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2022.08.23 / 更新2024.03.24

第71回~第80回 桑野塾の開催概要と内容

第71回~ 桑野塾の開催概要と内容です。

  • 第71回 ウクライナ侵攻を考える2
        ●「『チェマダン特別号——ウクライナ侵攻とロシアの現在』について」伊藤 愉
        ●「開戦からの半年——支持率、出国、弾圧」奈倉 有里
        ●「ロシア文化というイデオロギー」八木 君人
  • 第72回 ウクライナ侵攻を考える3
        ●「現代ウクライナ映画の巨匠 セルゲイ・ロズニツァ監督」守屋 愛・有田 浩介
  • 第73回 ウクライナ侵攻を考える4
        ●「ロズニツァの『新生ロシア1991』、私の『ロシア1991』」斎藤 秀明
  • 第74回 ●「演じ、語る「をくり」 ―小栗判官の世界」吉岡紗矢・説経節政大夫
  • 第75回 ●「「ジャパニーズ・アクロバット」たち ―20世紀初めのアメリカ大衆芸能を生きて―」青木 深
  • 第76回 ●「ウクライナ戦争――日本のメディア報道の落とし穴と情報チェックの実践法」武隈 喜一
  • 第77回 大竹博吉・せい夫妻とナウカ社――すべてはここから始まった
        ●「『大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳目録』を刊行して」宮本 立江
        ●「ロシア絵本をわが国にもたらした大竹夫妻 その情熱と使命感」沼辺 信一
  • 第78回 ●「『嫌われた国』を日本に伝えた人びと」青島 顕
  • 第79回 ●「イスラエル報告――〈ロシア系ユダヤ人〉の暮らしと苦悩」武隈 喜一

第71回
ウクライナ侵攻を考える2
●「『チェマダン特別号——ウクライナ侵攻とロシアの現在』について」伊藤 愉
●「開戦からの半年——支持率、出国、弾圧」奈倉 有里
●「ロシア文化というイデオロギー」八木 君人

  • 2022年9月10日(土) 午後3時~5時
  • @ Zoom

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●「『チェマダン特別号——ウクライナ侵攻とロシアの現在』について」伊藤 愉

『チェマダン特別号――ウクライナ侵攻とロシアの現在』表紙

『チェマダン特別号――ウクライナ
侵攻とロシアの現在』表紙

 『チェマダン特別号——ウクライナ侵攻とロシアの現在』は、2022年2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻を受け、およそ7年ぶりに刊行しました*。巻頭言にあるように、侵攻開始以後、日本国内においても、様々な情報が膨大に生み出され、そして消費されてきています。人文学の役割が、大きなイメージを前に、いちど立ち止まり、思考することだとしたら、本特別号に掲載された文章は、そのための素材として位置付けられます。編集にあたっては、一面的な「イデオロギー」を標榜するのではなく、あくまでもロシアの(複数の)文化を捉え直すこと、その複雑性を文字としてとどめ、一つの記録として残していくことを目的としました。本号刊行に至るまでの経緯と意図を共有し、誌面構成の概略を紹介します。
*https://chemodan.jp/chemodan_sp_2022.pdf

●伊藤 愉(いとう まさる)
明治大学文学部教員。専門はロシア演劇、ロシア・アヴァンギャルド/ソヴィエト・アヴァンギャルド。

●「開戦からの半年——支持率、出国、弾圧」奈倉 有里

 ウクライナ侵攻の開始から半年が経過しました。開戦当初の反戦運動はわずか数週間で抑え込まれ、その後も弾圧の続くロシア国内の状況は次第に見えづらくなっています。今回は『チェマダン』特別号で扱った「統計(支持率が高いという統計は本当なのか)」「国外移住の波(ソ連時代の亡命の波に匹敵するほどの人口流出とドイツなどにおけるロシア人社会の形成)」「国内の弾圧(言論弾圧、逮捕、解雇など)」という三つの問題点を中心に据え、五月以降の動きや文化人──ドイツに逃れたリュドミラ・ウリツカヤ(作家)、「モスクワのこだま」で政治コメンテーターをしていたエカテリーナ・シュリマン(政治学者)、国内での活動を続けるユーリー・シェフチューク(ロックグループDDTリーダー)、ウクライナからブルガリアに逃れたロシア語作家オリガ・グレベンニク(絵本作家)らの声を追いながら、さまざまな状況におかれたロシアとウクライナの人々の現状と課題について考えます。

