第61回~第70回 桑野塾の開催概要と内容
第61回~ 桑野塾の開催概要と内容です。
- 第61回 ●「アンナ・ラーツィス『赤いナデシコ:《職業革命家》アーシャの回想録』(水声社、2020年12月刊)について」桑野隆
●「コロナと選挙のアメリカ報告」武隈喜一
●「1914年の日本人軽業一座」大島幹雄 - 第62回 ●「第二次世界大戦中のモスクワ放送――日本語放送の前史から第二次世界大戦中のモニタリング調査まで」島田顕
- 第63回 ●「『絶望大国アメリカ』のいま――分断は癒されるのか――」武隈喜一
- 第64回 ●「映画化された上海――『上海ドキュメント』ブリオーフ、『上海』亀井文夫、『上海バンスキング』深作欣二」春名徹
- 第65回 ●「『ボリショイ秘史』――肯定と否定――」赤尾 雄人
- 第66回 ●「拘禁された日本人軽業師たち」大島幹雄
- 第67回 ●「人形劇人、大井数雄―その人形劇への思いを探る―」鈴木 正美・岩原 宏子
- 第68回 ●「メイキング オブ「みわぞうsings三文オペラ」」こぐれみわぞう・大岡 淳・大熊 ワタル
- 第69回 ●[桑野塾読書会]大澤恵利・桑野隆・沼辺信一・春名徹
- 第70回 ●「ウクライナ侵攻を考える 1 オデッサを伝える」和田達朗/ナビゲーター:武隈喜一
第61回
●「アンナ・ラーツィス『赤いナデシコ:《職業革命家》アーシャの回想録』
(水声社、2020年12月刊)について」桑野隆
●「コロナと選挙のアメリカ報告」武隈喜一
●「1914年の日本人軽業一座」大島幹雄
- 2020年12月20日(日) 午後1時~3時
- @ Zoom
2020年1月25日の第60回のあと、やむなく休止していた桑野塾ですが、Zoomで再開いたします!
●「アンナ・ラーツィス『赤いナデシコ:《職業革命家》アーシャの回想録』(水声社、2020年12月刊)について」桑野隆
恋と革命と演劇――ベンヤミンが恋した革命家〈アーシャ〉の自伝
ヴァルター・ベンヤミンの〈恋人〉として知られる、プロレタリア演劇に生涯を捧げた女優/演出家/コミュニスト/《職業革命家》、アンナ・ラーツィス。
波乱に満ちた活動の軌跡、ベンヤミン、ブレヒトらとの交流、夫ライヒへの思いを赤裸々に語るとともに、実践により培った自らの演劇理論と芸術観を明らかにする。(本書の帯より)
●桑野 隆(くわの たかし)
元 早稲田大学教育・総合科学学術院(教育学部複合文化学科)教授。
専門は、ロシア文化、表象文化論。
訳書『赤いナデシコ:《職業革命家》アーシャの回想録』(アンナ・ラーツィス著・水声社)は2020年12月下旬に刊行予定。
●「コロナと選挙のアメリカ報告」武隈喜一
エンターテインメントが停止したニューヨークの現在
新型コロナの感染者数が1300万人を超えたアメリカ。選挙ではバイデン氏が勝利したが、敗北を認めないトランプ大統領。観光客の消えたブロードウェイ――貧富の格差と陰謀論の中で迷走する大国の現状を、ニューヨークから生報告。
●武隈 喜一(たけくま きいち)
1957年東京生まれ。上智大学外国語学部ロシア語学科、東京大学文学部露文科卒業。
出版社、通信社等を経て、1994年から1999年テレビ朝日モスクワ支局長。2016年7月からニューヨーク勤務。
編訳『ロシア・アヴァンギャルドⅡ 演劇の十月』(国書刊行会、1988年)、『ロシア・アヴァンギャルド I 未来派の実験』(同、1989年、共に共編)、
著書『黒いロシア 白いロシア―アヴァンギャルドの記憶』(水声社、2015年)など。
ニューヨークの文化と政治と生活を「あてらな通信 ニューヨーク篇」、「メディアの現在」としてメール配信を続ける。
email: kiitake@hotmail.com
●「1914年の日本人軽業一座」大島幹雄
大正2年、イギリスで撮影された日本の軽業
2020年10月、国立映画アーカイブ「ピクチャレスク・ジャパン」で公開された1914年英国で撮影された日本人軽業一座の5分ほどの映像をもとに、この一座がどこの一座だったかを探る。
