2011.10.05 / 更新2012.11.07

アートタイムズ No.8
桑野塾という《広場》

  • 発行人:大島幹雄
  • 責任編集:武隈喜一
  • 出版社:デラシネ通信社
  • 発 行:2011年10月15日
  • 体 裁:本文60P / B5判
  • 定価(税込):800円

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ロシアにこんな人がいた!
そして、そんな研究をする人々が集まってくる広場がある――

 2009年10月から始まった桑野塾は、回を重ねるごとに面白くなっている。参加者も増えている。
 そもそも桑野塾は、桑野隆が先駆的に紹介してきたバフチンの《広場の思想》につながる、自由に、そして脱ジャンルで、人と人が交じり合う場を創りたいということから始まった。
 松下政経塾は大嫌いだが、シーボルトの鳴滝塾とか、緒方洪庵の適塾とかのように、誰か中心になる人がいて、そこに人が集まって渦ができるような場としての塾というイメージがあった。
 その中心になる人物は、桑野さんしか考えられなかった。
 学生の頃に参加させてもらったロシアアヴァンギャルド研究会で桑野さんと知り合ってから30年以上経っていると思うが、ジャンルを超え、大学という枠を突き破り、さまざまな出会いの場をつくってもらった。その桑野さんをひっぱり出して、中心に立ってもらえば、渦はできるはずだという確信があった。
 渦は確かにできつつある。その途中経過という意味合いも込めて今回特集を組むことにした。
 ロシアものが多くなっているが、最初に集まってきたのが、ロシア関係が気になる人たちだったということである。次回桑野塾の特集を組むときには、ロシア以外のテーマもたくさんとりあげられているはずだ。
 桑野塾の立ち上げメンバーのひとり武隈喜一氏に責任編集をお願いした。熱いメッセージをしっかりと受けとめていただければと思う。それがまた大きな渦をつくることになるだろう。

(巻頭のことばより)

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目 次

エピグラム  表紙裏
長谷川四郎『シベリア物語』より

桑野塾という《広場》

  《広場》をつくる 武隈喜一  2

  これまでの桑野塾  4
誰もが気軽に集い、是が非でも他人に伝えたいと思っていたことを語り合う《広場》がここにある。

抄録 桑野塾 第9回「佐野碩スペシャル」  7
1923年、関東大震災――佐野碩の波乱万丈の生涯は、ここから始まった!
岡村春彦「自由人 佐野碩の生涯」で再評価の機運が高まる佐野碩。6ヶ国語を自由に操り、激動の時代に自らの信念を曲げることなく活躍した、稀有の国際的演劇人の波乱の足跡を 辿った二人の研究者の報告。当日の模様をダイジェストで紹介する。

  1 亡命者 佐野碩 震災後の東京からベルリン、モスクワへ 加藤哲郎  8
関東大震災後の東京から活動を始め、世界恐慌の余波でベルリンを追われた佐野碩――彼が生きた時代は現在の世界情勢とも重なる。あの時代の人々を熱くさせた革命歌「インターナショナル」の成立過程も辿りながら、佐野の思想の変遷に迫る。豊富なインターネット上の資料URLも掲載。ネチズンカレッジの加藤哲郎氏の報告。

  2 国際革命演劇運動家としての佐野碩 1931-1945 田中道子  14
佐野がソヴィエトに渡るところからメキシコに入るまでの活動を中心に、関東大震災が彼に与えた影響と、トロツキイ暗殺に関わったKGBのスパイだとされる「黒い噂」についても触れる。帰国中のメキシコ大学院大学田中道子氏の報告。

  3 フリートーク  26
報告終了後のフリートークコーナーでの、岡村春彦「自由人 佐野碩の生涯」を編集した菅孝行氏や、佐野碩の貴重な資料を発表している吉川恵美子氏らの発言を掲載。

音楽 ディミトリー・ティオームキンと群集劇、西部劇 武隈喜一  30
日本でも人気を博したテレビドラマ「ローハイド」の主題歌を作ったのは、ウクライナ出身のユダヤ系作曲家だった!
ハリウッドでアメリカン・ドリームを実らせたチョームキン/ティオームキンの生涯をたどる。
桑野塾第1回の報告から。

演劇 エラスト・ガーリンとメイエルホリド 武田清  34
20世紀演劇の巨人メイエルホリドの演劇を実現させた知られざる名優エラスト・ガーリン。メイエルホリドの俳優訓練法ビオメハニカの名手であっただけでなく、ソ連初の歌舞伎公演を行った河原崎長十郎にも教えを乞うた俳優の横顔を紹介。
桑野塾第2回の報告から。

美術 シャガールと演劇・サーカス・祝祭 桑野隆  37
「よくわからない画家」シャガール。その絵画に見られる祝祭性を 「民衆の笑い」をキーワードに、彼と演劇・サーカスとの関係に焦点を当てて考察する。
桑野塾第4回の報告から。

音楽 ロシアのロックとジャズ フョードロフとヴォルコフ 嶋田丈裕  40
2011年夏に訪れたサンクトペテルブルグのライブハウス「クラブ・グリボエードフ」のレポートと、ソビエト時代からロックの文脈で活動してきた二人のアーティストの2000年代以降のコラボレーション活動から、現在のロシアのアンダーグラウンド・シーンの一面を紹介。CDとDVDのディスコグラフィーも掲載。
桑野塾第5回の報告から。

映画 アンドレイ・タルコフスキー、〈時〉のつくる詩 古川忠臣  44
桑野塾第6回の報告に関連して、タルコフスキーがその詩情あふれる映像表現に込めた〈時間〉への思いを見つめる。

サーカス シマダの謎を追う ロシアに渡ったサーカス芸人列伝2 大島幹雄  47
超人技「究極のバランス」でソ連時代のロシアを席巻した謎のサーカス芸人、シマダ・パントシ。彼の正体を追ううちに、サンクトペテルブルグのサーカス場に置かれていた“オレンジ色の表紙の本”にたどり着いた――
桑野塾第6回の報告から。

放送 ムヘンシャン モスクワ放送最初の日本人アナウンサー 島田顕  51
今でも「ロシアの声」と名を変えて毎夜日本向けに日本語放送を行っているモスクワ放送は、岡田嘉子がアナウンサーをつとめたことでも知られている。その最初のアナウンサーは、“ムヘンシャン”と呼ばれる謎の日本人だった。
彼の闇に消えた足跡を追って現地で調査していく中で明らかになった事実を紹介する。
桑野塾第7回の報告から

*島田さんのムヘンシャンに関する記事が日経新聞に掲載されました。

美術 ロシア未来派の父 ブルリューク その文芸作品「海の物語」をめぐって 鈴木明  53
  ブルリューク・ギャラリー  57
桑野塾第8回の報告「ダビッド・ブルリュークと日本」に関連して、ブルリュークが書いた「海の物語」の舞台となったウクライナへの旅のリポート。桑野塾で上映したスライド映像の一部も「ブルリューク・ギャラリー」として掲載。

  小さな誌上展示会  29・52
桑野塾の「おまけ」として展示されたロシアの本や雑誌などの一部を掲載。

塾長挨拶に代えて 桑野隆  58
「桑野塾」という名称に抵抗した(ほんとは今も抵抗しつづけている)塾長からのご挨拶。

グルメタイムズ・今月の一杯 『金の鈴』おろしぶっかけうどん  60
桑野塾の懇親会の定番「金の鈴」。シメはいつでも、のど越しツルツルの讃岐の細麺、おろしぶっかけうどんで決まり!

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編集後記

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