●奈倉 有里(なぐら ゆり)
専門はロシア詩、現代ロシア文学研究。早稲田大学ほか非常勤講師。ミハイル・シーシキン、リュドミラ・ウリツカヤ、サーシャ・フィリペンコなどを翻訳しています。

●「ロシア文化というイデオロギー」八木 君人

 『チェマダン』特別号では「『文化』のナショナリティに関する覚書」という記事を寄せました。それはロシア軍のウクライナ侵攻を機に欧米を中心に起こった「ロシア文化」の「キャンセル」から、「文化」を国家や特定のナショナリティに属させることについて考えたものでした。今回は、そのなかでも言及したような、国家イデオロギーとして機能してしまう「ロシア文化」あるいは「ロシア世界」について、記事ではあまり触れられなかった文化政策の観点を含めてもう少し踏み込んで報告し、「ロシア文化」にいかに接していくべきか等、みなさんと話し合えればと思います。

●八木 君人(やぎ なおと)
早稲田大学文学学術院教員。専門はロシア・フォルマリズム、帝政ロシア・アヴァンギャルド/ソヴィエト・アヴァンギャルド。

 

第72回
ウクライナ侵攻を考える3
●「現代ウクライナ映画の巨匠 セルゲイ・ロズニツァ監督」守屋 愛・有田 浩介

  • 2022年10月29日(土) 午後3時~5時
  • @ Zoom

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●「現代ウクライナ映画の巨匠 セルゲイ・ロズニツァ監督」守屋 愛・有田 浩介

セルゲイ・ロズニツァ(1964~)

セルゲイ・ロズニツァ(1964~)

『バビ・ヤール』(2021/日本公開2022)

『バビ・ヤール』(2021/日本公開2022)

『バビ・ヤール』チラシ

『バビ・ヤール』チラシ

『ドンバス』(2018/日本公開2022)

『ドンバス』(2018/日本公開2022)

『ドンバス』チラシ

『ドンバス』チラシ

 ウクライナの映画監督セルゲイ・ロズニツァの作品が世界的に関心を集めています。スターリンの国葬を扱った『国葬』、スターリン時代の見世物裁判の記録『粛清裁判』、第二次世界大戦の遺構をめぐる現代ツアー客を映した『アウステルリッツ』が、《群衆三部作》として2020年秋に日本で公開され、大きな反響を呼びました。

  ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、今年5月に日本で緊急公開された『ドンバス』も、当初一映画館で二週間の公開予定が、すでに全国50もの映画館で拡大公開されています。今後も、『バビ・ヤール』(9月24日公開予定)、『ミスター・ランズベルギス』(12月3日公開予定)と、新作の日本公開が続きます。ロズニツァ監督自身、今年もカンヌ国際映画祭とヴェネツィア国際映画祭でそれぞれ新作を発表。精力的な創作活動は留まるところを知りません。

  今回の桑野塾では、一躍注目の的となったロズニツァ監督と彼の作品について、作品の字幕翻訳者である守屋愛が報告します。また、日本での公開について、配給会社サニーフィルム代表の有田浩介氏が桑野塾のみなさんとの対談に応じます。

●守屋 愛(もりや あい)
映画字幕翻訳者として『ドヴラートフ レニングラードの作家たち』、『国葬』、『粛清裁判』、『インフル病みのペトロフ家』、『ドンバス』などを手がける。
東京大学大学院大学院人文社会系研究科 博士課程出身。現在、慶應義塾大学、お茶の水女子大学、早稲田大学でロシア語非常勤講師。
翻訳書に ゲニス&ワイリ『亡命ロシア料理』(共訳)、ドヴラートフ『かばん』、著書に『ロシア語表現 とことんトレーニング』がある。

●有田 浩介(ありた こうすけ)
サニーフィルム代表。
1979年ヒューストン、テキサス州生まれ。青山学院大学法学部私法学科卒業。
1995年に日本に帰国後、大学では主に国際取引法における知的所有権を学ぶ。大学卒業後、レコード会社の宣伝部に勤め、その後、フリーランスの映画パブリシストとして活動する。2018年に株式会社サニーフィルムを設立し、セルゲイ・ロズニツァ監督作品や『ゲッベルスと私』などの「ホロコースト証言シリーズ」(オーストリアのブラックボックス社)など世界のドキュメンタリー作品の配給を手がける。

 