●大島 幹雄(おおしま みきお)
サーカスプロデューサー。
著書に『サーカスと革命』(水声社)、『明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか』(祥伝社)、
『サーカス学誕生』(せりか書房)など。
第62回
●「第二次世界大戦中のモスクワ放送――日本語放送の前史から
第二次世界大戦中のモニタリング調査まで」島田顕
- 2021年1月30日(土) 午後1時~3時
- @ Zoom
●「第二次世界大戦中のモスクワ放送――日本語放送の前史から第二次世界大戦中のモニタリング調査まで」島田顕
ソビエト連邦の国際放送「モスクワ放送」の黎明期
モスクワ放送の日本語放送の前身というべき中国戦線における延安新華広播電台の日本語放送開始から、第二次世界大戦中のモスクワでの日本語放送開始の経緯、そして日本語放送開始の2年後に極東で行われた受信状況、放送内容のモニタリング調査について概括する。
●島田 顕(しまだ あきら)
1965年生まれ。
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。
専門は歴史学、国際関係論。
著書・論文に『ソ連・コミンテルンとスペイン内戦』(れんが書房新社、2011年)、
『コミンテルンが描いたユートピア』(図書新聞2012年)、
「大祖国戦争勃発直後のコミンテルンのラジオ・プロパガンダ強化策」
(『Intelligence』16号、2016年)、
「第二次世界大戦中のモスクワ放送」(『アジア太平洋討究』27号、2016年)、
「ラジオ・ピレナイカ(独立スペイン放送)―コミンテルンが開始した秘密ラジオ放送」
(『Intelligence』第17号、2017年)、
「石坂幸子とモスクワ放送―元NHK女子アナウンサーが見た戦後直後の
ハバロフスク放送局日本語放送」(『早稲田大学アジア太平洋討究』第33号、2018年)
など。
第63回
●「『絶望大国アメリカ』のいま――分断は癒されるのか――」武隈喜一
- 2021年2月27日(土) 午後1時~3時
- @ Zoom
●「『絶望大国アメリカ』のいま――分断は癒されるのか――」武隈喜一
いったい、何が起こっているんだ?
ロシアとアメリカはネガとポジのようだ。
プーチンの専制政治の手法に学んだトランプが去った今、
アメリカの分断は残り、深く根を下ろしたままだ。
ワクチン接種の混乱の中で船出したバイデン政権と
トランプ後のアメリカ民主主義と、
世界的に広がる〈陰謀論〉の行方をさぐる。
●武隈 喜一(たけくま きいち)
1957年東京生まれ。
1994年から1999年テレビ朝日モスクワ支局長。
2016年7月からニューヨーク勤務。
著書『絶望大国アメリカ――トランプ、コロナ、メディア戦争』(水声社、2021年)、
『マンハッタン極私的案内』(同、2019年)、
『黒いロシア 白いロシア―アヴァンギャルドの記憶』(同、2015年)、
編訳『ロシア・アヴァンギャルドⅡ 演劇の十月』(国書刊行会、1988年)、
『ロシア・アヴァンギャルド I 未来派の実験』(同、1989年、共に共編)等。
第64回
●「映画化された上海――『上海ドキュメント』ブリオーフ、『上海』亀井文夫、『上海バンスキング』深作欣二」春名徹
- 2021年4月17日(土) 午後1時~3時
- @ Zoom
●「映画化された上海――『上海ドキュメント』ブリオーフ、『上海』亀井文夫、『上海バンスキング』深作欣二」春名徹
“魔都”上海の虚と実
亀井文夫は画家を志してモスクワへ向かう旅のはじめにウラジオストックで『上海ドキュメント』(1928年)という無声映画をみて上海の現実をはじめて知ったと『たたかう映画』で書いている。
では画家志望、文化学院卒業の亀井にとってそれまで実像だと思っていた虚の上海とはなにか?
