズ」8号を納品した帰り、夕暮れ時の千駄木と根津を歩いてみながら、野毛の亡くなった大内さんや美濃瓢吉や秋山祐徳太子がたまにとぐろをまいていたというすずらん横丁の「あかしや」の前を歩いたり、路地をちょっと曲がったりしているうちに、この界隈がとても気になりはじめた。遠いからとか、住んでいないからということではなく、気になった界隈とか気になる場所があるところは、遠慮なく入り込むことだと勝手に思っている。谷根千の人たちには迷惑かもしれないが、づかづかと入り込んで行こうかな、とりあえずはほうろうさんを入り口にしながら、入り込もうかな・・・