第73回
ウクライナ侵攻を考える4
●「ロズニツァの『新生ロシア1991』、私の『ロシア1991』」斎藤 秀明

  • 2023年2月11日(土・祝) 午後3時~5時
  • @ Zoom

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●「ロズニツァの『新生ロシア1991』、私の『ロシア1991』」斎藤 秀明

1991年8月 赤の広場に集結した戦車(ANN ニュース1991年8月より)

1991年8月 赤の広場に集結した戦車
(ANN ニュース1991年8月より)

戦車兵へのインタビュー(ANN ニュース1991年8月より)

戦車兵へのインタビュー
(ANN ニュース1991年8月より)

戦車兵へのインタビュー(ANN ニュース1991年8月より)

戦車兵へのインタビュー
(ANN ニュース1991年8月より)

レポートする斎藤秀明氏ANN ニュース1991年8月より)

レポートする斎藤秀明氏
(ANN ニュース1991年8月より)

映画『新生ロシア1991』(2015/日本公開2023)

映画『新生ロシア1991』
(2015/日本公開2023)

セルゲイ・ロズニツァ監督(1964~)

セルゲイ・ロズニツァ監督(1964~)

 1991年8月19日早朝、短期出張取材のため投宿していたモスクワのホテルで枕元の電話が鳴った。寝ぼけ眼で受話器を取ると本社デスクの声で眠気が吹っ飛んだ。
――クレムリンでクーデターだ。モスクワ支局でカメラマンと合流して取材せよ。
支局のカメラクルーとともに赤の広場へ向かうと歴史的建造物の周りに居並ぶ戦車の威圧的光景は白昼夢さながらであった……。

 あれから32年。日本ではロズニツァ監督の映画『新生ロシア1991』が公開されている。現在進行形のウクライナ侵攻も9年前のクリミア併合も、あるいは絶え間なく続くカフカス地域の紛争もソ連崩壊を抜きにしては語れない。そしてその歴史的座標軸の中心には8月のクーデターがある。
ロズニツァがアーカイブ映像を駆使して甦らせようとしたものは何か。そして偶然にもモスクワに居合わせたことから歴史的事件の取材を体験した記者は当時の映像を振り返りながら何を語るか。「1991」から照射するロシアの未来は?

映画『新生ロシア1991』(2015/日本公開2023)
公式サイト:https://www.sunny-film.com/theevent

 

●斎藤 秀明(さいとう ひであき)
1955年名古屋生まれ。1979年東京外語大ロシア語科卒。同年名古屋テレビ放送入社、報道記者などを経て2017年退職。現在はボランティアの日本語教師など。

第74回
●「演じ、語る「をくり」 ―小栗判官の世界」吉岡紗矢・説経節政大夫

  • 2023年4月15日(土) 午後3時~5時
  • @ Zoom

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●「演じ、語る「をくり」 ―小栗判官の世界」吉岡紗矢・説経節政大夫

三代歌川豊国「大日本六十余州之内 常陸」小栗判官代助重

三代歌川豊国
「大日本六十余州之内 常陸」
小栗判官代助重

吉岡紗矢

吉岡紗矢

説経節政大夫

説経節政大夫

中世の濃密な恋・暴虐・救い

 遠く中世から連綿と伝わる小栗と照手の出会いと別れ、死と再生の物語「小栗判官」は、芸能の世界で、民衆の想像力をおりこみ、かたちを変えながら、現代まで力強く生き続けてきました。
今回の桑野塾では、横浜ボートシアターの吉岡紗矢と説経節政太夫のふたりが、自分たちがつくりあげてきた小栗の世界について語ります。

吉岡紗矢

 横浜ボートシアターは、遠藤琢郎脚本・演出の「小栗判官・照手姫」で、説経「をくり」の原文を活かしながら、仮面劇として作り上げ、アジアを詰め込み、 “死と再生”という普遍的なテーマを極彩色の舞台上で浮かび上がらせてきました。1983年紀伊國屋演劇賞受賞、エジンバラ、シビウ、香港、N.Y.など世界各国で上演された劇団を代表する作品に、1997年のシンガポール公演以降出演、遠藤琢郎亡きあと、この作品をこの秋あらたに蘇らす演出家吉岡紗矢は、横浜ボートシアターの遠藤琢郎の演出について、さらにはこの秋新たに演出する小栗の芝居について語ります。