上海共同租界の変質――イギリス人がインド植民地の延長として考えていたアングロ―インド式の上海は第一次世界大戦によって崩壊した。
あとに来たのは芥川龍之介の『上海遊記』であり、村松梢風の『魔都』であり、ミュラーの『冒険者の楽園』であったと思う。そもそも上海を舞台にした映画というものは『上海ドキュメント』以前に存在しなかった。
三十年代に『上海特急』(スタンバーグ監督 デートリッヒ、アンナ・メイ・ウォン)が現れるが、これは上海行きの列車が舞台で上海は終着点にすぎない。
もうひとつ興味深いのは『風雲のチャイナ』(原題『イェン将軍の苦いお茶』)で、アメリカ人女性宣教使と中国人将軍との上海を舞台にした禁じられた恋という題材は、ヘイズ・コード以前、つまりアメリカ映画の倫理規定ができる前だから可能だった。野蛮と動乱という中国イメージである。
これと対比すると、『上海ドキュメント』や『上海』がいかに優れた、現実を直視した作品か理解できる。前者の手法と、亀井の日本軍の行進を描いた有名なトラッキングショットを鑑賞し、そのうえで日本人の固定観念ともいえる夢の馬鹿馬鹿しさを『上海バンスキング』(深作欣二版)で見ようと思う。
●春名 徹(はるな あきら)
1935年東京生まれ 東京大学文学部東洋史学科卒業。
専門は東アジア海域史、都市史。『北京』(岩波新書)など。
桑野塾とのスタンスは大島一座。
第65回
●「『ボリショイ秘史』――肯定と否定――」赤尾 雄人
- 2021年6月5日(土) 午後1時~3時
- @ Zoom
●「『ボリショイ秘史』――肯定と否定――」赤尾 雄人
『ボリショイ秘史
帝政期から現代までのロシア・バレエ』
サイモン・モリソン著
赤尾雄人 監訳/加藤裕理・斎藤慶子 訳
白水社2021年4月刊
著者 Simon Morrison氏近影
エカテリーナ・サンコフスカヤ
ボリショイ劇場のロイヤルボックス
19世紀の水彩画
マドックスが1780年に建てた
ペトロフスキー劇場
1825年の
ボリショイ・ペトロフスキー劇場
1856年 修復後のボリショイ劇場
現在のボリショイ劇場
2012年4月
カーテンコール 2013年10月19日
ボリショイ・バレエの歴史に隠されたもの
本年4月に白水社から、サイモン・モリソン著『ボリショイ秘史』(原題Bolshoi Confidential)を、加藤裕理さん・斎藤慶子さんとの共訳で上梓しました。これは劇場の黎明期から現代に至るまでのボリショイ・バレエの歴史を、様々な人物・事件を通して物語る「読本」です。
著者モリソン氏は一般にはセルゲイ・プロコフィエフ研究の専門家として知られていますが、ここでは東西のバレエ(史)研究者、ジャーナリスト、劇場関係者の協力を得て、膨大な量の文献に当たり、従来ほとんど語られることのなかったボリショイ・バレエの内奥に深く切り込んでいます。その一方で、モリソン氏の解釈にはソ連・ロシアやボリショイ劇場に対する英米人特有のバイアスが掛かっているようにも思われます。
今回はまず一般的な(ニュートラルな)ボリショイの沿革について概観した上で、本書のユニークな部分、その功罪とボリショイ・バレエの現在について、時間が許す限りご紹介したいと思います。
●赤尾 雄人(あかお ゆうじん)
1960年東京生まれ。専門はロシア文化/バレエ研究。
1991年~95年、2001年~04年、2009年~15年、建設機械メーカーの駐在員としてモスクワ在住。
94年より『ダンス・マガジン』誌に舞踊評を、またボリショイ・バレエ、マリインスキー・バレエ等の来日公演プログラムに解説文を寄稿。
著書に『これがロシア・バレエだ!』(新書館、2010年)、共訳書にA・ヴォルィンスキー『歓喜の書』(同、1993年)、D・クレイン=J・マックレル『オックスフォード バレエ・ダンス事典』(平凡社、2010年)など。
第66回
●「拘禁された日本人軽業師たち」大島幹雄
