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2009.10.05 / 更新2012.02.12

これまでの桑野塾 第1回~第10回

雑誌「アートタイムズ」8号 桑野塾という《広場》

桑野塾 第1回~第9回の内容は
雑誌『アートタイムズ』8号
ご紹介しています。
特に第9回については抄録を
掲載しています。

第1回~10回 桑野塾の開催概要と内容です。

  • 第1回 ●「ディミートリィ・ティオームキンと群集劇、西部劇」武隈喜一
  • 第2回 ●「ニコライ・フォレッゲル(1892-1939)の創作と生涯」永重法子
        ●「メイエルホリド劇場の名優エラスト・ガーリンの世界」武田清
  • 第3回 ●「タカシマの行方――海を渡ったサーカス芸人のその後」大島幹雄
  • 第4回 ●「シャガールの祝祭と演劇」 桑野隆
       ●「シャガールとロシア・アヴァンギャルド映画との距離」 井上徹
  • 第5回 『ロシアのジャズとロック』
        ●「詩人パルナフとアヴァンギャルド―ロシア革命前後のジャズ史」武隈喜一
        ●「レオニード・ヒョードロフとウラジミール・ヴォルコフ」嶋田丈裕
  • 第6回 ●「タルコフスキイ」古川忠臣
       ●「シマダの行方―続・海を渡ったサーカス芸人のその後」大島幹雄
  • 第7回 ●「ムヘンシャン:モスクワ放送最初の日本人アナウンサー」島田顕
       ●「長谷川濬(しゅん)と満洲」大島幹雄
  • 第8回 ●「ダビッド・ブルリュークと日本」鈴木明
  • 第9回 『佐野碩スペシャル』
        ●「亡命者佐野碩――震災後の東京からベルリン、モスクワへ」加藤哲郎
        ●「国際革命演劇運動家としての佐野碩、1931-1945」田中道子
  • 第10回 ●「演劇大国ロシアのアイデンティティーを求めて」上田洋子
       ●「サンクトペテルブルグとモスクワのアヴァンギャルド建築とアートスペースを巡って」嶋田丈裕

第1回
●「ディミートリィ・ティオームキンと群集劇、西部劇」武隈喜一

  • 2009年10月10日(土) 午後3時~5時30分
  • 早稲田キャンパス14号館804号室

第一回目は発起人のひとりでもあるジャーナリスト武隈喜一氏による報告です。
武隈氏は、現在はテレビ朝日報道局に勤務しておりますが、ペレストロイカ時代にモスクワ支局長として、ソ連の崩壊と新しいロシアの胎動を熱く伝えてきたことは、まだ記憶に新しいところです。

今回はそうしたジャーナリストの立場からではなく、大学時代、さらにはテレビ朝日入社以前編集者としてとりくんだ演劇の世界に切り込みます。

さらにいまロシアで話題になっている歴史検証番組「Istoricheskie Khroniki 」から、「1923年メイエルホリド」の部分 のリポート映像も皆さんに見ていただきます。ビオメハニカや青シャツの映像も、短いですが入っています。

報告から:
 日本でも人気を博した米CBS制作のテレビドラマ「ローハイド(Rawhide)」主題歌を作ったのは、ウクライナ出身のユダヤ系作曲家だった!
 ディミートリィ・ティオームキン(1894-1979ウクライナ生まれ)。ペテルブルグのキャバレー〈野良犬〉(1911-1915)でピアノ伴奏をするうち、劇伴奏とアメリカの民衆音楽に夢中になる。革命後、群集劇を組織。その後ベルリン・パリを経てアメリカに渡り、MGMと専属契約を結んでハリウッド映画の作曲家として名声を得る。

「ステップはステップだ。カウボーイとコサックは非常に近い。彼らはともに自然を愛し、動物を愛する。彼らの勇敢さと哲学的な態度も近い。それにロシアのステップはアメリカのプレーリーとそっくりだ」

第2回
●「ニコライ・フォレッゲル(1892-1939)の創作と生涯」永重法子
●「メイエルホリド劇場の名優エラスト・ガーリンの世界」武田清

  • 2010年1月30日(土) 午後3時~5時30分
  • 早稲田キャンパス14号館804号室

 第一回目は、武隈氏の映像を交えた報告に、さまざまな人たちがセッションで加わるかたちで、なかなか刺激的な集いになりました。
 第二回目も演劇とアヴァンギャルドに関係したテーマでの報告がならびました。
 特典映像ということで、「クレショフの映画」も上映します。