●吉岡 紗矢(よしおか さや)
桐朋学園大学芸術科演劇専攻卒。横浜ボートシアター所属。俳優として1997年『小栗判官・照手姫』シンガポール公演以降、2019年まで劇団のほぼ全ての作品に出演。2010年より企画・運営にも携わり、2020年より劇団代表。2021年より脚本・演出に携わる。西武池袋コミュニティ・カレッジの語り講座「発声から言葉の表現まで」講師。女子美術大学アート・デザイン表現学科メディア表現領域特別講師。
〈一人で操作し語る「創作影絵人形劇」出演作品〉
遠藤啄郎作『極楽金魚』
宮澤賢治作『月夜のけだもの』『洞熊学校を卒業した三人』
〈主な一人語り作品〉
樋口一葉作『にごりえ』『十三夜』
〈脚本・演出〉
『歌で辿る戦後〜遠藤啄郎「さらばアメリカ!」より〜」脚本(2018年)
『白い影絵〜石原吉郎「望郷と海」および詩篇より〜』脚本・演出・舞台装置(2021年)
『語りと人形の劇「犬」』脚本・演出・人形(2022年)
『新版 小栗判官・照手姫』演出(2023年公演予定)

説経節政大夫

  二代目若松若太夫に弟子入り、若松派の説経節を語ったあと、独立、横浜ボートシアターに客演するなど、多彩な活動を続けている説経節政太夫は、遠藤琢郎演出でつくった「をぐり」を去年から吉原にある古い料亭で、連続公演を続けています。今回は、若松派の説経節で語られた小栗判官について、なぜ遠藤琢郎演出で「をぐり」をつくることになったのか、その共同作業についてなど、語りの中での小栗判官について、実演もまじえながら語ってもらいます。説経節政太夫の話の聞き手は、二代目若松若太夫の公演をプロデュースしたこともある、桑野塾世話人大島幹雄がつとめます。

●説経節政大夫(せっきょうぶし まさだゆう)
二代目若松若太夫に師事、若松政太夫の名前を許される。
以後、師匠若松若太夫と共に舞台を勤める。
テイチクレコードより若松若太夫と共に「小栗判官一代記 矢取りの段」を吹き込み、三味線の手付補曲を受け持つ。
江戸写し絵劇団みんわ座と共演。
説経節美音の会を設立し「五説経を聴く」を開催。
中野planBで説経節の古典伝承と復元を目的に月一回十二回連続公演を行う。
演出家白石征氏よる遊行歌舞伎を藤沢の遊行寺本堂にて連続公演を毎年行う。
若松政太夫から説経節政大夫に改名する。
演出家遠藤啄郎氏の構成演出により「語り 現代の説経節」を目指し公演を開始する:
宮澤賢治「二十六夜」「土神と狐」、岩佐又兵衛をくり絵巻の詞書による「をくり」全段、説経節愛護の若より「恋に狂いて」。
令和四年 浅草吉原の料亭「金村」にて六ヶ月連続の「をくり」の全段通し公演を行う。

第75回
●「「ジャパニーズ・アクロバット」たち ―20世紀初めのアメリカ大衆芸能を生きて―」青木 深

  • 2023年7月1日(土) 午後3時~5時
  • 早稲田大学戸山キャンパス36号館 581教室

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コロナ感染拡大以来、オンラインで続けてきた桑野塾ですが、今回からまた早稲田大学戸山キャンパスの教室を使わせていただき、対面式で開催いたします。
対面式再開の第一回目は、サーカス学会との共催で、昨年「進駐軍を笑わせろ!――米軍慰問の演芸史」(平凡社・2022年10月)を上梓した、青木深氏による報告です。

●「「ジャパニーズ・アクロバット」たち ―20世紀初めのアメリカ大衆芸能を生きて―」青木 深

北村一座のチラシ(1900-10年代と思われる)ロバート・L・パーキンソン図書館/研究センター蔵、2019年8月21日撮影(青木深)

北村一座のチラシ
(1900-10年代と思われる)
ロバート・L・パーキンソン図書館/
研究センター蔵、
2019年8月21日撮影(青木深)