- 2021年11月6日(土) 午後1時~3時
- @ Zoom
●「拘禁された日本人軽業師たち」大島幹雄
戦争の中のサーカス芸人
2020年11月国立映画アーカイブで、イギリスで発見された、1914年に撮影された日本人軽業師一座のフィルムが公開されました。なんという一座だったのか調べていく過程で、第一次世界大戦開戦の年となった1914年に、ヨーロッパで仕事をしていた日本人サーカス芸人たちが、歴史の底から浮かびあがってきました。
今回はインターネットで公開されている外務省史料やドイツで拘禁された日本人の回想録に出てくる日本人軽業師たちが、戦争の最中でどのような運命を辿ったかを追っていきます。
●大島 幹雄(おおしま みきお)
サーカス学会会長。
著書に『サーカスと革命』(水声社)、
『明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか』(祥伝社)、
『サーカス学誕生』(せりか書房)など。
第67回
●「人形劇人、大井数雄―その人形劇への思いを探る―」鈴木 正美・岩原 宏子
- 2022年1月23日(土) 午後1時~3時
- @ Zoom
●「人形劇人、大井数雄―その人形劇への思いを探る―」鈴木 正美・岩原 宏子
大井数雄(1929~1986)
中央人形劇場提供
大井数雄(右奥)と妻の弘子(左手前)
大井数雄文庫
左から大井数雄、オブラスツォフ、
大井弘子、中央人形劇場の俳優
オブラスツォフ中央人形劇場博物館提供
「演劇と教育」大井数雄追悼号
(1986年8月号)より
若き日の人形座の大井さん
『人形座再発見』(2004)より
大井数雄(1929~1986)は、人形劇の俳優、演出家、翻訳家、教育者として活躍した。大井の活動は、1960年代から1980年代始め、人形劇人に大きな影響を与えたが、今までそのまとまった紹介はなかった。本年の日本ロシア文学会のワークショップにおいて、報告者は大井数雄の活動を紹介し、大井数雄という人を知ってもらうことに一定の成果を上げることができた。
今回はこのワークショップでの報告をもとに、大井数雄の活動をソ連の人形劇などとの関わりを含めて紹介したい。大井数雄の蔵書は「大井数雄文庫」として将来公開される予定であり、この文庫ができるまでの経緯についても述べたい。
●鈴木 正美(すずき まさみ) 1959年、埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒。新潟大学人文学部教授。マンデリシュタームをはじめ現代ロシアの詩、ジャズ、美術を研究している。著書に『言葉の建築術――マンデリシュターム研究1』(群像社、2001年)、『ロシア・ジャズ――寒い国の熱い音楽』(東洋書店、2006年)、『どこにもない言葉を求めて――現代ロシア詩の窓』(高志書院、2007年)、訳書にウラジーミル・タラーソフ『トリオ』(法政大学出版局、2016年)など。
●岩原 宏子(いわはら ひろこ) 東京外国語大学ロシア語学科卒、同大学院ロシア語専攻修了。
日本対外文化協会に勤務し、ロシア(ソ連)と旧東欧諸国との学術・文化交流に携わった。拓殖大学、札幌大学で非常勤講師を務めた。元東海大学准教授。現在同大学非常勤講師。専門はロシアの人形劇およびロシア語教育。著書(共著)『コミュニケーションのためのロシア語』(2017、三修社)。
第68回
●「メイキング オブ「みわぞうsings三文オペラ」」こぐれみわぞう・大岡 淳・大熊 ワタル
- 2022年3月19日(土) 午後3時~5時
- @ Zoom
●「メイキング オブ「みわぞうsings三文オペラ」」こぐれみわぞう・大岡 淳・大熊 ワタル
伝説はいかにして新たな伝説となりしか
1928年ドイツで初演され一世を風靡したブレヒト・ヴァイルの「三文オペラ」。