「ニコライ・フォレッゲル(1892-1939)の創作と生涯」永重法子

ロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちはサーカスに憧れ、さまざまな試みを繰り広げた。その中でサーカスを「屈託のない喜びの演劇」と名付け、サーカスに“片思い”をした演出家、ニコライ・フォレッゲルが目指したものは何だったのか。

「メイエルホリド劇場の名優エラスト・ガーリンの世界」武田清

二十世紀演劇の巨人メイエルホリドの演劇を実現させた知られざる名優を紹介する。

第3回
●「タカシマの行方―海を渡ったサーカス芸人のその後」大島幹雄

  • 2010年4月10日(土) 午後3時~5時30分
  • 早稲田キャンパス14号館804号室

第三回は発起人のひとり、デラシネ通信社の大島幹雄が報告します――

  祝祭に彩られていた革命直後のペテルブルグ。
サーカスが陽気なサナトリウムとなり、若き演劇人たちがサーカスと演劇を合体させる実験を繰り広げていた1920年にセルゲイ・ラドロフがオープンした「民衆喜劇座」の舞台では、数多くのサーカス芸人たちが出演していた。
 この中にひとりの日本人ジャグラーがいた。タカシマである。
 メイエルホリドのブレーンのひとりであった演劇評論家ソロヴィヨーフは「銀の花柄のついた青いガウンを着たタカシマの演技は、われわれに深い感動を与える、すばらしいものだった。彼は悲しげに舞台に立っている。日本語で話しながら、目にもとまらぬ早さで、小刀をあやつってみせた。彼はまだわれわれが知らない、東洋のまぎれもない、みごとな演劇芸術を披露してくれた」と彼の演技を絶賛した。
 このタカシマなるジャグラーの正体は、そしてこのあと彼はどこに行ったのか。
 さらにタカシマと同じよう革命後もソ連に残った日本人サーカス芸人たちの運命は。スターリンによって粛清された日本人サーカス芸人たちについて、そしてその子供たちがつくったソ連サーカス史に残る奇跡の芸も映像で紹介。

DVD上映 (大島幹雄)

『ボリショイ・サーカス初来日』(1958) 〔45分〕

小展示会 (武隈喜一)

『三つのオレンジへの恋』(1914)
メイエルホリドがドクトル・ダペルトゥットとして出していた雑誌『三つのオレンジへの恋』の現物(1914年発行)。
当時1000部しか印刷されてなかった小雑誌が、よく残っていたものだと感心します。

『コメディア・デラルテ』(1917?)
コンスタンチン・ミクラシェフスキーの『コメディア・デラルテ』第一部のロシア語版(1917年?)も持って行きます。
これらはモスクワ在任時代に、立ち場のオークションで競り落としたものです。

第4回 「シャガール」
●「シャガールの祝祭と演劇」 桑野隆
●「シャガールとロシア・アヴァンギャルド映画との距離」 井上徹

  • 2010年7月3日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館820号室

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「シャガールの祝祭と演劇」 桑野隆

1910~1924年あたりのシャガールをとりあげ、

1)シャガールの絵画はどこまでロシア的か
2)祝祭の都市ヴィテプスク
3)国立ユダヤ劇場とシャガール

について話す予定です。(ビデオも使用・1時間~1時間半)

「シャガールとロシア・アヴァンギャルド映画との距離」 井上徹

映画『悪魔の車輪』(1926年)のスチル1

映画『悪魔の車輪』(1926年)のスチル1

映画『悪魔の車輪』(1926年)のスチル2

映画『悪魔の車輪』(1926年)のスチル2

 シャガール、フェクス(エキセントリック俳優工房)、エイゼンシュテイン――つながっているような、つながっていないような人びとを通じて、映画におけるロシア・アヴァンギャルドについて考えます。フェクスの作品の断片など、映像を交えての報告です。
 1920年代ソ連の珍しい映画関係書などの実物も展示します。


