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2012.09.21 / 更新2012.11.15

満洲浪漫-長谷川(しゅん) が見た夢

大島 幹雄 著

出版社:藤原書店

発 行:2012年9月25日

体 裁:352頁【口絵4頁】 / 四六判

ISBN:978-4-89434-871-4

定 価:本体 2,800円+税

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 自由と詩を求めつづけた「見事なる敗北者」長谷川濬の生涯を抉る、初の評伝!
 130冊にのぼる自筆ノート「青鴉」に記された、誰一人知ることのなかったそのナイーブな魂の苦悩……。
 長谷川四兄弟(海太郎・潾二郎・濬・四郎)の三男に生まれ、大川周明の後ろ盾で満洲に渡り、戦前の大ベストセラー、バイコフの『偉大なる王』を邦訳。そして甘粕正彦の最期を看取った男の、“敗北”の真実とは?

●藤原書店 PR誌『機』の本書紹介ページPDF藤原書店PR誌『機』の『満洲浪漫』紹介ページ

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刊行に寄せて

長谷川濬のノート「青鴉」No.42表紙

長谷川濬のノート
「青鴉」No.42表紙

 ついに、長谷川(しゅん) の評伝が本になりました。9月20日藤原書店にて、藤原良雄社長から出来立てほやほやの本を手渡されたとき、なにかこみあげてくるものがありました。原稿を書き終えてからおよそ3年あまり、こうして活字となり、表紙、そして口絵までついた本に生まれ変わった素晴らしい姿を見ると、抱きしめたくなります。

 原稿は3年間ゆっくり、ワインや日本酒のようにゆっくり熟成されていい本になりました。出しますよと言ってくれた出版社に逃げられ、それじゃということで、ノンフィクション大賞に応募するためにいままで書いたものを削ってみたりするなかで、自分の書いた文章をほんとうに何度もなんども読み直すことになりました。それに落選してまた一からやり直し、その時も読み返しました。これだけ自分の文章を何度も読み返した原稿はないと思います。自分で言うのもなんですが、中身の濃い、そしていい文章になったと思います。

 本にしてくれると言ってくれた出版社に逃げられた時に、とてもじゃないが、ほかに出してくれるところなんかないだろうと思っていました。そこに現れたのが、文化座代表の女優佐々木愛さんでした。取材のためたった一回しかお会いしたことがなかった佐々木愛さんが、藤原書店の社長に直接掛け合ってくれたのです。

 藤原社長に読んでいただき、ゴーサインが出たのが昨年末。そして編集の方はじっくりと原稿に目を通し、さらに本にするために丹念な作業をしてくれました。長谷川濬が残したノートにかきとめたスケッチもふんだんに入れていただき、口絵までつけてくれました。さらにいつも私の本の装丁をしてくれる西山孝司さんが、今回もまた素晴らしい表紙をつくってくれました。ほんとうにみなさんの力があってこれだけ素晴らしい本になったと思います。

 デラシネ通信では『彷徨える青鴉』と題し、主に戦後の長谷川の精神の軌跡を追ってきましたが、この『満洲浪漫』とはまったく別物の読み物になっています。できればデラシネ通信の連載と『満洲浪漫』と一緒に読んでいただければと思います。さらには10月に出る「アートタイムズ」9号 可能性としての満洲では、まったくちがう展開をはらんだ長谷川濬についての論考も書いていますので、そちらも読んでいただきたいと思います。

 北の大地を彷徨うコザックのような自由に憧れ、そして自由に生きた長谷川濬の生涯、「見事なる敗北者」の軌跡をたっぷりとお楽しみいただきたいと思います。
ぜひ読んでください。

2012年9月21日 大島幹雄

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目 次

第一部 コザックたちの夢

序章 コザックの魂に導かれて

第一章 木靴をはいて
第二章 初恋の行方

第二部 南嶺の赤い月

第三章 大いなる哉 満洲
第四章 ポグラの青春

第三部 満洲浪漫

第五章 アムールの彼方に
第六章 大陸の活動屋
第七章 満洲作家誕生
第八章 虎との出会い――ハルビンにて

第四部 三河幻想

第九章 ウルトラマリンの底で
第十章 ハイラル・リーム
第十一章 三河――野性の宴

第五部 満洲崩壊

第十二章 土煙る三月――死の予感
第十三章 王道夢幻
第十四章 満洲崩壊

第六部 挫折の戦後

第十五章 幻の潮岬
第十六章 発作
第十七章 神彰との別れ
第十八章 死して成れり
第十九章 神彰の青鴉
第二十章 北方航海の旅の果て
最終章 「虎」へ帰る

エピローグ 木靴をはいて

あとがき/長谷川濬年譜/参考文献/人名索引

 

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紹介記事・書評

紹介記事

  • 共同通信配信記事:掲載はいずれも2012年10月14日(日)朝刊
    「神戸新聞」著者に聞く藤原書店PR誌『機』の『満洲浪漫』紹介ページ
    「河北新報」著者とひととき
    「信濃毎日新聞」栞
    「徳島新聞」ページの余白
    「大分合同新聞」ページの余白

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関連イベント

トークショー「満州の日本語文学を読む」

不忍ブックストリートweek関連企画

「満州の日本語文学を読む」
日 時 2013年6月6日(木)
午後7時(午後6:30開場)
会 場 古書ほうろう
出 演 大島幹雄(ノンフィクションライター)
黒川創(作家/編集グループ〈SURE〉)
入場料 1,000円
詳しい内容やご予約方法などは、古書ほうろうさんの
「満州の日本語文学を読む」ページをご覧ください。

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関連書籍

『木靴をはいて』

はこだて写真図書館叢書 II 長谷川濬 函館散文詩集
木靴 ( サボ ) をはいて―面影の函館』
長谷川 濬 詩 / 熊谷 孝太郎 写真 / 大島 幹雄 編集 / はこだてフォトアーカイブス・はこだて写真図書館 発行 / 2009年 / 2,400円(税別) / 176P / 20cm

「アートタイムズ」9号

「アートタイムズ」9号 可能性としての満洲
発行人:大島幹雄 / 編集長:永重法子 / デラシネ通信社 / 2012年 /定価800円 / 本文48P / B5判

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