本邦でも、早くも数年後には舞台やレコードで「三文熱」がたかまり、また近年もほぼ10年に一度新訳が出されるなど独自の受容熱が見られた。
ナチの登場時には排除すべき「退廃文化」の筆頭に数えられ、亡命を余儀なくされるなど、時代の荒波と格闘したブレヒトやヴァイルたちだった。
しかし21世紀も20年がたち、同時代の緊張感はいうまでもなく、何よりも近代=野蛮の極致としての第二次大戦の記憶すら遠くなるにつれ、三文オペラも無数の文化的参照項の一つとして、「売り」であったはずの毒気がスルー(解毒)され、ややもすると都合よく消費される傾向がないとはいえない。
このような風潮のなか、敢然と毒気をまき散らしながら登場したのが大岡淳の新訳である。
そして大岡訳に勇を鼓して、ブレヒトソングのキャリアに拍車をかけたのが歌手みわぞうだ。
たった1人で男女5役を担って全曲を歌い、大岡自らも演じかつ歌いつつ物語を進め、大熊ワタルら4人の楽団が最小編成ながら大きな反響を呼んだ、前代未聞の三文舞台がいかにして立ち上がったのか。
初演から約100年後、ときあたかもパンデミックの日本で、最小の自主興行ながら、大いなる喧騒の舞台をスタートさせた製作秘話と共に、三文オペラの底知れぬ魅力に出演者自らがご案内します。
●こぐれみわぞう 歌手、チンドン太鼓奏者、箏曲家。幼少より箏曲を始め11歳で師範名取。明治大学文学部演劇学専修卒業。
1997年ソウル・フラワー・モノノケ・サミットでチンドン太鼓開始。シカラムータ、ジンタらムータ等で華麗かつハイブリッドな新世代チンドンの旗手として国内外で活躍。特に海外のクレズマーフェスなどで、チンドン・クレズマーは大反響を呼び、「Jewish Star」とも称された。
近年はイディッシュ歌謡、ブレヒトソングなどの稀有な歌い手としても活動中。
www.cicala-mvta.com
●大岡 淳(おおおか じゅん) 演出家・劇作家・批評家。1970年兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部哲学科哲学専修卒業。現在、SPAC-静岡県舞台芸術センター文芸部スタッフ、武久出版編集部顧問、静岡大学非常勤講師、静岡文化芸術大学非常勤講師、河合塾COSMO東京校非常勤講師。「日本軽佻派」の継承者を自認する社会派エンターテイナーとして、演劇・人形劇・オペラ・ミュージカル・コンサート・ダンス等を幅広く手がける。演出代表作にジェルジ・リゲティ作曲『アヴァンチュール/ヌーヴェル・アヴァンチュール』(2016)、戯曲代表作に『1940 ―リヒャルト・シュトラウスの家―』(2017)、編著に『21世紀のマダム・エドワルダ』(光文社/2015)、訳著にベルトルト・ブレヒト『三文オペラ』(共和国/2018)がある。
●大熊 ワタル(おおくま わたる) クラリネット奏者、著述家、マルチプレイヤー。80年代、東京の地下音楽シーンで活動開始、前衛ロックバンドで電気楽器等を担当。その後20代半ばでチンドン屋に入門し街頭でクラリネット修行。90年代、クラリネット奏者として自己のグループ・シカラムータを始動。その祝祭的で超ジャンル的な音楽性は国内外で話題となる。
現代的表現と並行して、日本独自の街頭音楽としてのチンドンを軸に、クレズマー(東欧ユダヤ系民衆音楽)など世界の広場的音楽に取り組み続け、チンドンユニット・ジンタらムータなどで海外公演多数。ヴァイル、ブレヒトソングなどもライフワークとして追究。コンサートのみならず演劇、映画、サーカスや著作などボーダーレスに活動。
www.cicala-mvta.com
第69回
●[桑野塾読書会]大澤恵利・桑野隆・沼辺信一・春名徹
- 2022年5月21日(土) 午後3時~5時
- @ Zoom
●[桑野塾読書会]大澤恵利・桑野隆・沼辺信一・春名徹
知らない森に迷い込む悦び 読書は著者との1対1の対話――だけじゃなかった!