*


井上徹氏のロシア・アヴァンギャルド映画関連講演情報
●6月17日(木)18:00開会、日ソ会館2階にて
サロン〈ロシア・アヴァンギャルド〉
「エキセントリック俳優工房【FEKS】とは何者か」
講師:井上徹
●7月31日(土)18:00開会、アテネ・フランセ文化センター
「ジガ・ヴェルトフとロシア・アヴァンギャルド映画」
講師:井上徹
※展覧会「シャガール―ロシア・アヴァンギャルドとの出会い」の関連企画・特集「ジガ・ヴェルトフとロシア・アヴァンギャルド映画」(7月24日―8月7日、日・月休館、11日間、於アテネ・フランセ文化センター)の講演会。
小展示会

1920年代ソ連の映画関係書など(井上徹)

『日本映画』表紙

『日本映画』 表紙

シクロフスキー『第三工場』表紙

シクロフスキー『第三工場』表紙

 

アナトリイ・カプラン(1903-1980)のリトグラフ(武隈喜一)
*アナトリイ・カプラン(1903-1980) 無名の版画家。モギリョフ生まれ。 ユダヤ人の生活とフォークロアを題材にリトグラフを制作。 1920年代には高等芸術技術研究所(VKHTEIN)で学ぶ。ソ連国内でのみ活動。

第5回 「ロシアのジャズとロック」
●「詩人パルナフとアヴァンギャルド―ロシア革命前後のジャズ史」 武隈喜一
●「レオニード・ヒョードロフとウラジミール・ヴォルコフ」 嶋田丈裕

  • 2010年10月16日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館820号室

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今回は音楽をテーマにしたふたつの発表です。ジャズとロックというまだまだベールに包まれているロシアの音楽シーンを垣間見ることができるのではないかと思います。

「ヴァレンチン・パルナフとロシア・ジャズの黎明」 武隈喜一

ロシアで最初のジャズマンと呼ばれる詩人ヴァレンチン・パルナフ(1891-1951)。アメリカでラグタイムが大流行した頃、革命前後のロシアにも時を経ずにその熱狂がもたらされた。パルナフの生涯とロシア・ジャズの黎明期を追う。

「レオニード・ヒョードロフとウラジミール・ヴォルコフ」 嶋田丈裕

ソビエト時代からロックの文脈で活動してきたレオニード・ヒョードロフとジャズ/即興の文脈で活動してきたウラジミール・ヴォルコフ。

この2人の2000年代以降のコラボレーションを通して、現在のロシアのアンダーグラウンドの音楽の一面を聴きます。

1時間~1時間半程度の内容で、できるだけCDで実際の音を聴いてもらい、DVDも観てもらいます。

第6回
●「タルコフスキーの映像世界―空中浮遊について」 古川忠臣
●「シマダの行方
―続・海を渡ったサーカス芸人のその後」 大島幹雄

  • 2010年12月11日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館820号室

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「タルコフスキーの映像世界―空中浮遊について」 古川忠臣

タルコフスキー

タルコフスキー

 映像の詩人、アンドレイ・タルコフスキー。
 彼の作品のなかで印象的な映像としてしばしば現れる空中浮遊。
 今回はタルコフスキー作品における空中浮遊について考えてみたいと思います。

「シマダの行方―続・海を渡ったサーカス芸人のその後」 大島幹雄

 第3回桑野塾での発表『タカシマの行方』の続編になります。
 今回は9月サンクトペテルブルグを訪問した際に、入手した新資料を手がかりに、いまだに語り継がれている大技「究極のバランス」をつくりだしたサーカスファミリー「シマダ・グループ」の謎に再びせまります。(映像もお見せします)

■ロシアのオルタナティヴ・ミュージックを聴く(仮題)

桑野塾のレギュラーコーナーとして嶋田丈裕の音楽コーナーが誕生、嶋田が選んだ曲を聞いてもらいます。
嶋田丈裕:TFJ's Sidewalk Cafe

■特別展示

ベルチンスキイの写真集、シマダ関連本、ロシアで出ているサーカス雑誌など (大島幹雄)
イリヤ・エレンブルグ『それでも地球は回っている』 (武隈喜一)

第7回
●「ムヘンシャン:モスクワ放送最初の日本人アナウンサー」島田顕
●「長谷川 (しゅん)と満洲」大島幹雄

  • 2011年2月5日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館820号室

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「ムヘンシャン:モスクワ放送最初の日本人アナウンサー」島田顕

 モスクワ放送の最初の日本人アナウンサーの闇に消えた足跡を、現地で調査していくなかで、明らかになった事実を報告します。
 モスクワ放送、ウラジオストクの国際海員クラブ、クートベ、粛清、さらにはモスクワにいた日本人という、まだ謎につつまれている話題にも触れていきます。