 19世紀末から20世紀初めにかけて、アメリカ合衆国ではサーカスやボードビルが大衆娯楽としての「黄金時代」を謳歌し、地域・階級・世代・ジェンダー・人種・エスニシティの差異を横断して広く消費された。そこに定着していた演芸ジャンルの一つに「ジャパニーズ・アクロバット」があり、日露戦争をはさむ時期に最盛期を迎えた。安藤、上野、北村、杉本、難波、吹野、松本、山田ほか多くの一座が全米各地を回り、「日本人」のグループから離れてソロやデュオで演じた人びともいた。彼らや彼女たちはどのような演技をし、どのように評価されたのか。サーカスやボードビルの「黄金時代」が去り、映画をはじめとする複製技術が社会に浸透し、日米が「敵国」となるなかでどのように生きたのか。2017年から断続的に行っている「ジャパニーズ・アクロバット」研究の中間報告として、まだ「つぎはぎ」だらけだが、100~120年ほど前の忘れられた文化交流史に迫ってみたい。

●青木 深(あおき しん)
1975年生まれ。都留文科大学比較文化学科教授。歴史人類学、ポピュラー音楽研究、日米交流史。
著書に『進駐軍を笑わせろ!――米軍慰問の演芸史』(平凡社、2022年10月刊行)、『めぐりあうものたちの群像──戦後日本の米軍基地と音楽1945-1958』(大月書店、サントリー学芸賞受賞〈社会・風俗部門〉)、『シリーズ戦争と社会 3 総力戦・帝国崩壊・占領』(共著、岩波書店)など。

青木深『進駐軍を笑わせろ!――米軍慰問の演芸史』(平凡社/ 2022 年10月刊)

青木深『進駐軍を笑わせろ!――米軍慰問の演芸史』
(平凡社/ 2022 年10月刊)

 

第76回
●「ウクライナ戦争――日本のメディア報道の落とし穴と情報チェックの実践法」武隈 喜一

  • 2023年7月29日(土) 午後3時~5時
  • 早稲田大学戸山キャンパス36号館 581教室

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●「ウクライナ戦争――日本のメディア報道の落とし穴と情報チェックの実践法」武隈 喜一

ハリコフにあるロシアの砲弾の「墓地」 ⓒinstagram.com/libkos | 

ハリコフにあるロシアの砲弾の「墓地」
instagram.com/libkos

"Кладбище" снарядов
РФ в Харькове / фото
instagram.com/libkos

 長期化するウクライナ戦争は激しい情報戦争でもある。最新兵器などの情報があふれる一方、戦争への関心はゲーム感覚に陥ってしまってはいないだろうか。日本のメディア報道の落とし穴と情報チェックの方法を実践的に語る。

 

●武隈 喜一(たけくま きいち)
1957 年東京生まれ。出版社、通信社勤務後、1994 年から1999 年までテレビ朝日モスクワ支局長。2016 年から2021 年までテレビ朝日アメリカ社長としてニューヨーク勤務。
現在、ウェブサイト「テレ朝news」にウクライナ関連の記事を掲載中。
著書『黒いロシア 白いロシア――アヴァンギャルドの記憶』、『マンハッタン極私的案内』、『絶望大国アメリカ――コロナ、トランプ、メディア戦争』(以上、水声社)

 

第77回
大竹博吉・せい夫妻とナウカ社――すべてはここから始まった
●「『大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳目録』を刊行して」宮本 立江
●「ロシア絵本をわが国にもたらした大竹夫妻 その情熱と使命感」沼辺 信一

  • 2023年11月11日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田大学戸山キャンパス33号館 231教室

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●「『大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳目録』を刊行して」宮本 立江

●「ロシア絵本をわが国にもたらした大竹夫妻 その情熱と使命感」沼辺 信一

大竹博吉・せい夫妻(1925年、大連で)

大竹博吉・せい夫妻
(1925年、大連で)

松山文雄が1930年代にナウカ社で買い求めたロシア絵本

松山文雄が1930年代にナウカ社で
買い求めたロシア絵本

『大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳目録』書影

『大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳
目録』書影

 大竹博吉(1890~1958)と大竹せい(1891~1971)は1932年に神田神保町でナウカ社の営業を開始、日本初のソ連からの輸入による書籍の販売と出版活動に携わったほか、ともにジャーナリスト、文筆家・翻訳家として、多方面にわたる活動を通じ、日露文化交流に大きな足跡を残しています。

 今回の桑野塾では、多年の調査を経てこのほど刊行された資料集『大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳目録』の編者の一人である宮本氏が、大竹夫妻の仕事の多彩な広がりについて概説します。

 後半では巡回展「幻のロシア絵本 1920-30年代」(2004~05)を構成・監修した沼辺氏が、戦前の日本にロシア絵本が浸透するうえで大竹夫妻が果たした決定的な役割について、原弘、柳瀬正夢、松山文雄らが秘蔵した絵本の調査を踏まえ、豊富な実例を挙げながら詳しく紹介します。