今回の桑野塾は読書会。春名徹氏、大澤恵利氏、沼辺信一氏、そして桑野隆氏から最近読んだ本、もしくは自著について語っていただきます。
昨年の忘年会で、この1年に読んだ本について参加者に話してもらうということをやってみたのですが、なかなか刺激的な話がたくさん聞けました。そこで今回、桑野塾初めての読書会企画とあいなりました。
それぞれの報告者がとりあげる本を事前に読んで、当日参加されると、また世界が広がるのではないかと思います。
報告者(50 音順)と紹介する本
●大澤恵利氏
平井美帆著「ソ連兵へ差し出された娘たち」(2022 集英社)
東出朋・大澤恵利著「ロシア語話者に教える」(2022 Web Japanese)
●桑野隆氏
バーリン著・桑野隆編「ロシア・インテリゲンツィヤの誕生 他五篇」(2022 岩波文庫)5月13日刊!
●沼辺信一氏
大田美佐子著「クルト・ヴァイルの世界」(2022 岩波書店)
●春名徹氏
春名徹著「文明開化に抵抗した男 佐田介石 1818-1882」(2021 藤原書店)
第70回
●「ウクライナ侵攻を考える 1 オデッサを伝える」和田達朗/ナビゲーター:武隈喜一
- 2022年7月16日(土) 午後3時~5時
- @ Zoom
●「ウクライナ侵攻を考える 1 オデッサを伝える」
和田達朗(フリー通訳) ナビゲーター:武隈喜一(テレビ朝日コメンテイター室)
菜の花畑と青空
オデッサ郊外の典型的な風景
«Южный Дозор» より
オデッサで有名な“ポチョムキンの階段”
(2021年6月撮影)
猫とハリネズミ
ダーチャ生活の一コマ(2021年6月撮影)
戦争が始まり地雷原と化したビーチ
«Одесская Жизнь»より
2月24日、ロシアがウクライナに侵攻
今回の桑野塾は、オデッサ(オデーサ)で翻訳通訳の仕事をしていた和田達朗氏を迎えて話を聞く。
和田氏は、ロシア人でウクライナ国籍の妻と、3才の子供との3人家族。ロシアの侵攻をうけて3月に日本へ帰国した。現在もオデッサのいまを伝える情報を発信しつつ、同じくウクライナから避難してきた家族の支援などを行っている。
侵攻前のオデッサでの生活、戦争下のオデッサ、避難、そして今のウクライナからの避難民の生活――報道の現場で日々この状況を見続けている武隈喜一氏をナビゲーターとして、いろいろな立場から今回の問題をどうみるのかを考える場としたい。
●和田 達朗(わだ たつろう)
1984年生まれ。早大露文卒業後、ロシア国営ラジオ「ロシアの声」(現「スプートニク」)モスクワ本社勤務。現在はフリーの翻訳・通訳者。
2019年に妻の故郷オデッサに移住、2022年3月に戦禍を逃れ帰国。
「何丘ブログ」(https://nanioka.com/news-odessa-wartime/)にてオデッサ情勢を発信中。
出国の顛末について近く書籍を刊行予定。
●武隈 喜一(たけくま きいち)
1957年東京生まれ。
出版社、通信社勤務後、1994年から1999年までテレビ朝日モスクワ支局長。
2016年から2021年までテレビ朝日アメリカ社長としてニューヨーク勤務。
現在、ウェブサイト「テレ朝news」にウクライナ関連の記事を掲載中。
著書『黒いロシア 白いロシアーーアヴァンギャルドの記憶』、『マンハッタン極私的案内』、『絶望大国アメリカーーコロナ、トランプ、メディア戦争』(以上、水声社)
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