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2013.09.25 / 更新2015.09.02

明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか

[新潮文庫]

大島 幹雄 著

出版社:新潮社 [新潮文庫 お-90-1]

発 行:2015年9月1日

体 裁:288頁 / 文庫本

ISBN:978-4-10-120061-3

定 価:本体 520円+税

プレスリリース

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大島 幹雄 著

出版社:祥伝社

発 行:2013年8月10日

体 裁:252頁 / 四六判

ISBN:978-4-396-61463-8

定 価:本体 1,600円+税

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海を渡り、世界を熱狂させた
名もなく、しかし、たくましい日本人の記録
歴史に埋もれた「日本の奇跡」!
謎の「ヤマダ曲馬団(サーカス)」を追え!

幕末の開港とともにいち早く海外に出た日本人サーカス芸人たちは、世界各国で活躍した。とくに1910(明治43)年、ロシアに渡ったヤマダサーカス一座が、ショッキングな「ハラキリ」芸を披露して、ロシアのみならずヨーロッパ中の観客を魅了していた。ヤマダサーカスには「イシヤマ」、「タカシマ」、「シマダ」という名の芸人たちが参加し、日本古来の伝統芸を披露して大人気を博した。
しかし、そんな彼らの前にロシア革命という20世紀最大の事変が待ち受けていた──。歴史に翻弄された3人の足跡をたどりながら、当時海外で最も有名だった日本人一座「ヤマダサーカス」の全貌に迫る。

それは「3枚の写真」から始まった
崩壊直前のソ連で見つけた3枚の写真。
あの写真と出会わなければ、
海を渡ったサーカス芸人についてのこの物語は始まらなかった。
写真の持ち主は、こう私に問いかけた。
「イシヤマ、タカシマ、シマダ、ここに写っているのはみんな日本人のサーカス芸人です。革命前のロシアにやって来て、革命後もロシアに残りました。この日本人のことを知っていますか」
──彼らは、一体誰だったのか?
──────(「プロローグ」より)

刊行に寄せて

シマダの「究極のバランス」

シマダの芸
「究極のバランス」
YouTube動画

 30年にわたって、追いかけてきたロシアに渡ったサーカス芸人たちの足跡を追った本が祥伝社より発売されました。
 1908年にウラジオストックでの公演を皮切りに、ロシア各地でセンセーションを巻き起こした『ヤマダサーカス』の足跡、これに加わったタカシマというジャグラーとロシアアヴァンギャルドの交流、さらにはシマダやイシヤマといった芸人たちの子孫の活躍、またサーカス芸人の日本人ということで粛清されなければならなかったヤマサキ・キヨシの悲劇などを、一冊の本としてまとめることができました。
 私にとっては、海を渡ったサーカス芸人追跡というライフワークの、ひとつの区切りとなる本になりました(もちろんこれで終わりということではありませんが・・・)。
 サーカスに関心がある方はぜひ、サーカスに関心はなくても、人間のドラマが詰め込まれた本ですので、お読みいただければうれしいです。

デラシネ日誌に書いた本書の「あとがき」

本書で紹介したシマダの芸「究極のバランス」YouTube動画

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目 次

プロローグ

第一章 日露戦争前のロシアに渡ったサーカス芸人

1 なぜ彼らは海を渡ったのか

幕末、芸人たちは一斉に海外に飛び出した/日本人で初めて旅券を受け取った一座/榎本武揚が、ロシアでサーカス芸人を見る/あの南方熊楠は海外でサーカス団員もやっていた

2 ロシアで好評を博した日本人たち

舞台演出家スタニスラフスキイは日本の芸人を囲っていた/二枚の写真に写っていたものは/新聞に書かれていた芸人は誰だったのか/日露戦争に翻弄された横田一座

第二章 追跡、謎のヤマダサーカス

1 戦慄のハラキリショー

ロシアで最も有名だった日本人一座/それは公開殺人のような芸だった/「ハラキリショー」のからくり/それは日本を最も象徴した芸/彼らはモスクワで「日本の奇跡」と呼ばれていた/日本サーカス史に残る「山田」の名

2 山根ハルコのロシア放浪記

ヤマダサーカスの足跡は、なんと日本でみつかった/激動期のロシアで山根が見たもの/山根は海外旅券を持っていたのか

3 極東サーカス――サーカスがつないだ日本とロシア

シベリア鉄道と日本海航路が運ぶもの/日本を代表する木下サーカスはこうして誕生した/大阪で大当たりだったバロフスキイサーカスとは/なぜ「空中ュブランコ」を「ロシア式」と呼ぶのか/日本最初のサーカス常設館をつくった男/弁次郎が残した帳面に書かれていたものとは

4 帰ってきたイシヤマ

現代に息づくヤマダサーカスの遺伝子/判明した一枚の写真の真相

5 ジャグラー、タカシマ伝説

ヨーロッパで活躍した伝説の日本人/タカシマの写真の謎が解けた!/夭折のイタリア天才ジャグラーの師

6 戦争とサーカス

横田一座、ロシア人興行師にだまされる/異郷でサーカス場を開いたカマキチ/大河に臨む町に集った日本人芸人たち/大戦勃発――欧州を去る芸人、残る芸人

第三章 サーカスと革命

1 山根ハルコの悲劇

激動のさなか、夫と死別/日本大使館は流浪の女芸人の身元を照会した/そして彼女は帰国せざるを得なくなった/ついに判明した座長の名前

2 アヴァンギャルドとタカシマ

ロシア・アヴァンギャルドとサーカスが結びついた/タカシマの最期

3 イルクーツクのドクター・シマダ

「日本人によろしく」とシマダは言った

第四章 粛清されたサーカス芸人

1 ヤマサキ・キヨシの運命

私に託された「ヤマサキファイル」/なぜヤマサキは逮捕されたのか/メディアが告発を扇動する

2 ナルフォミンスクからの手紙

息子は父の名誉回復を申し立てた/ヤマサキの忘れ形見と対面する/父の祖国、日本を知りたい/約束は果たせなかった

3 パントシ・シマダの秘密

「オレンジ色の本」との出会い/思いがけない国籍/やはりパントシ・シマダは朝鮮人だった/朝鮮サーカスの持つ特殊な事情

4 究極のバランス芸

「父、逮捕される」/「幻の芸」の面影/シマダ・ジュニアを襲った死の危険/スパイの汚名を晴らせ!/サーカスの世界からシマダの名が消えた理由

エピローグ

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紹介記事・書評

紹介記事

  • 「サライ」2014年1月号「著者に会いたい」 →記事PDF記事PDF

書 評

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