 

●宮本 立江(みやもと たちえ):
桑野塾世話人、ナウカ株式会社に勤務、同社の季刊誌「窓」ほかの編集に携わる。大竹博吉、大竹せい著作・翻訳目録 附・関連文献一覧」を村野克明氏と編集、今年7月に発行した。

●沼辺 信一(ぬまべ しんいち):
編集者・研究家。1952年生。ロシア絵本の世界的な伝播、日本人とバレエ・リュス、プロコフィエフの日本滞在など、越境する20世紀芸術史を探索。桑野塾登場はこれが七回目。
ブログ 「私たちは20世紀に生まれた」http://numabe.exblog.jp/)

 

大竹博吉、大竹せい 著作・翻訳目録
附・関連文献一覧

2023年7月27日刊
編集:宮本立江・村野克明
発行:大竹博吉、大竹せい著作目録刊行委員会

 

第78回
●「『嫌われた国』を日本に伝えた人びと」青島 顕

  • 2024年1月27日(土) 午後3時~4時30分
  • 早稲田大学戸山キャンパス31号館 201教室

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●「『嫌われた国』を日本に伝えた人びと」青島 顕

モスクワ放送60周年記念ステッカー

モスクワ放送60周年記念ステッカー

モスクワ日本語放送時間表

モスクワ日本語放送時間表

青島顕『МОСТ(モスト)「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』(集英社 2023年)

青島顕
『МОСТ(モスト)「ソ連」を伝えた
モスクワ放送の日本人』
(集英社 2023年)

 東西冷戦の時代、ソ連から短波・中波のラジオで届けられた日本語の「モスクワ放送」には、少なくない日本人が関わっていた。東西冷戦の時代、「鉄のカーテン」の向こう側のソ連は日本では嫌われた存在だった。その国営ラジオ局で、どのような事情、心持ちで働いたのだろうか。素朴な疑問を解こうと取材してみた。すると取材対象者は身の回りから次々と見つかった。実にいろいろな人がいたが、共通して持っていたのは、ソ連という難しい国と日本との橋渡しになりたいという志だった。

 ソ連を継承したロシアが再び「嫌われた国」となったいま、2国の関係をこれからどうしたらよいのか。そんなことを交えて考えたい。

 

●青島 顕(あおしま けん):
毎日新聞記者。社会部でメディアのあり方を取材している。ロシアによるウクライナ侵攻のあった2022年、放送開始80年を迎えた日本向け「モスクワ放送」に携わった人たちを取材して、23年1月に毎日新聞の朝刊大型ルポ「迫る」欄に執筆。同年11月に『МОСТ(モスト)「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』(集英社)を出版した。

 

青島顕『МОСТ(モスト)
「ソ連」を伝えたモスクワ放送の日本人』
発行:集英社 2023年11月24日発売
定価:1,980円(税込)
四六判ハードカバー/264ページ
ISBN 978-4-08-781747-8

 

第79回
●「イスラエル報告――〈ロシア系ユダヤ人〉の暮らしと苦悩」武隈 喜一

  • 2024年4月20日(土) 午後3時
  • 早稲田大学戸山キャンパス36号館 581教室

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●「イスラエル報告――〈ロシア系ユダヤ人〉の暮らしと苦悩」武隈 喜一

嘆きの壁と講演者

嘆きの壁と講演者

二つの戦争の中のロシア系ユダヤ人

 イスラエルのロシア語話者は総人口の2割を超えていて、街角でロシア語を耳にしない日はありません。ウクライナ戦争への動員を逃れてロシアから移民してきた家族が、今度はガザの戦争に動員されるなど、「ロシア系ユダヤ人」たちの実態と複雑な立場を、今年3月に現地を訪れた見聞をもとに報告します。

 

●武隈 喜一(たけくま きいち):
1957年東京生まれ。出版社、通信社勤務後、1994年から1999年までテレビ朝日モスクワ支局長。2016年から2021年までテレビ朝日アメリカ社長としてニューヨーク勤務。現在、ウェブサイト「テレ朝news」にウクライナ関連の記事を掲載中。
著書『黒いロシア 白いロシア――アヴァンギャルドの記憶』、『マンハッタン極私的案内』、『絶望大国アメリカ――コロナ、トランプ、メディア戦争』(以上、水声社)

 


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