日経新聞2012.02.09

★日経新聞で紹介されました
2012年2月9日付日本経済新聞文化面に島田顕さんの記事「日露駆けた「無辺者」追う――モスクワ放送で最初の日本人アナ、波乱の足取り」が掲載されました。
【画像クリックで拡大表示】

*ムヘンシャンについてはアートタイムズ8号にも島田さんに寄稿していただいています。

 

「長谷川 (しゅん)と満洲」大島幹雄

長谷川濬

長谷川濬

 長谷川四兄弟(海太郎、りん二郎、濬、四郎)の中ではほんど知られていない濬の生涯を、今回は主に満洲時代に絞って、紹介します。
 長谷川濬が死の直前まで書きつづけていたノートをもとに、知られざる孤独な文学者の生き様をたどります。

■[特別上映]『道化師エンギバロフ』の秘蔵映像
エンギバロフの「ワニ」

エンギバロフの「ワニ」

 1960年代にサーカスや劇場で活躍した伝説的クラウン、レオニード・エンギバロフの秘蔵映像をお見せします。
パントマイムを主体に、ジャグリング、アクロバットを駆使した驚異的なパフォーマンスの一こまをご覧ください。
(約30分を予定)

■特別展示

ムヘンシャンが働いていた外国労働者出版所で発行されたパンフレット他 (宮本立江)

※嶋田丈裕「ロシアのオルタナティブ・ミュージックを聴く」のコーナーは、今回はお休みします。

第8回
●「ダビッド・ブルリュークと日本」鈴木明

  • 2011年5月14日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館820号室

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「ダビッド・ブルリュークと日本」鈴木 明

名古屋のブルリューク

名古屋のブルリューク

ブルリュークの墨絵

ブルリュークの墨絵

 画家であり詩人でもあるブルリュークを調査・研究し、昨年はウクライナ・スムィ州の彼の生地や、若き未来派たちが集まっていたチェルニャンカ村などを訪ねた鈴木明さんから、ブルリュークを中心に語っていただきます。

●スライド上映:
1.「来日ロシア人画家たち」
2.「モスクワからウクライナへ」

鈴木さんからひとこと:
「ロシア未来派の父」を自称したダヴィッド・ダヴィドヴィチ・ブルリューク(1882~1967)は、1920(大正9)~1922(大正11)年、日本に滞在し、日本の絵画界に大きな影響を及ぼしました。
私は彼の主として日本での足跡を追っています。

■特別展示

ブルリューク私家版本 (鈴木明)

鈴木明さんはいままでブルリュークの「大島」「海の物語」などの小説・エッセイと、彼の日本滞在に関連する著作を私家版で11冊発行しています。
当日は特別展示し、余部あるものは販売します。

※ 嶋田丈裕「ロシアのオルタナティブ・ミュージックを聴く」のコーナーは、お休みします。

第9回 佐野 (せき)スペシャル
●「亡命者佐野碩―震災後の東京からベルリン、モスクワへ」加藤哲郎
●「国際革命演劇運動家としての佐野碩、
1931-1945」田中道子

★この回の内容は、雑誌『アートタイムズ』8号に抄録を掲載しています。

  • 2011年7月9日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館701号室

1923年、関東大震災――
佐野碩の波乱万丈の生涯は、ここから始まった!

2009年に刊行された岡村春彦による評伝『自由人 佐野碩の生涯』(岩波書店)で再評価の機運が高まる佐野碩。
六ヶ国語を自由に操り、激動の時代に自らの信念を曲げることなく活躍した、稀有の国際的演劇人の波瀾の足跡を辿ります。

「亡命者佐野碩――震災後の東京からベルリン、モスクワへ」 加藤哲郎

 関東大震災後の東京から活動を始め、世界恐慌の余波でベルリンを追われた佐野碩。彼が生きた時代は現在の世界情勢とも重なる。革命歌「インターナショナル」の成立過程もたどりながら、佐野の思想の変遷に迫る。

加藤哲郎(かとう・てつろう) 一橋大学名誉教授、早稲田大学客員教授。HPネチズン・カレッジ主宰。
政治学が専門だが、「情報政治学」を提唱し、政治における情報・コミュニケーションの役割を広く研究し実践するために、インターネットを通じて独自に発信を続けている。『モスクワで粛清された日本人』(青木書店、1994年)、『国境を越えるユートピア』(平凡社ライブラリー、2002年)などでスターリン時代に粛清された日本人たちを、発掘したことでも知られる。

「国際革命演劇運動家としての佐野碩、1931-1945」 田中道子

 佐野がソヴィエトに渡るところからメキシコに入るまでの活動を中心に、関東大震災の影響と、トロツキイ暗殺に関わったKGBのスパイだとされる「黒い噂」についても触れる。

田中道子(たなか・みちこ) エル・コレヒオ・デ・メヒコ(メキシコ大学院大学)教授。
メキシコで亡くなった佐野碩の研究を続ける。鶴見俊輔の「佐野碩のこと」(『グアタルーペの聖母』(筑摩書房、1976年)所収)をスペイン語に訳して紹介した英語・スペイン語で研究論文を発表。1995年から佐野碩研究会を主宰、メキシコでの佐野の業績の資料集を編纂中。佐野碩研究書を執筆中。今回は、近い将来日本で予定している佐野碩展開催のための準備を兼ね、今年の秋メキシコ市で予定している「シンポジウム 佐野碩・北川民次 革命期メキシコの日本人芸術家」の準備と調査のために来日した。

中央で腕組みをしているのが佐野碩。後ろはメイエルホリド

中央で腕組みをしているのが佐野碩。後ろはメイエルホリド

 

佐野碩(さの・せき) 1905-1966

「新劇」の基礎を築き、日本プロレタリア演劇同盟の中心的存在として活躍した演出家。「インターナショナル」「ワルシャワ労働歌」の訳詞者としても知られる。1931年治安維持法違反で逮捕後、偽装転向して国外へ脱出。ソ連で世界的演出家メイエルホリドの演出助手として活躍。1937年スターリンによる大粛清の中で国外追放処分を受け、フランス・チェコ・アメリカを経て1939年にメキシコへ渡り、演劇学校を創設。メイエルホリドの身体訓練法ビオメハニカとスタニスラフスキー・システムを融合させる試みを手がけ、多くの演劇関係者を育成して「メキシコ演劇の父」と称えられている。

第10回
●「演劇大国ロシアのアイデンティティーを求めて」上田洋子
●「サンクトペテルブルグとモスクワの
   アヴァンギャルド建築とアートスペースを巡って」嶋田丈裕

  • 2011年10月15日(土) 午後3時~6時
  • 早稲田キャンパス16号館820号室

「演劇大国ロシアのアイデンティティーを求めて」上田洋子

劇団プラクチカ『人間.doc. オレグ・クリーク』ポスター

劇団プラクチカ
『人間.doc. オレグ・クリーク』ポスター

ロシアエンジニア劇団アヘ『偉大なる迷走のデポ』

ロシアエンジニア劇団アヘ『偉大なる迷走のデポ』

急速な資本主義化と情報の氾濫のなか、演劇も他の芸術同様、新たな社会にフィットする形を模索し、リニューアルを試みています。演劇大国ロシアは21世紀の現在、いかに生き残っていこうとしているのか。多様化するロシア演劇を、メディア演劇、ドキュメンタリー演劇、コンテンポラリー・ダンス、演出の可能性としてのオペラ・バレエ、ドラマ演劇と俳優の問題などに触れながら考察してみます。

「サンクトペテルブルグとモスクワの
  アヴァンギャルド建築とアートスペースを巡って」嶋田丈裕

サンクトペテルブルグ「ロフト・プロジェクト・エタジー」

サンクトペテルブルグ
「ロフト・プロジェクト・エタジー」

モスクワ「ガラージュ現代美術センター」

モスクワ「ガラージュ現代美術センター」

サンクトペテルブルグ「ロフト・プロジェクト・エタジー」モスクワ「ガラージュ現代美術センター」ロシア・アヴァンギャルドの建築家コンスタンティン・メリニーコフが手掛けたモスクワのバーフメチェスキー・バス・ガレージは、現在、改装され、最先端の現代美術館「ガラージュ現代美術センター」となっています。2000年代に入ってモスクワやサンクトペテルブルグでは「ガラージュ」のようなアートスペースが増えています。今年8月に現地に赴いて巡ってきたこのようなアートスペースを紹介します。併せて、「ガラージュ」以外のアヴァンギャルド建築についても、見てきた範囲で、その現状を紹介します。


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